するめ
カム。カム。カム。来いと命令しているわけではない。ただひたすらに噛んでいるのだ。硬い。するめってこんなに硬かったっけ。まるでシャーペンサイズのゴムを噛んでるみたいだ。いっこうに柔らかくならない。というかなぜ隣の住人は僕にするめなど差し入れしてきたんだろう…。んー。目的が見えこない。と思いながらカム。
「ピンポーン」
ベルが僕を呼ぶ。絶妙なタイミング。手が離せないわけでもないが、するめを食しているのですぐ出れるわけでもない。
「ピンポーン」
えぇい、やかましい!そんなにかまってほしいか!この寂しがり屋め!すぐ出るよ!
「はい。」
口からクチャクチャという音が漏れているのは許してもらいたい。
「そろそろ食べたかなと思いまして…。」
……。えっ…。えっ……。えっ………?
聞き覚えのあるこの声は隣の住人、そう、するめを送りつけてきた張本人だ。
「そのするめについて説明させて頂きますね。」
無反応を肯定の意と捉えたのか、住人は説明を始める。
「……で………と開発して…という目的があって完成したするめになります。」
住人は嬉しそうに、テンポよく目的を明かす。
なぜ食べていると分かったのだ…。なぜ僕に送ったのだ……。様々な疑問が僕の言語処理能力を攻撃してくる。会話が頭に入らない。
「そして……ということが起こるかどうかを確認するためにあなたに食してもらうことにしましたぁ。」
しましたぁ。しましたぁ。しましたぁ。と、住人の声が脳内再生される。
しましたぁじゃねぇよ。ふっっっざけんなよ。
あぁ…。ああぁ……。あぁあぁ……。僕はこれからどうなってしまうのだろう……。




