吹奏楽バカ
それから2週間。
平日は柿原の合奏で笑みと共にダメ出しをもらい、休日では尾崎先生の合奏で怒鳴るようにダメ出しをくらって過ごした。トゥッティの時のブレスは合うようになったが、それ以外はまだ調整の余地がある。
曲のイメージも、まだまだすり合わせが上手くはいっていない。ただ、パート内で言えばイメージは揃ってきたと思う。
そんな状態でテスト1週間前を迎えた。
帰りのホームルームが終わる。柿原が来るはずがこない……しょうがないのでこちらから迎えに行く。
「柿原さん、提出物はしっかり出してくださいよ。特に!数学の先生から苦情が来ています」
柿原は怒られていた。
日々、的確とはいえダメ出しをされればストレスはたまる。怒られる姿を見て多少スッキリする。
「怒られてやんのー」
教室の入り口に立っている俺に気づいたのか、柿原はバツの悪そうな顔をした。
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「待たせて悪かったわね」
「柿原って楽器以外なんにもできないんだな。体育とかもよく怪我してるみたいだし。提出物って授業中にやるものだって知ってたか?」
目的地に行くバスの中での会話。
柿原のクラスと俺のクラスは体育は合同なのだ。
「そうなの!?真面目にやってきた私がバカみたいね……」
こちらに身を乗り出してきたかと思うと脱力し、シートに深くもたれかかる。
「真面目にって、提出物だしてねぇじゃん」
「真面目にやって終わらないのよ!特に数学とかの提出物とかは最後まで解けなくて放置しちゃうの」
再び身を乗り出してくる。
「周りの……」
周りの人、と言いかけて止める。
クラスに友達いなさそうだな、コイツ……
「気を使わなくても結構。最近は同じクラスの間宮さんと佐野さんが話しかけてくれるようになったの。明日は1年金管女子で勉強会をするのよ」
嬉しそうに話す柿原。
クラの突っかかってきた人、俺が声かけたペットの一人か。間宮に関しては雨降って地固まるだな。
おもむろに降車ボタンを押した柿原。
「降りたら少し歩くわよ」
「ん」




