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恋のはじめ。

作者: R

 



私は今好きな人がいます。

 その男の子は同じクラスの高原(たかはら)幸樹(こうき)くん。身長は170前後、ほっそりしているように見えるが、所属はサッカー部で意外と筋肉がしっかりついているし、綺麗に日焼けして肌は浅黒い。黒髪に黒目の日本男子の高原くんは、見た目と違ってとても明るくて、いつも笑顔だ。私は、その笑顔に引かれていたりする。

 彼との出会いは高校二年生の春。クラス替えのときに偶然同じクラスになって、偶然隣の席になった。



 クラスが変わって、ドキドキしていた私。私の席の周りは知らない人ばかりで、心配になって、とりあえず自分の友達がいないかと周りを見渡そうとした時、しかし私は、固まってしまった。

私の視線と高原くんの視線が絡み合う。彼とがっつり目があってしまったのだ。

 こんなにしっかり目があっているのに、無理にそらしてしまうのはできないし、だからといって声をかける勇気は私にはなかったから、ただ、頭の中でどうしようどうしようとばかり考えていた。

 そんな時、口を開いたのは高原くんだった。


「俺、高原幸樹。よろしく」


 満面の笑みでそう私に笑いかけた高原くんは、輝きに満ちていて、私には少し眩しかった。


「わ、私は、中原(なかはら)(いずみ)。よろしくお願いします。」


 緊張でどもってしまった事に後悔したが、気にせず笑いかけてくれる高原くんにほっとする。


「敬語、使わなくていいよ。俺、前はA組だったんだけど、中原さんは?」

「…私はH組。」

「お互い端っこのクラスだね。」

「うん。…この学校ちょっと人数多いから、クラス変わっちゃうと知らない人増えて困っちゃうな。」

「あはは、そうだね。でも、中原さんすぐ友達になれそうだよね。」

「え、そんなことないよ!私、結構人見知りとかするし、他の子みたいに沢山喋るのちょっと苦手だし。」

「ええ!そんなことないと思うけどな。今だって俺と普通に喋れてるじゃん。」

「そ、そうかな。…ありがとうございます。」

「あはは、どういたしまして。なんか中原さんって面白いね。」


 これが、私と高原くんとの初めての会話。

 その後、私を見つけてくれた友達の美波(みなみ)ちゃんが声をかけてきてくれて、高原くんも友達らしき人に話しかけられて、私達の話はそこでおしまい。

 その日の帰りに、美波ちゃんに高原くんの事を話したら、ビックリされてしまった。あんたから男子の話するなんて珍しい、どうしたのよ。だって。

 そう言われて、そういえばと思い出す。もしかしたら、あんな自然に男子とお話しできたのは小学校以来かもしれない。中学校に入って、だんだんと男子と女子の区別がはっきりつけられるようになるにつれて、私も男子との距離をはかっていくようになった。でも、いつしかそうやってはかっていくのも面倒になって、自分から関わっていくのをやめてしまった気がする。もちろん、学校行事とかは皆で声をかけあって協力してやっていたし、そのあとはたまに挨拶もしていた。でもそれらは必要最低限で、それ以上もそれ以下もなかったのだ。

 思い返してみれば、高原くんとお喋りできたあの時間は貴重だったかもしれないなんて、その時の私はそのまま純粋に受け止めていたけれど、今思うと、私の恋心はその時にはもう、始まっていたのかもしれない。


 それから高原くんとの関わりは、少しずつ増えていって、私から彼に話しかけることも多くなった。

 彼との関わりの一つに委員会がある。実は高原くんは学級委員長、私は副学級委員長なのだ。

 うちのクラスは志願者が誰もいなくて、仕方なしと先生は推薦を提案した。そこでまず推薦されたのが高原くん。名前を言われた瞬間「えぇ!?」と驚いていたけれど、本気で嫌ではないらしく、仕方ないなと苦笑して推薦に応えた。

 次に副委員長は誰にするかとなったのだが、その時に手を挙げたのが、なんと美波ちゃんだった。


「先生、中原さんを推薦しまーす。」

「……えぇ!?」


 てっきり美波ちゃんが立候補するのだと思ったから、予想もしていなかった事態に頭がついていかなかったが、理解できたとたん、驚いて美波ちゃんの顔を見ながら大声で叫んでしまった。私の声が教室に響き渡ってしまいとても恥ずかしい。


「おお、中原か。お前になら任せられるな。中原、いいか?」


 実はこの先生、去年も私のクラスの担任をしていたのだ。その時私は書記と文化祭実行委員という役職に就いていて、何かと先生との関わりがあり、お世話になっていた。

 あと言ってしまうと、クラス替えになる少し前、先生はやたら私に話しかけてきた。その内容が、「クラス替えしてもよろしくな」だったり「俺、新任だから分からないこと多くてさ。何かあったら頼むよ。」だったり、意味深なことばかり言ってきていた気がする。いま思うと、ああそうだったのねと、一人で勝手に納得している。つまり、この担任は私の担任となることが以前から分かっていたのだ。

 というか、先生。私達もあなたと同じ年に入った新入生です。とは、あの寂しそうで必死そうな姿に口がさけても言えはしないだろう。


 そんなこんなで、口約束ではあるが、先生が困っているときは助けると答えてしまった手前、それを破るのは自分の良心に傷がつく。そういう訳で、


「はい。」


と、了解したのだった。

 因みに、その後美波ちゃんに、何故私を推薦したのか、吃驚したじゃないかと半ば攻めるように聞くと、


「大丈夫、大丈夫。あんたにはこれが一番なの。」


 と言われ、何がなんだかわからない私を放ったまま、ささっと話題を切り上げてしまった。あのときは、本当に訳がわからなくて、混乱するばかりだったが、思えば恐ろしいことに、美波ちゃんは私の心の変化にいち早く察知して、私のために行動してくれていたのだ。まさに美波様様。感謝してもしつくせません。



 そういった友達からの後押しもあって、私と高原くんとの仲は、なかなか好調だと思う。




恋をすることは人にとって大切なことの一つだと思う。

実際にするにしても、映画や小説を見たり読んだりするにしても、恋愛から学べることって沢山ありますよね。

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