2.神殿掃除と神
買い物から帰るとアリアはもう掃除を始めていた。
「ただいまアリア、約束通り掃除、手伝いに来たよ」
「ジェス! 教会、神殿内ではシスターと呼ぶ様にと、いつも言っているでしょう?」
「ごめん、つい」
アリアに謝り、箒を手に取る。
「もうジェスも……十五歳……ですか、早いものですね……」
「僕は結構長く感じたけどなぁ」
僕は赤子の頃、教会の前に置き去りにされていたらしい。その僕を保護し、今日まで育ててくれたのがジョセフとアリアだ。
本当に心から感謝している。二人は血の繋がりは無くても、本当の両親だ。
「でも、すぐに帰ってくるから」
「ふふ、待ってるわね」
微笑みはしているが、やはりどこか寂しげなアリアだった。
「あ、そういえば」
「どしたの、シスター」
「お掃除をしながら、旅立つ前にレスティ様のお話でもしましょうか」
アリアはこの国の神様についての話をしてくれた。世界にはこの国を合わせて七つの国がある事。そしてそれぞれの国が別々の神様を信仰していること。
「そしてこの国、テザモスの神様はねー?」
『純潔の神レスティ』
神レスティは人間を導き、真実の愛を教え、人々に幸せと正しき愛を運ぶのだ。
そう嬉しそうに話をするアリアは綺麗と言うよりかは可愛らしく思えた。
神殿の掃除を終える頃には、もう昼食の時間になっていた。
「二人ともお疲れさん、他のシスターと神官はもう昼食を済ませたから、後は俺ら三人だけだぞー」
教会横の食堂に行くと、ジョセフは二人を待っていた。
「なにも待っていてくださらなくてよかったですのに」
「まあまあ、しばらくは三人で食卓を囲む事ができなくなるからな、ジェスが旅に出るまではいいだろう」
「確かにそうですね」
こう横から見ていれば本当の夫婦のようだ。僕はそんな事を思いながら食事をする。
「そういえばジェス、昼からの予定はあるのか?」
「いや、特にはないけど」
「そうか……なら」
「俺に少し付き合え」
笑顔でそういうと美味しそうに食事を掻き込むジョセフだった。
ここまで御覧いただきありがとうございました。
更新ペースは未定ですが、宜しくお願いします。