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夢魔  作者: 聖なる銀木犀
1/1

契約と信頼

夢魔は記憶改竄の能力を持ち、魔王に忠実な悪魔。


「さあ、契約を...」

「...はい...」

暗闇の中で2人の人影がゆっくりと近づく


「綾!!!!」

そこに突如、1人の少女が現れた


「...まほ」

「...あらぁ?契約の儀式には契約者と私だけでいいの...。部外者は立ち入り禁止よ♪」

「契約の儀式...?何を言っているの!!さっさと綾から離れて!この悪魔!」

「......悪魔、ねぇ、...そんなに吠えなくても、すぐ消してあげるわ.........貴女の記憶を、ね♪」

「何を言って...!?!?」

「ん〜、消す、というよりは書き換える、と言った方が正しいかしら...?♪」

「さっきから何を言っているの!!!」

「...まほ」

「...埒が明かないわ。綾、帰ろう!!」

「だめぇっっっ!!!!!」

強引に手を引かれた少女は、突然発狂し、友達に引かれた手を振りほどく。

「...な!?...あ、や...?」

まほ、と呼ばれた少女は目を見開き、よろ、と後ずさる。

「私は...希望を叶えてもらうの...!!契約さえすれば私の望みは叶う...!!!」

「綾...?」

「だから、それを邪魔するやつは、まほでも許さない...!!!」

「っっ!!」

「くすくす...♪らしいわよ、まほちゃん?」

「嫌っ...綾、綾、目を覚ましてっっ!!」

「............」

少女はもう何も喋らない。

「嫌だ...嫌、嫌、嫌、.........ッ!!綾......」

女は、ふふ、と楽しそうに笑う。

「うふふ...♪計り知れない絶望を感じるわ......!!嗚呼、素晴らしいわ!!!」

「あ...ああ...」

女はまほの恐怖に怯える瞳をじっと見つめる。

「怖がってるのね、可愛いわ......♪ふふ、悪魔だなんてよく言ったものだわ。最初はバレちゃったかと思って驚いたわよ、でもあれは、そうね、貴方達の世界でいう”例え”みたいなものなのね♪......でもまあ、例えでも驚かされたことには間違いないわ、だから最後に______イイ事を教えてあげましょう♪」

そして女は少女の耳元でそっと呟いた。

「私の名前は夢魔。夢と幻を司る......悪魔よ♪♪」

「悪魔......」

女の子の目が見開かれる。

「ま、純粋な悪魔ってワケでもないんだけどね~♪半々、ってとこかな?」

「あ...くま」

「それでぇ、ひとつ提案があるんだけど...私と契約結ばない?」

「......契約」

「そう、契約♪そしたら、貴方は綾ちゃんとずーっと一緒にいられるわ♪...見たところ、貴方は綾ちゃんの事が大好きのようだし♪」

「綾と...ずっと、いっしょ?」

「そう、ずーっと一緒。永久に一緒よ。」

「綾...綾......綾綾綾綾綾...あなたは...誰にも渡さない...私と...ずっと一緒に...」



「うふふ、契約完了、ね♪」







「~♪」

夜も深くなってきた頃、暗く狭い路地裏に夢魔はいた。

「今日は5人も契約できちゃった♪やっぱり、飢えてる人間って堕としやすいのね~」

夢魔は路地裏をふよふよと漂いながら今日の成果を魔王に報告しているところだった。

「うむ、ちゃんとノルマは達成できているようだな。よくやったぞ、夢魔」

「もう、魔王さまったら、私を誰だと思ってるんですか~♪」

夢魔と魔王は楽しそうに話す

だがそれは、傍から見れば、理解できない行動だろう。

なんせ、夢魔は1人で喋り笑っているのだから。

実は全ての悪魔は、魔王と脳内で話すことが出来る。

そしてそれぞれの悪魔にはその日ごとに達成しなければならないノルマがあった。

夢魔の場合は、人間との契約、即ち悪魔側に堕とすという事。

勿論、魔王に嘘は通用しないので、ノルマを少しでも上乗せするとすぐにばれ、処刑されてしまう。

それが記憶改竄の能力を持つ、夢魔だったとしても_____だ。

魔王は悪魔界で絶対的な存在であり、その存在を脅かす事は誰にもできない。

全ては魔王のもとに作り出されていると言っても過言ではないのだ。

「ところで夢魔よ、そちらで2人の天使を見なかったか。」

「...天使?いいえ~見てませんよ~?どうかしたんですか?」

「うむ、実はその2人の天使というのが少々厄介でな...双子なのだ。」

「双子...というと?」

「......本来あやつらは1人ひとつの羽を持って生み出される。だが、そやつらは2人でひとつ、つまり、右翼と左翼、別々の意思を持っているという事だ。」

「それは...厄介ですね...天使1人が持つ力はみな同じですから、もしその双子の右翼と左翼がひとつになったら.........」

「うむ、成長されるとどうにも...な、」

「...なるほど、私にその駆除をして欲しいと言うことですね?」

「む、流石、物分りがよいな。頼めるか?」

「魔王様の考えておられることなら何でもわかりますよぅ!......魔王様の仰せのままに。」

「頼もしいな、では、よろしく頼む」

「はいっ♡」

そこで通信は途切れる。

すると、夢魔の顔は先ほどの眩しいばかりの笑顔から冷たく鋭いものに変わる。

「右翼、左翼天使...ね、どうせなら契約でもしてしまいましょうか?♪」

夢魔は楽しそうにくるくると踊りだす。

「ふふ...ずっと、この日をずっとずっとずっとずっと!!!...ずっと、待ってたの.........私を見捨てたあの天使共を狩れる日が来るのをねぇ!!!あっははははははははははははははは!!!」

夢魔は狂ったように笑い出す、くるくると、壊れた人形のように。

「...いけないいけない、これはオシゴトなんだから、ふふふ......それにしても、片翼天使なんて初めて聞いたわ...それに、双子だなんて、堕としがいがあるわ、なんて楽しみなのかしら!!!」

夢魔は、嗤った。

初投稿です。聖なる銀木犀です。

沢山の人に見てもらえたら嬉しいです。

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