第14話 お花マールイッド(2)
「戻ったー!」
「早速アリアお姉ちゃんを探してみましょうか」
一階に下り、厨房やカウンターを覗いてみるが、
「…居ないねぇ~」
「アリアを探してるの?」
アリアのお母さんから声がかかる。
「今は夕食の買い出しに行ってるわ、一時間ほどで戻ると思うけれど」
「それならテレージアお姉ちゃんのところに行こっか!」
礼を言い、東側商業区に向かう。
「こんにちは~」
「あら、こんにちは。何か忘れ物でもありましたか?」
「テレージアお姉ちゃん、これ!」
「まあ!マールイッドですね!どうしてこれを?」
「えっと、街の近くで咲いてたのを見つけたの!」
「三輪見つけまして、テレージアお姉ちゃんとアリアお姉ちゃんに差し上げたいと思いまして」
「私に?貰ってしまっていいのでしょうか…今では本当に貴重ですし、代価をお支払いしませんと…」
「ハッ!え、えーっと、それなら、頭ナデナデして欲しいな…」
「そんなことでいいのですか?…分かりました、それでは…ありがとう、小さな冒険者さん♪」
ナデナデ、ナデナデ…
「えへへへへへ…♪」
「えへ~♪」
「♪」
「ひそひそ(冒険者じゃないけど、今はこのままで後から説明しよ~)」
「ひそひそ(そうですね。それにしてもナデナデは久しぶりですね♪)」
「ひそひそ(あーちゃん溶けてるね~)」
「でへへへへへ…♪」
…、
…、…、
「それじゃあ小春日和に戻るね」
十分にナデナデを堪能し、しゃっきりに戻ったアマテラスが言う。
「本当にありがとう。また遊びに来てくださいね」
テレージアに挨拶し、小春日和に戻る三人。
「あら?」
三人と入れ違いに冒険者ギルドの関係者が店内に入ってくる。