表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
色相監獄 - Hue circle prison –  作者: ごはんごパン
1/1

浮上意識

 真白。空もなく、太陽もなく土もなく。ただ何もない、無機質な視界。

 静寂(しじま)。そういえば、自分は呼吸をしているか。

…嗚呼、生きている。私はちゃんと存在している。もしや自分の鼓動すら聞こえなくなったのかと、勘違いするほどの無音。


現にこのような思考だってしているのだ。疑った私が馬鹿だった。


 居るのは私、一人のみ。空虚な心に吹く、在るはずのない風が冷たい。


 ここは未だ始まってすらいないのだろうか、それとも既に終焉を受け入れているのか。どちらにしても、やはりここには何もないのだ。


 そう、何も。


 懐疑。私はちゃんと存在している。そうちゃんと確かめた、筈だった。


 ではこれは、一体全体何だというのだ。そのようなことがあっていいものか。


否、事実有りえているのだ。


 私の意識は浮いている。足が地面に着いていないとかそういう問題ではない。足が、体が、この世界を捉えた目が。いまここで、これらの情報を統括するはずの脳が。


 無いのだ。何も。


 視界が真っ白になりそう。いやそういえば既に真っ白だった。


 悪寒を感じる、吐きそうだ。今すぐ座り込んで泣き喚きたい。

だから出来ないんだって。動かすものが無いんだから―――


 …できた。確かに私は座りたいと思った、だから視線が低くなった。


 止まらない混乱。というか加速している気さえする。

もうなんかどうでもよくなって寝転んだ。空を見上げる。

 青い、青い空を。


「????????????」


 いや白いし、真っ白だし。私は何を―――


 慌てて首を持ち上げる。剥げかけたビルのグレーが、街灯の錆びが、歩道のカラフルなタイルが、自分の服も手の肌色も。


 分かる。いやでもやっぱり白色だ。分かるだけで、そこにあると捉えられるだけで色がない。


「まるで…」


 まるで、なんだ…

あれだ、塗り絵か。「そこにはこの色が当てはまる」っていうのが理解できて、完成図が組みあがる感じ。


一発で真理に辿り着いた達成感。実のところ、何も解決していないのであるが。

 …とりあえず、デカい道路のド真ん中に寝そべるというのはどうかと思った。移動しようか


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