部下最強決定戦 初戦 第1試合
あれから数日が経ち、ブレイドの書類処理もあらかた片が付いたため部下からの要望があった通りトーナメント形式で腕試しをすることとなった。
もちろんフセイン、ロバート、アドルフの3人は不参加である。
他の7名はやる気満々でありコンディションの調整も完璧なようだ。
「ブレイド様、優勝賞品とかはあるんですか?」
突然ブランがそんなことを聞いてきた。
はじめは何もなくてもいいだろうと考えていたが思いのほかみんなからの期待のまなざしが凄かったためさすがに何かしら用意したほうが良いのではないかと考えるようになった。しかし、どのような商品がうれしいのかがわからなかったためみんなに聞いてみた所ブレイドと戦いたいという意見が多かったためそれにしたのだった。
その後、くじを引いてもらった結果トーナメントが決定した。
1回戦 ルナ・ミーシャ vs フェルドール
2回戦 シュエ vs ブラッディー・
ヴァレンタイン
3回戦 ミア・アビス vs シュナ
シード枠 ブラン・ホワイト
といった感じになった。
そして魔王城内の闘技場にブレイドが結界を張り、ルナとフェルの準備も整った。
この戦いを見るために魔王軍の一般兵や幹部たち、エイダまで闘技場に来ていた。
ちなみにもちろんクロエも来ている。
そして審判はブレイドが務めることになった。
「それじゃあ2人とも準備はいいかな?」
「もちろんわたくしは大丈夫です!」
「僕も大丈夫です」
「よし、じゃあ試合開始!」
その宣言によりフェルは身体強化をし、一瞬でルナとの距離を詰めた。
それだけで魔法しか鍛えていないシュエやシュナはやられていただろう。
しかし、ルナは慌てることなくフェルの大剣をミスリルでできた扇を使い軽々といなした。
さらに、体勢を崩したフェルに対してアイスバレットで仕留めにかかった。
「くっ…でも、僕だってやれるときはやれるんだ〜〜〜!」
そういって気合で体勢を持ち直したフェルは大剣を器用に使ってアイスバレットを防ぐ。
しかし、魔法を防ぐのに気を取られているうちにルナは目の前から消えていた。
その隙にルナはすでにフェルの背後を取っていたのだった。
「これで…終わり!」
そういって扇に氷魔法をまとわせてフェルへと振りかざした。
扇が水色に輝く。
ルナはミスリルの魔力に馴染みやすく壊れにくい特徴を活かして氷魔法をまとわせたのだった。
その扇は氷をまとったことにより威力と耐久力を上げている。
さらに、振るだけでアイスバレットが発動するという効果もついていた。
「あっ…」
ルナのその攻撃に対応できなくフェルはあっけなく地面へと倒れてしまった。
「そこまで!勝者ルナ・ミーシャ!」
「「「うおぉぉぉぉぉ!」」」
観衆は大盛り上がりし、よく頑張ったという声や男のくせにダセェぞ!などとやじを飛ばすものなどがいた。
しかし、その言葉は無視してブレイドは2人の元へと駆け寄った。
「2人ともお疲れ様。フェルは大剣を軽々と振り回せるほど身体強化をできるようになったんだね。でもまだ応用力が足りないから実戦経験をもっと積んでこれからも励むように」
ブレイドの言葉にフェルは悔しそうに、それでいて嬉しそうに
「はい!次はルナさんにも勝てるようにこれからの訓練も頑張ります!」
それに頷いてからブレイドはルナへと向いた。
「ルナは扇と魔法を組み合わせて繊細な戦いができていていいね。そして魔法も安定してきている。でもフェルのような大剣使いがより身体強化してきて詰められたときには少し今のままだと心もとないかな。だからルナも身体強化をできるようにするか氷や防御魔法で守れるようにしたほうがいいと思うよ」
「なるほど…確かにそれは少しきついですね。これからわたくしはそのようなときに対処できるように訓練していきますね!」
そうして初戦第1試合は幕を閉じたのだった。