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唯一俺だけ男の魔女  作者: ののん
入学編
8/20

8話

 昼食を終えた少年少女達は少しのんびりした後、全校集会が行われる講堂へ移動していた。


 「なんか楽しい人だったね」


 講堂に移動している途中で京香とは別れた。

 その女性軍人を思い浮かべながら茶髪のポニーテール少女の茜が話を切り出す。


 「楽しいというか、騒がしいって感じだと思うけど」


 苦笑しながら陸も京香のことを思いうかべる。


 昔からあの人はずっと明るくて元気で騒がしい。でもその底知れない明るさに元気をもらったことも多い。色々と困っていた時も助けてくれたし、すごく感謝している。

 でも直ぐにふざけたりするのはもうちょっと控えてほし。


 「ところで早乙女はあの女性とどこで知り合ったのかしら?」


 転入生の少年はこれまでは普通の学校に通っていた。ちまり一般人と言われる部類の人間だ。その一般人が軍人と知り合う機会は少ない。少ないだけでないわけではないが珍しいことだ。

 それに親しくしていてただの知り合いには見えなかった。

 だから少年が軍人と楽しそうに話しているのを少し疑問に感じる刹那。


 「さっきも言ったが色々と世話になったんだよ」

 「なんであんたみたいなのが世話になるのよ」


 白髪の少女に対して返した言葉に赤髪の少女が突っかかってくる。

 一般人のはずの男が軍人委世話になると言いうことに少しの違和感を感じたからだ。


 「まぁ、色々だよ」


 濁した言い方をする少年にイラっとしたような顔をする芹佳だったが、それを口には出さなかった。

 今の時代、軍人に世話になると聞いて真っ先に思い浮かぶのは魔族関連のことだ。そのことでは多くの犠牲者も出ている、

 そのことを頭に思い浮かべた芹佳は何も言えなくなった。

 もしかしたらこいつも魔族関連の事件に巻き込まれたのかもしれない、と。


 「そのことは良いじゃないっすか。それよりもすごく注目されてるっすね」

 「(なんでこんなに注目されてるのぉ)」


 この中の最年長者でもある薄緑髪の少女が間和英を見渡し話を変える。桔梗も芹佳同様のことを思いうかべたので最年長者として変な空気になる前に話を変えたのだ。


 桔梗が言った通り現在少女達は周りからすごく注目を受けている。

 八人の少年少女と少し離れた場所から大量に視線が飛んでくる。その大量の視線の先が少女達、というよりは一人の少年に向けられていたのだ。

 だけど注目の的である少年の近くにいるということは、少女達も視線を向けられていると感じるもので、特に恥ずかしがり屋の少女は小さな先輩の背に隠れてビクビクと怯えていた。


 「ねぇ、あの戦闘クラスのなかにいるのって、男の人じゃない?」

 「そんなわけないでしょ、制服着てるんだし魔女でしょ?」

 「そうだよ。カッコいい系の女の子でしょ」

 「それにしては格好が似あいすぎてない?」

 「うん。それに顔は悪くないけど滅茶苦茶カッコいわけでもないし、普通に高校生くらいの男の子に見える」

 「そうそう、あぁいう男の子はイケメンの男の子に押し倒されるかんじだしね」


 などと少年を見ながらこそこそと話している、

 陸のことが男なのか同課で話しているが多い。それも当然で誰も男の魔女が居るなんて想像もしていない。だからこの学校、魔女育成学校の制服を着ているということは女。でもどう見ても男。

 色々な意見が出て判決はされないままこそこそと話は盛り上がっていた。

 中には変な考えを巡らせている者も数名居るみたいだが。


 「まだ他の奴らは何も知らないからな。男の俺がここに居るのが気になるんだろ」


 (何か嫌な想像されている気がするんだが、俺にそういう趣味はないからな)


 誰に言うわけでもないのに心の中で強く否定する少年。

 表には冷静にふるまっているが心境は少し揺れていた。少年はノーマルなのだ。


 「でも、陸さんがはっきりと男の人だとみなさんが知ればもっと騒ぎになりそうですね」


 少し心配そうにするピンk髪の少女。

 そんな日菜に陸は慣れてるから大丈夫と何度目かの言葉を発しようとしたところで話に入ってくる人物が現れた。


 「君が早乙女陸くんだね」


 話しかけてきたのは緑の髪を靡かせる高身長の少女。


 「そうだけど、あんたは?」


 名前を呼ばれたことに首を傾げて誰何すいかする。


 「私は時安(ときやす)世界(せかい)。生徒会長だよ」


 凛とした顔立ちの少女は髪を靡かせて自己紹介する。

 片腕を腰に当てて佇む姿は高身長も相まって様になっている。


 「あぁ、生徒会長か。えっと、もしかして迎えに来てくれた?」

 「そうだよ」


 どうして自分のことを知っているのだろうと疑問に思った少年だったが、生徒会長ということを聞いて納得する。生徒会長なら事前に陸のことを聞いていても巣市議ではない。

 そして彼女の立場と今こうしてここに陸を訪ねてきたことを考えて、自分のことを迎えに来てくれたのではと予想して問いかける。

  少年の疑問に頷いた生徒会長と名乗る少女は髪を派手に靡かせながら振り返る。


 「それじゃあ行こうか。案内するよ」

 

