3 迷宮主
「しつこいなぁァァァあああ!!」
絶叫を上げて森の中を駆ける。
うん、これで何故か逃亡スキル獲得したんだが!!
それに、称号に逃亡者をもらったしな!!
なのに全然逃げれねぇ!!
助けろ!!
って思いながら森の中を、走ってたらいつの間にかあの猪も消えていた。
まあ、それは良かったが…
結局探索しなくちゃならないな…。
はぁ…。憂鬱だ。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
という訳で体感10分ほど歩いていたら洞窟を見つけた。
逃げ込む場所もないしここにいることにするか。
「あるこ〜あるこ〜わたっしはっげんき〜…でもないな。」
とか歌いつつ洞窟の先に進むと何か空中に浮いている青くて丸い石があった。
色合いは…そうだな…
空に浮いている城と機械兵を思い出したって言えばわかるか?
バルスって言えばこのゲーム壊れそうだ。
念のために言っておくか。
「バルス!!」
―ピロンー
ーアイテムを取得しましたー
・・・恥ずい。
よく物語の中の人たちはこんな事をやってるな。
若干悶える…。
というか何貰ったんだ…?
ま、まあいいか。
とりあえず、この石動かせるかな?
そう思い触れてみる。
───ワールドアナウンス『称号︙ダンジョンの制覇者』を、獲得した者が現れました。────
───個人アナウンス『職業︙迷宮主』を獲得できます。獲得しますか?───
あれ?なんかやっちゃったか?
というか、ここダンジョンなんだ…。
ま、まあいいか。
うん、どうせわからんし後であのバカに聞いておこう。
それがいい。
というか、迷宮主だよなぁ…
貰えるんなら貰っとこう。
それが一番だろ。
「迷宮主を獲得します。」
『了解しました。称号︙迷宮主を獲得します。これにより1レベル固定の呪いが解除されました。
チュートリアル終了によりダメージ無効が解除されます。
経験値が分配されます。ステータス強化にご使用ください。
インベントリ機能が開放されます。
また、細かい仕様などは個人でご確認ください。』
長いアナウンスだったな。
というか、ダメージ無効化されてたんだ。
じゃあ、安全だったじゃないか!!
少し涙目になりつつゲームから出る方法を探す。
う〜ん…
ラノベならこういう時に半透明の板が出てくる…あ、そうそうこう言うやつだよ。
って、出てきたっ!!?
まあいいか。
一旦ログアウトできそうだしするか。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「う〜ん…はぁ。
よく寝た気分だな。」
「おっ、わかる?気持ちいいでしょ。」
「そういや、委員長は?まだ風呂?」
「お湯張ってたよ?水道代大丈夫か?」
「大丈夫だが?うちの両親片方は出張で片方は社長だから忙しくていないとはいえ別に貧しいわけじゃないんだよ。」
「あっ、そうだったな。
というか、金はあるのにこんな生活してんのかよ。」
「別に、両親がケチとかじゃないんだからね!!」
「ツンデレ乙。男のツンデレは美少年以外需要ねぇんだよ。」
「はぁ…
ツンデレですらもねぇよ。
というか、正統派のツンデレは委員長みたいな人だと思うぞ。」
じゃねぇと、宿題も見てもらえないだろうしな。
良かったな、仁馬。
「は?あいつがツンデレ?どこが?ツン要素しかねえじゃねぇか。」
おい、そういうことは言わないほうがいいぞ。
だって…
「ツンだけで悪かったわねぇ!!」
お前の後ろに委員長がいるからな。
さて、触らぬ神に祟りなし、君子危うきに近寄らずということで
「俺、ちょっとお風呂入ってくる。」
「あ、ごめん!!お風呂にお湯張っちゃった。
一応あなたのお母さんに連絡は取ったんだけど…」
「母さんがいいって言ったの?」
「うん、別に気にしてるわけじゃないしって。
ついでに、あの子はお金を節約しようとしてるけど別にお金はあるんだし女の子の美容を妨げるようなことをしたら駄目だよって。」
(;・∀・)…。
怒られるなこれ。
今日は帰らないから…明後日だったなつぎに帰るの。
覚悟しておこう。
唐突に日常会話。
というか、主人公のお母さんって出張なのでしょうか?社長なのでしょうか?どっちなんでしょうねぇ…。