かき氷
掲載日:2026/08/15
真っ白の氷の山
昼の空そっくりの青いシロップ
てっぺんには赤いさくらんぼがぽつり
そんなかわいらしいかき氷に
君は躊躇なくザクリッと
銀色のスプーンを突き差した
遠くで笛の音がする
人の燥ぐ声がする
もう夏祭りが始まったんだろうか
僕も夏祭りに来たはずなのに
他人事のようにそう思った
一度くらい二人で行ってみようか
そう言って来た夏祭り
予想を遥かに超える人だかりに
僕らはすぐに目を回して
ちょうど目の前で売っていたかき氷を手に
ひとけのない公園まで歩いてきた
君はブルーハワイのかき氷
僕はいちごのかき氷
口の中に広がる甘みと冷たさを
僕らはぎゅっと噛み締めた
「ひとくち、ちょーだい」
いいよ、と言うよりも早く
君は僕の山をザクリと崩して
青くなった舌の上に氷を転がした
「かき氷のシロップって、全部同じ味らしいよ」
「……じゃあ、どうして僕のとったの?」
君は赤の混ざった舌を
ベッと突き出して
「だって、
それでも君と同じの食べてみたかったから」
こっちもどうぞ、と
すすめられるままに
僕は君のかき氷を口に運ぶ
感じた甘みは確かに似ている
けれど
なぜか君からもらったかき氷のほうが
うんと甘い気がした
ご覧いただきありがとうございました。
同じ味でも共有したい。
誰かに届きますように。




