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夏祭り

チャンチャカ チャンチャカ アッヨーイ ヨーイッ!!


「おいしいよっー。甘くてきれいなリンゴ飴はいらないかい!」

「安くするよっ、買ってきなっ!!」

「いらっしゃい、いらっしゃい」


 活気あふれるお祭り。若者からお年寄りまでお祭り騒ぎを楽しんでいた。


~松尾と佐野~


 松尾君と遅めにお祭りに来る。


「かき氷、食べる……?」


ドクンドクン


「う、うん。食べようかな」


 心臓が静まらないよっ!!


 特に話をせず、私と松尾君はかき氷の列に並ぶ。


「はい、次の方ぁ!」


 メニューを見ながら話すことを考えていると、あっという間に列が回ってきていた。


「えっと……「イチゴとレモン、1ずつお願いします」


 テンパっていると、いつもの松尾君では想像できなくらいの速さで注文する。


「はいよっ!」


 松尾君はかき氷を2つ受け取るとレモン味のかき氷を手渡してくれた。


「ありがと……なんでレモン味がいいってわかったの?驚いたよ、実はエスパー?」


「違う。ずっとメニューのレモン味の所見てたから……座って食べよう……?」


 ずっと見られてた!?頬が熱くなった。


サク サク サク


 かき氷を掬って食べる音だけが響く、人気のない場所。


「……俺、鈍感じゃない……でも、自信がない……俺は、…」


 沈黙に松尾君がしゃべりはじめた。


---------------------


~1年~


「さーて、このどこかにあの2人が居るわけですけどぉー。どうしましょうか」ニヤニヤ


 人の悪い笑みを浮かべる柿原。他の奴らも悪ノリする。


「柿原隊長!!かき氷に並んでるという目撃情報が入りましたぁ!!」


「わかったわ、とつげ「中学生みたいに冷やかしに行くなよ」


 制服の襟をつかむ。


「ウゲッ。女の子になんて声出させるのよ!あっ、私も行くのよっ!!」


 数名が冷やかしに行ってしまう。


「はぁ、回収しに行きますか……」


 吹部以外にも、部活終わりの坂下生を見かけることができた。


---------------------


~2年~


「神楽ぁ~焼きそば、食べてきてもいい?」

「理絵ー、あたしたち射的してくるねー」

「神楽ちん、花火っていつ上がるかなー?」


「どいつも、こいつも…なんで私の所に来るのよー!?」


「どんまい、理絵。理絵は2学年のオカンだからなー。あっはっはっはー」


 ポンポンと肩を叩かれ、柳井に慰められる。

 柳井とは似ているところがあるのか、高校で出会ってすぐに仲良くなったうちの1人だ。


「バカにしてるでしょ」


 大きくため息をつく。


「ため息ついてるわりに顔が笑ってますよ?別に、嫌じゃないんでしょ。頼られること。私はオカンキャラは高校入学と同時に卒業したけどねんっ」


「そうかもね」


 ふっと、肩の力を抜く。


「ねぇねぇ、松尾君と敦美ちゃんがデートしてるらしいよ」


「まじか!理絵、理絵、見に行こう」


「ちょっと、私は除きなんて趣味ないんだから!」


 半ば強引に引きづられていった。


---------------------


~3年~


「嬉しいな!全員揃うだなんて」


 全身で喜びを表現する。


「心美ははしゃぎすぎ」


「えへへ」


 だって……みんなで居ると楽しいんだもん!


「私なんて、塾サボちゃった」

「私も私もー」

「あとで勉強しなきゃなー」


 とはいえ、集まると始まるのは勉強の話。


「はいはい、来ちゃったものはしょうがない。今日はいろいろ忘れて楽しもう!!」


 さすが、羽田ちゃん。部長なだけあってまとめるのが上手い。


 各々、好きなものを食べたり、買ったりする。時は早いものであっという間に祭りの最後の方に行われる花火の時間になる。


「みんなで一緒に見よー」


「俺、いいとこ知ってるでー」


「なんで、関西弁なの?」


 田中君に問う。


 みんなが笑う。長い時間、一緒に過ごしてきたからか安心する。夏が終われば会えなくなってしまう。すこし、悲しくなった。


「テンションが上がってるからやぁ!……元気、ないで。今は今や。何も考えずに楽しもうさかい」ニコッ


「そうだね、ありがとう。田中君」ニコッ


「高遠からもらった元気のお返し」


 今は今、全力で楽しもう……!


---------------------


~松尾と佐野、再び~


 鈍感じゃないって……?気づいてる?、私の気持ち。


ドッドッドッドッド


 落ち着いてきた心臓の鼓動が、また汽車のように速くなる。


「俺は、…「押さないで!押さないでってばぁ!!」


ガサガサガサ


 人が暗がりから出てくる出てくる。


ヒューーーー…… ドーン


 花火が上がり、暗がりを照らす。


「みんな!?先輩たちもっ!!」


「たす、け……くれ」


 人の山の下からくぐもった声が聞こえる。


「冴木か!?みんな、早くどいてやってくれ」


 松尾君が冴木君を助け出す。


「はぁっはぁ……し、ぬ、かと思った」


 少しガヤガヤしたものの、みんなで花火に見とれる。


「松尾君。私、松尾君が自信をつけられるように吹くから。私の音、聴いていてね」


 コソッと話しかける。


「あぁ……」


 二人の影がつながった。


---------------------


~神楽と柿原~


 花火が始まる少し前にさかのぼる。


「あーあ、バカらしい。人の恋路を邪魔してみなさい。馬に蹴られて楽器が吹けなくなるわよー。私は帰るから」


 例の2人を見つめている中、帰り始める神楽先輩。


「待ってくだっ「「「シッーー!」」」


「話したいことがあるんです」


 小声で話しかける。


「ちょうどよかった。私も、柿原に話したいことがある」


 正直、神楽先輩には苦手意識がある。拒絶されなかったことにホッとした。


「私、酷いこといってごめん……ずっと謝りたかったの」


「謝らなくていいですよ。先輩のおかげで自分を振り返ることができたので感謝してます」


 それに……


「もし、間違えてしまっても、暴走しても止めてくれる人は多い方がいいですから。私は、これからも私の道を通ります。それでも、わたしの事を仲間として思ってくれますか?」


「……批判するときはするけど、仲間だと思ってるよ。あれは私がまだ幼かったせいだから。柿原、これからもよろしくね」


「はいっ!」


ヒューーーー…… ドーン


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