部下最強決定戦 準決勝 2試合目
あの事故から数日が経った。
あれから捜査が進められたが禁呪が用いられたということくらいしかわからなかった。
爆弾の破片も確認され、誰かが仕掛けたとされたが闘技場をもとに戻すために多くの人が協力しており、誰が容疑者が定まっていなかったのだ。
そして、貴族の中ではブレイドが部下を殺そうとしたのではないかという噂まで流れていたのだった。
そして今、ブレイドはエイダに呼ばれていたのだった。
「一応確認じゃがお主が爆発させたわけではないんじゃな?」
「はい、もちろんです。そして部下たちにも犯人に心当たりがないか聞いてみたんですけど誰も知らないみたいでとっても困ってるんですよ〜」
「ふむ、お主も大変じゃな。そして、このようなトーナメントは部下たちのモチベーションの向上のためにも良いな。これからも定期的により規模を大きくして開催しようかの」
「それはいい案だと思います。実際に僕の部下たちは足りない部分などをはっきりと理解して訓練に励むようになったので他の兵にも影響はあると思います」
「ふむ、それではこれからは年1のペースで開催するかのぉ。まぁそんなことはどうでもいいんじゃ。お主は今悪い噂が広まっておる。しばらくはおとなしくしたほうがいいじゃろうて」
「ですが、せめてこのトーナメントは完遂したいと思います」
「なるほどのぉ。お主がそこまで言うのならよかろう。回復を待ち次第再開させるのじゃよ」
「はい!」
それからさらに1週間が経った。
そして、ブレイドの悪い噂は広まったもののそれを信じるものは少なかった。
全くのゼロというわけではないが多くの人はブレイドの周りへの対応やこれまでの態度を見てそんなことをするわけがないと考えていたからだ。
そして、2人とも完全回復したことにより、トーナメントが再開された。
「えー、改めてブランとヴァレンタインの試合を始めます。それでは試合開始!」
2回目となるこの対戦は前回とは違い、ヴァレンタインが警戒して仕掛けなかった。
それを見たブランが好機と見て攻撃を開始した。
「光の微精霊よ我が声に応え敵を穿てライトニングアロー」
この魔法自体はブランも詠唱無しで撃つことができる。
しかし、ブランはあえて詠唱することを選んだのだ。
詠唱により、隙は生まれるがその分精度や威力は上がる。
そのため少しの隙が命取りとなる戦場では滅多に使われないがこういう機会では使われることもあるのだ。
そして、その魔法を身体強化で難なくかわしたヴァレンタインはそのままの勢いでブランへと斬りかかる。
それをブランが片手剣で軽くあしらうとその直後今度は詠唱無しでライトニングアローを放ったのだ。
これにはさすがにすべてを防いだり避けたりするのは厳しく何発か体にもらってしまっていた。
「くっ……さらに早く………さらに力強く………さらに足に力を!」
そして一旦離れた後に先ほどとは比べ物にならないくらいの速度でブランを肉薄する。
そして短剣でブランにダメージを与えることに成功した。
「ふぅ〜今のは危なかった。でもいまのは直ぐに回復ができるからまだまだ威力が足りないよ」
そういって今度はブランから距離を詰めようとしかけるがスピードで負けてしまっているため逆に後ろを取られてしまう。
「これで僕の勝ちだ!」
ヴァレンタインの短剣がブランに届く……………ことはなかった。
ブランはヴァレンタインの動きを完全に読み切り、事前に準備していた魔法を放ちヴァレンタインに大ダメージを与えることに成功した。
「そこまで、勝者ブラン!」
その宣言の後ブレイドはヴァレンタインに回復魔法をかけながらブランにアドバイスを始めた。
「今の罠の仕掛け方は完璧だった。相手が一番油断するタイミングはトドメの一撃を仕掛けるときだからね。でも今後、このスピードに対応できるようにならないとやっぱり厳しいかな?多分剣を極めている人ならこれくらいはできると思うからね。だから剣士としての技量を上げることをお勧めするよ」
「ブレイド様、ありがとうございます。確かにそうすればより強くなれますね!これからも精進していきたいと思います」
そうして準決勝までが終わり残すは決勝のみとなった。
そして、カーライルたちも協力者とともに行動を開始したのだった。