勇者
「よし、みんな準備はいいかな?絶対に魔王を倒して世界を平和にするぞ!」
「ええ、もちろん」
「当たり前でしょ?」
「俺に任せとけって」
僕たち、勇者パーティーは今、魔王城まで来ている。
国王から諸悪の根源である魔王を討伐しろと依頼されたからだ。
勇者パーティーのメンバーは4人で、勇者ブレイド・オーティス、聖女ノルン・フェリア、大魔導士ソフィア・フレイ、戦士オックス・フュードである。
寄せ集めの4人であるが、それなりに長い事冒険をしてきたことにより、ある程度の信頼関係は築かれている…はず(ブレイドの勘違いでなければ)
兎にも角にも、4人は魔王城へと足を踏み入れるのだった。
「なんなのよこいつ、魔法が全然効かないじゃない」
「ふん、当たり前だ。なんせ俺様は魔王様の直属の部下である四天王だからな。おっと、名乗りが遅れたな、俺様はモーブ・グレイスだ。魔法など俺様の鍛え抜かれた肉体にはきかん!」
「なら普通に斬ればいいじゃん」
「ギャァァーーー」
「さ、さすが勇者様。それにしてもあっけないというかなんというか…」
「…まぁとりあえず先に進もう!気にしたら負けだよ…うん」
しばらく進むと、禍々しい毒で覆われた部屋にたどり着いた。
そこに、一人の男が立っていた。
「私は魔王様の四天王の一人、ペール・ドラム。以後お見知り置きを」
「ふん、ここはおれに任せてくれ」
「勝てるんだな?」
「当たり前だ、俺を誰だと思っていやがる」
「全員でかかってきてもいいものを、わざわざ一騎打ちだなんて相当あなたは馬鹿みたいですね」
「は?なんだとコラァ、手加減なんかしねぇからなァ」
すると、オックスの攻撃がペールに当たったが、ペールの体が毒の液体になり攻撃をいなしてしまった。
また、それだけではとどまらず、オックスに毒による大ダメージを与えていた。
「グハッ」
「大丈夫ですか?今治療しますね」
すると、みるみるうちに傷がふさがりオックスは回復することができた。
「それにしてもどうすっかなぁ、あいつに攻撃は当たらねぇし」
「なぁに簡単な話でしょ?私の業火で焼き払ってしまえばいいのよ!」
そう言ってソフィアが魔法の準備を始め、ペールへと撃った。
「ガッ、この私が…負ける…なん…て」
「ふぅ、意外となんとかなったわね」
「うん、助かったよ。じゃあ次の部屋に行こうか」
またまた進むと今度は腐敗臭の溢れる部屋へとたどり着いた。
「えぇ〜、わたし、この中に入りたくないんだけど」
「これに関しては同意見…ですね」
「でも行くしかない、頑張ろう」
「あぁ、そうだな!」
そうして部屋の中には2体のアンデッドが待ち構えていた。
「ワタシハ、シテンノウノ、ダイ・デッド。ソシテコッチハペットノアンデッドドラゴンデス」
「よし、じゃあ作戦はノルンが神聖魔法の準備をしている間、僕たちで足止めをする。それでいいかい?」
「あぁ、問題ねぇ」
「私もよ」
「よし、じゃあ行こう!」
それから、ダメージはないもののブレイドが斬ったりオックスが殴ったりして神聖魔法の発動を待った。
そして、
「準備、できました」
「了解、みんな、引いて!」
三人が距離を取ったと同時に神聖魔法が炸裂し、灰すら残らずにダイと、アンデッドドラゴンは消えてしまった。
「ふぅ〜、なんとかなった、な」
「何処かで一旦休憩したいわね」
「賛成です。さすがに魔力を使いすぎてしまいましたから」
「よし、じゃあもう少し進んでから休憩を取ろう」
そうして、部屋を出てから1時間弱休憩した4人は、最後の四天王が待つ部屋へと足を運ぶのだった。
「フッフッフ、ここまでたどり着くとはなかなかやるようだな。だが、貴様らはこの私があの世へ屠ってやろう。なんせ私は四天王で最ky(割愛)そういえば最近暑くなってきたよな」
「あー、もうごちゃごちゃうるせーんだよお前」
「ふむ、私としたことがしゃべりすぎてしまったな。ちなみに私はゼノという」
