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信仰と七国  作者: 宙辺 砂銀
3/7

3.愛の祈り、そして声

 食事を済ませた僕は、ジョセフと共に神殿に来ていた。


「ジョセフ、もしかして今から」

「そうだ、祈りの時間だ」


 教会では一日に昼と夜に一度祈りの時間がある。ジョセフはこの国の最高神官なので、普段は一人静かにレスティ様の神像に祈りを捧げている。


「今日は僕も一緒でいいの?」

「ああ、暫くはお前に会えないからな。ジェスの旅路の安全をレスティ様に祈ろう」

「祈りの作法は覚えているな?」

「もちろん!」


 物心ついた時に教えてもらったお祈りの作法。言葉にするのは一度だけ、二度目からは心で唱え、祈り、これを百程繰り返す。


「テザモスを守りし純潔の神レスティよ、私達は祈ります。あなたの優しさ、あなたの温もり、あなたの愛に。神に感謝を捧げ、この日を生きていきます。どうか、私達に真なる愛を」


 ジョセフはそう言うと目を瞑り、手を組み、僕らを中心に神殿内の音が消えた。


「……い」

「……ぉーい」


(声? ここには僕とジョセフしかいないはずだけど)


「……おーい、き……」


(やっぱり誰か……喋ってる……?)


 どこかから声がした様な気がしたが、それ以降は何も聞こえる事はなく、集中して祈りを行うことができた。


「どうだジェスー、ちゃんとレスティ様に祈れたか?」

「多分……でも途中で声?みたいなのが聞こえた気がして、少し気が逸れたかな」

「っ! もしかしてレスティ様か!? もうお声を頂けるようになったのか!」


 ジョセフはガハハと目尻にしわを寄せて、僕の肩を叩いた。痛い。

 祈りの時、聞こえてきたあれは……ほんとに神様の声だったのか。


「なんだか、神様って感じではなかったような」


 そんな事をぽつぽつと考えながら、ジョセフと教会に戻った。


「あ! ジェス君お祈りは終わったのー?」

「はい、シスターアリアがどこにいるかわかりますか?」


 他のシスターと挨拶を交わしながら、僕はアリアの元へ向かった。


「シスターただいま、何か手伝う事ある?」

「……ん」

「シスター……?」

「……そうですね」

「……アリア?」

「あっ! おかえりなさいジェス。お祈りは無事に終わりましたか?」

「う、うん……」


 最近、アリアの様子がおかしい。体調が悪いわけではないらしいけど……どこか、心ここに在らずといった感じだ。

 いつの事だっただろう、もう思い出せないがいつの頃からか、少しずつアリアの意識がない時間が増え始めたのは。

 最近は特にだ。一人になるといつも上の空。何か悩みでもあるのだろうか。


 ジェスはアリアの心配をしつつ、手伝いをしながら夕飯時を待つのだった。

ここまで御覧下さりありがとうございました。

まだまだ続くので、宜しくお願いします。

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