4.金の首飾り
「ジェス〜、アリア〜、遅いぞ〜もうお腹ペコペコだ〜」
食堂にはジョセフが既に待機しており、椅子の上で伸びていた。
「午後は座って書類整理してただけでしょ? そんなにお腹減るもの?」
「バッカ、書類整理も頭使うから腹減ンだよ」
もう空腹で動けないと煩い神官様の為に食事を運んであげた。そんなになるなら先に食べててもいいのに。
でも、こうして二人と仲良く過ごせるのも明日まで。明後日には一人前の神官になる為の旅が始まる。目標の為だけど、やっぱり寂しい。
(早く帰ってきて、二人の手伝いをしないとな)
僕はそんな事を思いながら夕飯を食べた。
「ジェス、今日は寝る前に俺の部屋に来い。話したい事がある」
僕は夕飯を食べ終えた後、旅の最終準備をし、ジョセフの部屋に向かった。
ーーコンコン
「ジョセフ、入ってもいい?」
「いいぞ」
ジョセフの部屋に来るのは久しぶりだ。本棚に沢山の本や資料、机の上、下にまで書類の束が積まれている。
「話ってなに?」
「ああ、ジェスが旅に出る前に渡したい物があってな」
そう言うと、机の引き出しから小さめの箱を持ってきた。
「これは?」
「これは、首飾りだ。俺のお手製だぞ?祈りを込めて作ったんだ」
銀のチェーンに二つの金のリング、そして装飾のされた金の筒がついた首飾りだった。
「この筒にはレスティ様の装飾をしてあってな、どこにいても毎日祈りを捧げられる様にしておいた。」
「後このリングは……」
「離れていても俺とアリアが見守ってるって……恥ずかしいな!」
ガハハと照れ笑いするジョセフに流れそうな涙を堪え、感謝をする。
「……ありがとう」
心からの感謝を述べた後、暫くジョセフと談笑して自分の部屋に戻った。
「祈りの首飾り…….毎日祈るよ」
温もりを胸にしまい、ジェスは眠りについた。
「ぉーい」
「おーい」
「きこえますかー」
「ダメだな、まだ聞こえないか」
ーー朝
「……ん、ぅん……あれ?」
いつもならアリアが起こしに来るのに全然部屋に来ない。体調が優れない時以外は必ず起こしに来るのに。
「今日は体調が良くなかったのかな」
僕は食堂に行くことにした。
食堂に向かっている途中、ジョセフの部屋から大きな物音と声が聞こえた。
(びっくりした……ジョセフ寝ぼけてベットから落ちた?)
心配なので部屋を見に行くことにした。
「どうして! どうして私じゃ!」
(ア……リア?)
そこには床に伏せたジョセフと、頭を抱えるアリアがいた。
ここまで御覧下さりありがとうございました。
少し展開が変わってきます。宜しくお願いします。