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信仰と七国  作者: 宙辺 砂銀
1/7

1.当たり前の幸せ

「なん……っだこれ……」


 目の前に広がる光景に、僕の頭は理解を拒む。


「あ、あぁ……アリア……」


 あんなに淑やかで、美しかったアリアがどうして。

それに、傍で満足そうな笑みを浮かべている……あの男は?


 頭がぐらぐらする。身体に力が入らない。意識まで遠のいてきた。

今意識を手放すわけにはいかない。こんな状態のアリアを置いて。


「ぐっ……アリ……ア……」


 神像の前で服をはだけさせ、目を見開き、今までに見たこともない表情で天を仰ぐアリアの姿を最後に、僕は辛うじて繋ぎとめていた意識を手放した。


「助けて……ジョセフ」


――二日ほど遡る。



「ほーら朝よ! 起きなさいジェス! 」


  煩わしくも澄んだ声が部屋中の窓を震わせる。


「ふわぁ〜……おはよう、アリア。今日もありがとう」

「もう朝食が出来ているわ、早く支度を終わらせて食卓にいらっしゃい」


  僕は返事をして、支度を始めた。



「おはようジェスー、今日も気持ちのいい目覚めだったなぁ」

「おはよジョセフ。今日もいい丸眼鏡だね」

「なぁーに言ってんだ、眼鏡はいつもと変わんねぇよ」


 ガハハと大きな口を開けて笑う彼はジョセフ、僕の父親にあたる人だ。

美味しそうに笑顔でアリアのご飯にがっついている。


「もう、そんなに急いで食べなくても、まだ時間に余裕はありますよ」


 優しい顔で話す彼女はアリア、僕の母親にあたる人。

静かに食事を口に運んでいる。

 これが僕の朝の始まり、でもそれも後二日で終わってしまう。


「ジェスは今日旅支度の最終確認でしょ? 暫くは寂しくなるわね……」

「くぅ……もう明後日には旅立ちか……ジェスぅ早く帰ってきてくれよ……」

「いや、早くっても最短でも一年程はかかるの知ってるでしょ……ジョセフこの国の()()()()()なんだから」

「んなこと言ってもよー……」


 ぶーぶー言っているジョセフを横目に食事を終えた。

僕の育ったこの国、テザモスでは神官になるために他国を回り、全ての神に挨拶をし、帰ってくるという最終試験がある。僕は食べ終えた食器を片付けながらアリアに話しかける。


「準備自体は終わってるんだけど、買いそびれた物があるから少しだけ外に出てくる。でも戻ったら予定もないし、明後日まで二人と過ごすよ」

「そう! なら帰ってきたら一緒に神殿のお掃除でもしましょうか!」

「うん、わかったよ」


 キラキラした笑顔で掃除を提案する彼女に苦笑いを返しつつ、僕は買い物に出かけた。

ここまで御覧いただきありがとうございました。

更新ペースは未定ですが、宜しくお願いします。

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