帰国
その日はブレイドが馬車まで戻り、そこで休むことになった。
翌日からブレイドがクロエたちに魔法の特訓をつけてもらえることになり、まず初めに古代術式の使い方について教わった。
『わたしが教えてあげたいんだけど正直わたしは古代術式が苦手だからなぁ…仕方ないからサムに教えてもらいなよ』
そういってサムを連れてきたクロエはこれからどのようなことを教えるのかを他の大精霊たちと話し合いに行った。
残ったブレイドとサムはすぐに古代術式の特訓を始めたのだった。
『古代術式というものはまず魔法陣というものと古代文字について理解せねばならん』
そういって空間魔法のストレージから一つの書物を取り出すとそれをブレイドへと渡した。
『それを理解できるようになったら次は魔法陣についてじゃな。とりあえず軽く説明しておくが魔法陣はあらかじめ術式を刻んでおいて魔力を通すだけで発動する便利なものじゃ。しかし、それには課題もあるゆえそれについてはあとからじゃな』
そういってサムは他の大精霊たちの下へと戻っていった。
ブレイドは一生懸命古代文字を理解しようとするも簡単にいくはずもなく悪戦苦闘しているとエリーが話しかけてきた。
『あら?もしかして苦戦しているのかしら?なら私がコツを教えてあげる。古代文字は現代で使われている文字の元になっているだけあって似ているところがあるの。例えば風魔法だと現代だと風と打つの言葉が最低限必要でしょ?それと同じようにこの文字が打つ、そしてこれが風、これが氷、炎、水、雷、闇、光、そして最後に今では使われなくなった封印だね』
「なるほど…確かにそう考えるとわかりやすいですねありがとうございます」
教えられたようにイメージすると少しだが古代文字について理解を深めることができた。
しかし、まだまだ覚えるには時間がかかりそうだったため、覚えたときに召喚して教えてもらうことにしたのだった。
どこか名残惜しい感じがしたが大精霊たちと別れたブレイドは真っ直ぐ魔王領を目指して帰路についた。
別れる際に『いやだ〜!わたしもついていくの!』といって泣きじゃくるクロエをなだめるのは大変だったが何とか他のみんなに抑えてもらい、その間に抜けてきたのだった。
「はぁー、なんとかして追いつきたいけどそのためには古代文字を完璧に理解しないといけないし魔王城に戻ったら仕事もあるしどうすれば…」
そんなことを考えて魔王領を目指すブレイドだったが少しでも勉強しようとその時間を使って渡された本を読んでいたが、あと少しで魔王領というところで突然馬車に衝撃が走った。
「な、なんだ…?」
馬車の外に急いで出るとそこには別れたはずのクロエがいた。
『いてて…あっブレイドくん!つい、来ちゃった』
「いやいやいや、つい、じゃないですよね?なんでここにいるんですか?」
『みんなに止められたけどやっぱりなんか手伝えることもあるだろうし?それに近くにいておきたいみたいな…?』
「でも確か古代術式とかは苦手って…」
『う、うるさ〜い!別に他のことを教えることができるから!』
それからも言い争いを続けながらもそれから特に事件がなく魔王城まで着くことができた。
着いてすぐエイダに報告に向かったブレイドはまずクロエのことについて問い詰められた
「だ、誰じゃおぬしは」
『わたしはクロエ・ブリーズ。ブレイドくんの将来の嫁ね』
「よ、嫁じゃと…?そんな…少し見なかっただけで嫁を連れてくるとは…」
「いや、自称嫁ですからね?実際は違うので勘違いしないでくださいね?」
『いやーんブレイドくん私たちこんなに仲いいじゃん』
そう言って腕を絡めてきたためブレイドは反射的に魔法を放った。
その魔法はクロエに直撃し『ぐへぇ、、、』
といって壁へと激突した。
「だ、大丈夫なのか…?クロエとやらに魔法を放っても」
「大丈夫ですよ頑丈なんで」
『なんかわたしに対しての扱い酷くない!?』
なんやかんやありつつもその後セントウェルダンでのことを報告したり、精霊のことを隠した馬車の旅について話したりした。
クロエの部屋も用意され、今日は各自部屋で休むことになったのだった。