7.五つの問
「私は神さ!」
僕の中にいる目の前の"それ"は自分は神だと名乗った。
「神様……? なら、貴方が本当のレスティ様……?」
僕は願った。目の前にいるこの人こそ本当のレスティ様で、アリアに酷いことをしていたアイツが別の何かである事を。
「いんや? 私はレスティではないよ」
「君の目の前にいた者、彼が君たちの言うレスティで間違いないよ」
「なら……あなたは……」
「言っただろう? 私は神だよ、神様さ!」
(神様? という事は)
「他の六国の神様って事……?」
「あー、違う違う。君たちが崇めている七つの神ではなくてね。」
「私がこの世界における、唯一の『神』だよ」
言葉の意味が理解できない。この世界、七つの国に七つの神様と物心ついた時から教えられてきた。なのにこの『神様』は自分を唯一の神だと名乗る。なら今まで教えられた神様は……
「あーあー、色々考えている所申し訳無いんだけどね。一応私ね、神様だから、さ。なんでもかんでもは教えられないのよー」
「だけれども、なんとなんと! 神様との初会話特典で、『五つ』どんな質問にも答えてあげますよー!」
自称神様は両手を広げ、とても良い笑顔で質問に答えると言う。けれど、五つしか質問できない。慎重にいかなくては。
「……神様は本当に神様なんですか?」
「そんな質問で良いのかい? もちろん! 私は本当に神様だよ!」
「……それだけ?」
「ん? 君は私が神なのかどうかを問いただろう? だから私はそうだと答えた。それだけだが?」
「それだけって……なんの神様なのかとか色々……」
「言っただろう? 質問には答えると。何かを知りたいなら細かく質問したまえよー。さぁ、後『四つ』どうぞ」
あと四つしか質問する事ができない。なら、今目の前にいるのが何の神だとか、そんな事はどうでもいい。今一番知らなければいけないのは、どうすればアリアを救えるかだ。
「質問……どうすればアリアを救えますか」
「レスティを消せばアリアは救えるよ、まだ間に合うはずさ」
「間に合う……!」
だが、テザモスの人々、自分も含め、アリアやジョセフが敬い、祈りを捧げた神様を。この手で葬らないといけない。でも、アリアを救うには。
「質問……レスティを葬る方法を教えて」
「簡単だよ! 本当の名前を呼ぶだけさ」
「本当の名前……レスティじゃないの?」
「いや、レスティで間違いは無いが、真の名があるのさ。そちらを呼べば消えるよ」
名前を呼ぶだけで消える、神様をそんな単純な方法で消し去れるものなのか。そもそも神を消すとは簡単に言うが、本当に消してしまっても良いものなのか。そんな事が頭をよぎるが、今必要なのは一つだけ。
「質問……レスティの真の名を教えて」
「ああ、もちろん! レスティの名はね……」
ここまで御覧下さりありがとうございました。
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