ごみまん
生まれてはじめて書きました。
俺はごみまん(仮)
ごみの山から生まれ、いつかごみへとかえる存在。
ある日、俺はごみの山から生まれた。
生まれた理由など分からない、しかし俺は存在している。
ごみのように臭く、醜い体で、それでも存在しているからには使命があるはずだと、懸命に使命を探す。
そんな俺のもとに、やつが現れた。
その名は、くずまん。
やつもまた、俺と同じように、使命を探していた。
はじめてやつと会ったとき、俺たちはお互いの存在を認識しながら、ただひたすら立ち尽くしていた。
どうしていいか分からなかったからだ。
しかし、一種の直感から、お互いの事を敵として認識したのである。
腐敗臭を漂わせる俺の体は、熱く煮えたぎり、より香ばしい香りを放っていた。
これが、これこそが俺の求めていた使命。
俺は、奴に向けて力いっぱい頭のフケをふりまいた。
普通の人間なら、触れただけで体中がかゆくてたまらなくなる強烈な攻撃だ。
奴はすかさず、すぐそばにいた猫とか犬とかを盾にして、俺の攻撃を防いだ。
罪もない猫とか犬とかが俺のフケにまみれてで悲惨な有様になる。
(この……くずがっ……!)
俺はそのくずっぷりに怒りを増し、さらに強烈な腐敗臭を漂わせた。
くずがその辺に落ちていたマスクとかで臭いを防ぐ。
フケまみれになった猫とか犬とかはもう臭くてたまらないらしく、死んでしまった。
これは、可哀想な事をした。
やつが、俺の攻撃を防いだりしなければこんな事には……!!
俺達は更にヒートアップしはじめる
持てる力の全てを使い切る勢いで、やつにごみを投げつける。飛ばし続ける。
もうこれ以上、俺には手段がないのだ(というかもう書くネタがないのだ)。
しかし奴は、くずの心から生まれた存在。この程度の事で倒せる相手ではなかったのだ。
多くの猫とか犬とか、ロバとかカモシカとか、カラスとかハトとか、ハゲ頭のおじさんとか、小太りのおばさんとか、とにかく色んなもの達が犠牲になった。
やつはくずだ。これほど多くの尊い命を、無抵抗な命の灯火を……!!
俺の心は怒りで爆発していたが、どうする事も出来ない。
だめか……所詮、俺はただのごみだ。ごみごときに倒せる相手ではなったのか?
ああ、髪よ!出来る事ならもっとフサフサに、フケまみれになってくれ!
しかし、なんという事か、俺の髪は、戦いが続けば続くほど、どんどん、美しく、艶のある状態へ変化していった。
(……あら?)
おかしいなと思った。自分の顔を触ってみると、肌に弾力があり、スベスベしている。
汚れきっていた俺の身体は、いつのまにか清潔感に溢れる、ハンサムボーイへと変化していたのだ!
なんということでしょう!!
俺は、今日から「HANSAMMAN」だ!
身体が軽やかに動く。とても正しいフォームだ。
くずなやつは、俺の美しさに見とれている。
そんなやつのスキをついて、必殺・ハンサムーンをお見舞いする。これは、月みたいな形の何らかの物体を、敵に向かって投げつける攻撃だ。
ズドーン!!と、大きな音を立てて、やつが爆発する。
これで、地球は守られた。俺の使命も達成されたのだ。
その瞬間から、俺は、ごみではなくなった。
後になってから思ったが、やつは、俺のごみを吸い取るために生まれた存在だったのではないだろうか?
俺が今、こうして「HANSAMMAN」として生きていられるのは、ある1人のくずのおかげだという事を、今となっては誰も知らない。
完
生まれてはじめて書きました。