部下最強決定戦 初戦 2試合目
1試合目が終わり、熱狂も冷めやらぬまま2試合目の準備が着々と準備されていた。
やがて、準備が完了すると、2試合目に対戦することになっているシュエとブラッディー・ヴァレンタインが共に対面し、準備完了の合図を出した。
それを確認し、ブレイドは2試合目の開始を宣言する。
「じゃあ2人とも準備はいい?それじゃあ2試合目開始!」
そのブレイドの宣言のあと先に仕掛けたのはシュエだった。
「わたしの魔法でおとなしくやられて!ファイアランス!」
四方八方から迫りくる炎の槍を2つの短剣でさばきつつシュエへの接近を試みたヴァレンタインだったが途中で魔法をモロに食らってしまい足を止めてしまった。
しかし、咄嗟に身体強化を発動し、身体の強化をすることでダメージを最小限に抑えることに成功した。
「まだまだだなぁ僕は。でも、絶対に勝ってみせる!」
そういって全力で踏み込んで距離を縮めようとするが水魔法により防がれ、近づくことができないでいた。
シュエに近づけば水が盾となり、遠くに離れると今度は炎の槍が至る所から飛んでくる。
「近づいても遠くにおってもだめ…か。でも離れるよりは何とかあの水を何とかするほうがいいよね!」
そういって何度も何度も繰り返し近づき、水を短剣で切り裂いた。
しかし、すぐにもとに戻ってしまい何の意味もない攻撃を続けるしかできない状態になってしまった。
すると、突然シュエは今の戦い方をやめ、攻撃を開始した。
「なにも攻撃魔法は炎の槍だけじゃないんだから!アクアウェイブ」
そういってヴァレンタインの体を水が包もうとする。
咄嗟に避けることができたが捕まったら窒息させられてしまうかもしれない。
そのため近づくことはできないがかといって離れることもできないそのため、常に動き続けて魔法を避けていたが突然状況は一変した。
「わたしの罠にかかったね!」
ヴァレンタインの踏んだ水たまりが突然ヴァレンタインの体を包みこんだのだ。
ヴァレンタインがもがき、何とか逃れようとするがそうするたびに無駄に体力を使うことになってしまう。
しかも水の中で思うように体が動かなく、誰もがヴァレンタインの敗北を予想していた。
しかし、ヴァレンタインは諦めずに地面を踏みしめ、全力で足に魔力を集中させ、爆発させた。
その一瞬の出来事に気がついたものはわずか数名程度である。
もちろんシュエは反応することができなかった。
一瞬で距離を詰めたヴァレンタインが首筋に短剣を当てたことにより勝負が決した。
「そこまで!勝者ブラッディー・ヴァレンタイン!」
うおおぉぉ!という一試合目を超える歓声が上がる中勝利したヴァレンタインは力を使い果たして倒れてしまった。
咄嗟にブレイドが体を支え、ヴァレンタインを医務室まで運ばせた。
そして、残ったシュエに向けてブレイドはアドバイスを始めた。
「今の試合の攻め方は悪くなかったね。そして罠を設置するタイミングも良かったと思う。ただ、抜けられないだろうという油断があったせいで抜けられたあとの対処ができていなかった。確かにあのスピードなら仕方ないとは思うけどせめて事前に防護魔法を発動させておいて万が一のことにも対処できるようにしておいたほうがよかったね」
「はい…油断しないようにします………」
そういって観戦席まで戻っていったシュエを見送りながらブレイドは今の試合を振り返っていた。
(今の試合はシュエも負けていなかった。いや、むしろ押していて勝てそうに見えた。けれどそこからのヴァレンタインの応用を利かせた戦いが勝敗を分けた。今の状態でこうだからもしかしたら今後とんでもなく化ける可能性も…)
そうして、2試合目が終わり、3試合目の準備が行われるのだった。