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クラリネットの1コマ

「なぁ、相対音感ってなんだ?」


 廊下でクラの音を聴いているとき、ふと疑問に思ったことを口にする。


「はぁー。絶対音感って言うのは有名だから知ってるわね。絶対音感がある人は単発の音だけを聴いてなんの音か当てられる。相対音感って言うのはある音をまず聞いて、その音を基準にほかの音の関係がわかることよ。つまり、何度音が離れているかわかる能力ね」


「じゃあ、相対音感はドなのかレなのかはわからないけど、1度離れてるとかはわかるってことか」


「そういうこと。身に着けるには音階を歌えるようになるといいのだけれど……それくらいは自分たちで練習法を見つけてほしいものね。失礼しまーす」


「突然なんなの?」


 クラのみんなが固まる中、間宮が反応する


「先程から聴かせていただきました。クラのみなさんは音程感がいいです。でも、タンギングが苦手です。しっかり練習していますか?」


「してるよ」


「じゃあ一人ずつやってもらいましょうか。テンポ138で16分音符お願いします」


 クラは3年、新堂香也。2年、茅島桜。同じく2年、斎賀美月。1年、間宮かりん。1年バスクラ、山田実里の計5人。3年はいないけどな。

 なんだ、全員できてるじゃん。


「……全然ダメです。これでよく練習した、なんて言ったものですね」


「なんでよっ!できてたじゃん」


 うんうん、心の中だけで同意しておく。柿原ができてないっつてるんだから、なにかダメなんだろうな。


「楽器を貸してください」


「あっ、ちょっと!」


 柿原は間宮から問答無用で楽器を奪う。


「すぅーーーー」


カチカチカチカチ

パパパパパパパパパパパパパパパパパー 


「そうか、タンギングの発音の違いか。柿原の音のほうが聴きやすいしキレイだ」


「むぅーーーー。なんでアンタができんのよっ!そんなにできるならアンタがクラやればいいじゃないの!!!」


「確かに……」


 ほかの人たちも口々に同意し始める。

 あーあ、ここでも雰囲気が悪くなったか……


「無理ね。私はタンギングができても連符はクラの人達ほど上手にできないし、私1人だけでクラパートは無理よ。吹奏楽は1人ではできないの。みんなが居てやっと音楽になる」


「そうだな、間宮たちの力が必要だ。間宮、柿原ができるんだから間宮だってできるだろうし、練習しなきゃ上達しない。クラの人達楽しそうに吹くじゃん?ちゃんと練習すればすぐできるようになるよ」


 できるだけこの空気を軽くするため笑顔を心がける。


「そんなの当たり前でしょ!今日は冴木に免じて許してあげる!!練習の邪魔だからさっさと出て行って」


 勢いよく教室のドアを指す間宮。


「言われなくても。苦手なことを放置して行けるほど全国は甘くはないし私も甘くありません。明日の合奏楽しみにしてますよ?」ニッコリ


 うへぇ、指揮者モードになってる。こえっ……


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