自殺希望者
石井拓也は異世界に召喚され旅に出た…。
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どうもっ!
私は桐谷紫音です!
孤児院出身でオタクです!
こんな私は異世界のこの国アリオンに召喚されました!
頼まれた事は勿論テンプレの
「魔王倒して人類を救ってくれ!勇者よ!」
「りょ…ヒグっ!了解でずぅ!」
王国でリアルテンプレを聞けたときには嬉し涙を流したものです。
「さっさと魔王を倒して人類をサクッと救っちゃいましょう!」
と出発しようとしたそのとき。
「あばよ。この世界。」
路地裏で首を吊ろうとしている男性を見つけた…。
「何で自殺希望者が、ちょうど現れるんですかあ!!!!」
私の最初の勇者の仕事は自殺の阻止になった。
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「あなた職業は何ですか?」
「無職です」
「じゃあ、名前は?」
「いい歳したニートのおっさんです」
「ほ、本当の名前は何ですか?」
「そうです。わたすが変なおっさんです!」
「そんなの聞いてねえよ!!」
(ってそのネタって…。あなたって日本人なの?)
「そうです。わたすは日本人です!」
「勝手に思考をよむんじゃねえよ!!」
彼をしばき倒したあとにもう一度聞いてみると彼の名前は石井拓也と言い前の勇者を
やってたらしい。
魔王討伐に向かい魔王とオセロで勝負し敗北して帰ってきたらしい。
一瞬、しばきたい衝動に刈られたがここはグっと我慢する。
髪の色が青色なのだがこの世界にきたあとに黒から変えたらしい。
「聞きたいけどいいですか?」
「もぉちろんさぁ!」
…
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「あなたは何で魔王討伐に向かわないんですか?神の恩恵も授かっているでしょう?」
神の恩恵とはよくある勇者限定レアスキルの事だ。
「ああ。貰った。俺が貰ったのは不死鳥。相手には絶対に殺されない。って
いう能力だ。」
静かにさっきボッコボコにされた彼…拓也は呟く。
「すっごいスキルじゃないですか!!勇者補正とそのスキルがあれば魔王なんて目じゃありませんよ!」
紫音が興奮気味に言う。
因みに勇者補正は勇者になった人物の戦闘力を上げて魔王に匹敵できるほどに強化できる神の力だ。
「確かに魔王なんて目じゃないだろうな。勇者補正があればだが」
拓也は苦しげに呟いた。
「え?それって…?」
少し戸惑いながら言う。
「俺には勇者補正がない。だから戦闘能力は一般人と一緒なんだ。それが魔王を
倒せると思うか?」
肩を落としながら拓也は言った。