「そういや、あんだけ喋っといて名乗ってなかったな…まあいい、あいつを倒して魔王も倒す。それでいいんだな?ブレイド」
「ああ、絶対に一人も欠けずに倒すぞ」
「それじゃあ私がまず魔法を放つからあなたたちで足止めしてくれる?」
「「了解」」
2人の攻撃により、少しずつ相手の傷が増えていく。
また、ソフィアの魔法によりゼノの体の大半地消し飛ばすことに成功したがすぐに回復し、致命傷へは至らなかった。
「なるほど、な。貴様らは私が本気を出すにふさわしい敵ということか。ならば見せてやろう、真の力を」
すると、ゼノの体から禍々しいオーラが溢れ出した。
また、大きな角が額から生え、背中には翼まで生えていた。
「くっ、コレがこいつの本気、仕方ない、奥の手を出すしかないみたいだね」
「みなさん、勇者様を守ることに集中してください」
「えぇ、わかってるわよ」
「させるわけがないだろ」
ゼノの攻撃が容赦なくブレイドを襲うがそれを必死に3人で防ぐ。
やがて、ブレイドの剣へ魔力が収束し、辺り一面に氷の結晶が舞っていた。
「さあ、氷の勇者であり、歴代最高のあなたの実力を見せてやりなさい」
「うん、任せて」
その刹那、ブレイドの一撃がゼノへと吸い込まれていき、とてつもない破壊のへネルギーが生まれた。
そのエネルギーにゼノの体が耐えきれるわけもなく、その場でゼノは崩れ落ちてしまった。
「見事だ…勇者よ」
「いよいよ次が魔王戦ね、気を引き締めなくちゃ」
「ごめん、少し休んでもいいかな」
「そうですね、このあたりで軽食を食べて次に備えましょうか」
そう言うやいなやすぐに準備を進め、全員で食事を取り、十分に回復したところで魔王との戦いへと向かった。
「お主らが妾の城をめちゃくちゃにしてくれたゴミムシじゃな。ボコボコにしてくれるわ」
「よし、さっきと同じ作戦で行くか」
「「「了解」」」
「そのような小細工が妾に通用するとでも?」
すると、魔王が魔法を放ち、それを防ごうとする三人が後方へと飛ばされてしまった。
3人とも意識はあるものの致命傷を負い、立ち上がれずにいた。
「なっ、みんな…よくも……皆を」
突然、ブレイドの体から溢れんたばかりの魔力が放たれた。
「なっ、この魔力、妾と同じかそれ以上じゃと…?」
「絶対に、許さない」
そこからは一方的な戦いだった。
ブレイドが斬る。ブレイドが殴る。ブレイドが魔法を放つ…
しかし、そんな状態になってただで済むわけもなく、ブレイドの消耗速度も魔王の傷が増えるのに比例して多くなっていた。
しばらくし、そこには満身創痍な魔王と、これまた満身創痍のブレイドが立っていた。どちらもいつ倒れてもおかしくない状態で、意地と意地をぶつけ合い戦っていた。
しかし、この状態も長くは続かず、先に地に膝を付けたのは魔王だった。
「これで終わりだ」
「ふっ、妾が負けるとは…な」
すると、柱の陰に隠れていた人影が魔王の前へと立ちふさがった。
「こ、これ以上ママをいじめないで!」
「だ、駄目じゃ、あれほど出てくるなと言っておったのに」
「うっ、だって、ママが死んだらやだもん…」
「それに、妾はもう助からん、お主は幸せになるん…じゃぞ……」
「ママーーー」
この光景を見ていたブレイドは意気消沈していた。
(え、僕たちは悪を倒すために戦ってきたはず、もしかして魔王も自分たちの平和を守るために…?)
その考えがよぎったとき、後ろの方から声が聞こえた。
「ゆ、勇者様…回復が終わり…ました」
「あ、ノルン…」
ブレイドが仲間たちの方へと向かおうとしたところ、突然、勇者パーティーのみんなの体が光りに包まれた。
あまりの眩しさに目を瞑り、再び目を開けるとそこには見慣れぬ風景と豪華な椅子に座っている小さな女の子がいた。
今回から新しく書いていきます。
不定期ですがしっかりと書き進めていきたいと思うので応援の程よろしくお願いします。