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全属性の魔法使い2

全壊した冒険者ギルドが国によりすぐに立て直されるとノアは引き継ぎなどもされることなくすぐにギルドマスターとして働くこととなった。

気持ちの切り替えもろくにできていないがそれでも仕事を滞らせるわけにはいかず働くしかない。

ちなみに引き継ぎがされなかったのは職員の避難のために前線で指示を出していたギルドマスターが戦いに巻き込まれてしまったためである。

そして、副ギルドマスターは運良く隣の国へと出張へ行っており難を逃れたが戻るまでに時間がかかり、すぐに引き継ぎをするというわけには行かなかったのだ。

そして、しばらくギルドが空いていなかったため仕事が山のように溜まっており、不慣れながらも頑張って処理していくしかない。

幸いなことにギルド職員も協力的であり、残業などをしてノアの仕事を何とかその日のうちに片付けることができたのだ。


「っんで初日からこんな量の仕事をしなけりゃいけないんだ。無理やり押しつけられたやりたくもねぇ仕事をよ」


ノアがそう文句を言うのも無理はない。

初めてで慣れない仕事の普段ではあり得ない量をこなしたのだ。

逆に初日でその働きができるのは皮肉なことにノアにこの仕事が向いていたためだからかもしれない。

数日経つとノアは仕事に慣れ、少しだが周りに目を配れるようになっていた。

そして、ギルドの受付の負担が大きすぎてしまうという課題や、掲示板の前が混雑してしまうという課題などにも気がつくようになり、少しずつだがギルドをより良くしたい、もっと頑張ってみようといった気持ちも出始めていた。

善は急げだと考え、すぐにでも現在の体制を変えようとしたがそのためには圧倒的にお金や時間、人材が不足していた。

掲示板は数を1つから2つにし、受付近くにあったのを入り口付近へと移動させるだけであったためそう苦労はしなかった。

しかし、受け付けが問題だ。

現在受付は5つしかないためそれによって混雑していると考えたが、さらに増やすとしたらまずカウンターの数を増やさないといけなく、そのための改修費用がギルドとして補填できる金額をゆうに超えるだろう。

さらに人材の育成にも時間がかかるため、いまだ実行できていない。

それからも職員からのちょっとした意見なども参考にして少しずつギルドを良くしていった。

悪戦苦闘しながら仕事をこなしていき、ひと月もした頃副ギルドマスターがギルドへと帰ってきた。


「噂は聞いていましたがそうですか…もとギルドマスターはもう……いえ、切り替えないとですね。あなたが新しいギルドマスターのノア様ですね私は副ギルドマスターのセバス・クロウです。何か困ったことがあれば何でも聞いて下さいね」


「ええっとよろしくお願いします…?」


「敬語は不要ですよ」


セバスは少し笑いながらそう言って楽にするように促すとノアは仕事についての確認を行った。


「〜とこのようなことをして次は受付の数を増やしたいんだがどうすればいいのか困っていてな」


「なるほど…では人材の育成は私に任せてください。そしてカウンターについてですが思い切って数日間ギルドを閉めてその間に新設するのが良いかと」


「なるほど…でもそれだと冒険者から文句が来るんじゃないか?」


「確かに多少の文句はあるでしょうが数日前から告知していればだいぶ落ち着くはずです」


「確かにな。よし、ではそうしようか」


「承知いたしました」


それから数ヶ月で人材の育成も終わり階層まで何とか終わらせることができた。

それからは順調にギルドマスターとしての知識や考えを得てどんどんと成長していった。

そして、大きなトラブルはなかったが数年が経った頃山の向こうから何かが近づいてきているとの報告があった。


「はぁ?ドラゴンだと?そんなヤツが来たら街は…いや、そんな事を考えてはだめだ。とりあえず冒険者にも声をかけてみるがもしだめだったとしても俺が止めてみせよう」


「しかし、そんな危険なことにあなたが出なくても」


「それだと皆に示しがつかないじゃないか。それに、久しぶりに暴れたいからな」


そういってロビーへと降りていき、有志を15人ほど引き連れてドラゴン討伐へと向かった。

戦場につくとそこには多数の死体が転がる地獄絵図とかしていた。

冒険者も怯えてるのが伝わってくる。

もちろんノアだってそうだ。しかし、ここで怯えてはいけないな、と切り替えてノアはドラゴンへと攻撃を開始した。

のあは片っ端から攻撃魔法を使って炎や雷は効きづらく氷や闇、光は効きやすいことに気づきすぐにその魔法を中心に攻めだした。

一方、ついてきた冒険者はただ呆然としているだけで下手に足手まといにならないようにと離れたところでその戦いを見ていた。


「やっぱギルドマスターはつえーな。それに全属性の魔法を使えるって本当だったのか」


「私たちが言ったところで足手まといにしかならなそうね」


「違いねぇ。俺たちは精一杯応援するのみだ」


ノアはそんな冒険者たちの言葉などを聞く余裕がなく必死になって魔法を放っていた。

確かに効いた素振りは見せているが致命傷までは与えられていない。

逆に相手の攻撃は一撃でも当たったら終わりの実に部の悪い戦いだった。

しかし、ここで転機が訪れた。

突然雨が降り出したのだ。

これにより、水魔法は水を生み出す必要がなくそのまま雨水を使って攻撃することができるため効率が良くなり出力にさける魔力も増えるため結果として威力が上がる。

それからはノアの攻撃がようやくまともに入るようになり、数時間の戦いが終わろうとしていた。

ドラゴンは必死になって、がむしゃらに暴れまわったが不幸なことにノアの片目へとかすってしまった。


「っ〜、いてぇなぁ。だがそれだけ追い詰められてるってことだよなぁ」


そう言ってさらに猛攻を仕掛けた。

それを受けたドラゴンはさすがに耐えきれなくなってようやく地に伏したのだった。


「ふぅ〜やっと終わっ…た」


それとほぼ同時にノアも限界を迎え、その場で倒れてしまった。




ノアが目を覚ますとそこは病院だった。

倒れたノアを冒険者たちが運んでくれたおかげだ。

しかし攻撃を食らった片目はもう機能しなくなっていた。


「…まぁ命があるだけまし…か」


その後ノアのドラゴン討伐のニュースは瞬く間に王都に広がった。

そして、それはノアの現在の立場を確立するとともに人類最強、人類の最終兵器という名で呼ばれ、平和の象徴となったのだった。

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