体育祭
「頑張れー!」
「そこだー!!」
「キャーー」
もう体育祭かよ。高校って時間の流れが早いな。
「にしてもアチー」
グラウンドの端の日陰で体操着をパタパタさせる。
上手くクラスに馴染んだみたいだな。
柿原が、誰かと仲良く写真を撮っているのが見えた。
寝みー。疲れてんのかね、俺は……そこから意識が吹っ飛んだ。
「さぁーえぇーきぃいいいい!ここで寝たら死んじゃうよ!!」
グラグラ揺れる。
やっべ、気持ち悪くなってきた……
「…ぉき…るってば……」
「顔が真っ白だよっ!!せんせー!!」
おっきい声出すなよ……頭に響く。
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「ばっか!!アンタバカなの!?6月の気温舐めるんじゃない!!!」
まだちょっと、クラクラすんな……
「起き上がろうとしちゃだめよ。ホント、この子の言う通りよ。なんで、外でなんか寝ちゃったのよ。当分、保健室で休んでなさいね」
他にやることがあるのか慌ただしく保健室の先生は出ていった。
「間宮、ありがとな。間宮がいなかったらマジでやばかった」
「別に。なんか横になってる人がいたから気になって近づいたらたまたま!冴木だっただけ」
「ちょっと演奏するの無理かも……」
閉会式は尾崎先生が振るからボーンがいないってことはないけど、1人じゃ少ないな。
「いいじゃん、体育祭の演奏くらい。でもさ、実感するわー。つくづく部員がいないって。うちの中学さ60人ちょい居たんだよね。高校になってびっくりしたよね、音薄いなーって」
「ほんと、少人数バンドいじめだよな、コンクールって。人が居なきゃ、スタート地点がマイナスからみたいなもんだよ」
「にしても、体育祭なのになんで部活の話してんだろ。莉子みたい……」
なぜかむくれる間宮。
「ははっ、柿原菌移ったかもな。マイナスのスタートって言ったけどさ、最近はプラスに1歩進めた気がしてんだよね。頑張ろうな」ニィ
間宮に向かって拳を突き出す。驚きの表情を浮かべる間宮。
女子に拳はダメだったか……?ひっこめようとしたとき。
コツン
「ん。……私の菌も移ればいいよ」ボソッ
「最後なんか言ったか?悪い、聞こえなかった」
「え?頭がまだ熱にやられてるんじゃない?うち、そろそろ行くよ。お大事に」
間宮が居なくなると、あっという間に眠りに落ちた。
こうして、俺の高校初の体育祭は幕を閉じた。




