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クロエ・ブリーズ

ブレイドは隙だらけに見えて全く隙のないクロエに攻めかねていた。

しかし、クロエはいつまでも待つような構えであり、仕掛けざるを得なくなっていた。

ブレイドが先の尖った氷をクロエの周りに無数に発生させ、それをクロエに放った。


「アイスバレット」


魔法の発生までに1秒も立っていなかったがそれを見てクロエは


『遅い』


そう言って、次の瞬間にはブレイドの発生させた氷は全て破壊されていた。


「なっ…何が起こったんだ」


そのブレイドの様子を見れて満足したのかクロエはケラケラ笑いながらその種を説明し始めた。


『フッフッフ、これは相手の魔法に無理やり干渉して破壊するやり方だよ〜。まぁ簡単にできるから倒したあとに教えてあげるよ』


そう言うと一瞬でクロエは距離を詰め、ブレイドを肉薄にし、拳を叩き込んだ。

それは普通の打撃と同じように見えるが実際は相手の中で魔力を暴走させて内側からの破壊を狙った攻撃なのである。

それはブレイドの防護膜を貫通し、そのまま体へと直撃した。


「ぐぁっ………っく」


何とか体制を整えようとするが次々と追撃が来る。

近接攻撃を対処しようとするとクロヱの使う魔法の対処が遅れてしまう。

せめてどちらかだけであったなら何とか対処は可能なのだが常に気を張り続けないとあっさりとやられてしまう。

そのため警戒しているとクロエがクスクスと笑いながらブレイドの考えていることを完璧に理解したかのように今度は魔法だけで攻め始めた。


『これなら何とか対処できるでしょ?ほらほら〜頑張って〜』


そういいながらブリザードランスやアイスジャベリンといった上級魔法をノータイムで放ってくるため、一生懸命魔法の迎撃をする。

そのためにはそれと同程度の威力の魔法を使わなければいけないためゴリゴリと魔力が削られていくのがわかる。

何とか反撃に出るがあっさりと受け流されてしまう。


(どうやればクロエに攻撃が届く…?単純な攻撃ではダメだから何かしら工夫を加えないと…)


そんな事を考えつつ確実に攻撃を無効化していく。

何度も繰り返していくたびに発動速度や効率が上がってきたため、少しずつだが余裕ができてきていたため、作戦を考える時間もできてきていた。


(使っていない手は…そうだ、剣でなら意表をつけるかも)


そう考えると同時にクロエへと魔法を準備して突っ込んでいった。

ブレイドが目の前で剣を取り出し、魔法を剣へとまとわせてクロエへと攻撃した。

その攻撃はクロエへと当たり、頬に少しの切り傷をつけることに成功した。


『いっ〜…さすがはわたしの将来の夫ね。攻撃をわたしに当てれなかったらどうしようとか思っていたんだからね』


そう言うとクロエは先ほどまでより楽しそうに魔法を放つ。

先ほどまでは使っていなかった極大魔法や古代術式を使った魔法を使い始め、ブレイドを再び圧倒し始めた。

これまでとは氷に込められるエネルギー量が桁違いに多く、軽くかすっただけでもかなりのダメージが出てしまう。

さらに、古代術式は防御魔法の弱点である物量攻撃に長けた術式のため、相性は最悪と言ってもいいだろう。


「ガハッ………まだ…まだだ…!」


ブレイドもこれまで以上に魔力を込めて魔法を放つがどれもクロエには届かない。


(あぁ…これが大精霊様との差、か。遠いなぁ)


そんな事を考えながらブレイドの意識は無くなっていった。


『やばっ楽しくなってついやりすぎちゃったかも…。そうだ、とりあえず回復、ルミナス、お願いできる?』


『はぁ〜、仕方ないわねぇ。今回は特別よ?この貸しは高くつくからね』


そういってブレイドに回復魔法を施し、ブレイドが目覚めるのを待っていた大精霊たちなのであった。



あれから何時間だったのだろうか。

ブレイドの記憶ではまだ日が沈みかけていたがもうすでに日は完全に落ちてしまっている。


『みんな〜ブレイドが起きたわよ〜』


ルミナスがそう言うと真っ先にクロエが飛んできてスライディング土下座を披露した。


『本当にごめん。楽しくなっちゃってついやりすぎちゃった』


「いえ、僕の方こそまだまだだと思い知りました。これから精進していきたいと思います。」


『そこで提案なんだけど、私たちと魔法の特訓をしない?』


その願ってもない提案にブレイドは喜んで飛びつき、これからの予定が決定した。

それと同時にブレイドには目標ができた。

それはとてもとても高い目標であり、常人には到底達成できないようなもの。


「絶対にクロエさんにも負けない最強の氷魔法使いになってみせる」

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