 首だけを後ろに振り向かせながら少年に付いてくるように視線を向けてくる。


 「じゃあ俺は行くから」


 陸はクラスメイトの少女達に声を掛けてから世界に案内される形で付いていった。




 生徒会長についていくクラスメイトの少年を見ながら少女達はその場で少し話していた。


 「それで、あんたはどうしてあいつに懐いているのよ。私たちよりもあいつとの距離の方が近いようにみえるけど?」


 最初に口を開いたのは芹佳だった。芹佳はあの男と接する態度が今まで気になっていたので、陸が居なくなったタイミングで訊いたのだ。


 「…陸は希望」


 答える真白の態度はいつも通りの無表情だったが、どこか暗い雰囲気を感じさせていた。

 それを見たクラスメイトの少女達は出会った当初の彼女を思い浮かべる。その時よりはましだけど、どこか他人と接するのを避けているような、恐れているような、そんあ感じが無表情ながらも伝わっていた。


 「意味が分からなわよ」


 あの音鬼何を期待することがあるのか全く想像できない芹佳は更に疑問を深めながらも、これ以上訊いても答えが返ってきそうになかったので諦めて溜息を吐いていた。


 「それを言うなら茜ちゃんも陸ちゃんとの距離が近いように見えるっすけどね」


 次に疑問を述べたのは薄緑髪の少女だった。とは言っても疑問というほどのものではなく、次の話題を切り出したくらいの軽い気持ちだった。

 話を振られたポニーテールの少女はウインクをしながら答える。


 「だって男の子の魔女だよ☆」

 

 今までに聞いた子もない存在。気にならない方がおかし。


 「それはそうかもしれないけど、君たちは少し距離が近い気がするわ」


 茜のウインクを見ながら刹那は顎に手を当てながら呟く。

 それを聞いた芹佳はあんたも近い気がするとおもったが、芹佳が距離が近く見えるのは少年の性質に引かれているからだ。本来女しか存在しないはずなおんい、陸は男でありながら魔女になった。そういった状況が刹那にっと手ものすごく興味を引いていた。何せ彼女はクラスメイト曰く『厨二病』なのだから。


 「だってりっくん、結構強くて頼りになりそうだし、なんか弟にしたくなる感じがするんだよねー」

 「確かに強かったすね。雰囲気も自分的には好感度高めっすし」


 戦闘トン簾尾少年の様子を思い浮かべながら少女達は評価する。桔梗もその点含めかなり陸のことをこう評価しているようだ。とはいえ彼女は後輩の面倒を見るのが好きなので、それもあって陸のこと色々と気にしているというのもあるが。


 「陸さんはとっても優しい人ですよ」


 ピンク髪の少女も興味津々で少年に接していて、それにかなりの好感触を現していた。


 「日菜は素直ね。…誰に対してもそれだと悪い人間に引っかかるかもしれないから気を付けるのよ」


 フワフワ系の後輩が満面の笑みで語るのを見て、芹佳が相変わらずと思いながらも少し心配を感じていた。誰に対してもこう心を開くような純粋な心は素敵なことだが、その分悪い人間に悪意を持って接してこられるのではと心配にもなる。


 「なはり彼は凄くモテるようね、うらやましいわ」


 クラスメイトたちの様子を見て改めて呟く。更に少年が去って行った方を眺めて刹那は続けた。


 「生徒会長にも気に入られているように見えたわ」

 

 刹那の目には陸と歩いていく生徒会長、時安世界の表所がいつもより明るく見えた。

 そのことは他の少女達も感じていたみたいで刹那に同意するように返す。


 「生徒会長、いつもより表情が柔らかかったよねー」

 「いつもはもっときりっとした顔つきっすけど、陸ちゃんと話すt気一瞬微笑んだように見えたっす」

 「なんで男のくせにみんなに評価背れているのよ」


 若干一名、少年に対する印象に納得いっていない者もいるが、大体の人物は刹那の言葉に頷いて、陸への印象も高くなっていた。


 「もしかして早乙女は女たらしなのかしら」


 呟く刹那。

 今日この学園に来て、実力を見せて、それに合った評価をされた。 

 だというのに少年にとって理不尽な言い方だった。




 「今日、この学園に入学してきた早乙女(さおとめ)(りく)だ。見ての通り彼は男手がれっきとしたあ魔女でもある」


 壇上で時安世界に紹介される白い制服をまっとた少年、早乙女陸。顔に気まずそうな苦笑を浮かべる少年は無言のままその場に佇んでいた。

 生徒会長の言葉に、それを見ていた多くの生徒たちがざわざわと騒ぎ出す。


  「静かに。みんなも色々思うところはあるだろうが彼も慣れない環境での誠克になる。気になる気持ちは分かるがあまり本人の迷惑にはならないように気負付けてあげてくれ」


 騒いでいた生徒達を制して話を続ける。それでも少しの話声は聞こえてくるが、それは気にせずに時安は手に持っていたマイクを陸へ渡した。

 一言何か言ってね、と渡された転入生の少年は差し出されたマイクを受け取って口を開く。


 「…見ての通りの男だが魔女の早乙女陸だ。これからよろしく頼む」


 簡単に自己紹介をした転入生委に対してぱちぱちという拍手の音が一つ二つと段階的に増えていき、最終的に多くの手をたたく音が講堂に満ちていた。


 (なんかすごい受け入れられてるのか?)


 思った以上拍手の大きさに予想外の陸。もっとドライな感じで済まされると思っていた。

 

 講堂で拍手をしていた少女達は壇上の転入生を見て、各々の感想を抱いていた。

 或いは興味を。

 或いは疑いを。

 或いは無関心を。

 

 様々な感想を抱く少女達だったが手を叩いていた。

 それは転入生の少年に、というよりは生徒会長の少女に立ちするものが多かったからだ。

 彼女が壇上に立って消化した。だからとりあえず手を叩いた。

 興味のないものを紹介されても、紹介している人に好感を抱いていれば手を叩きたくなる。

 そういったように思わせるだけの信頼を、時安世界という生徒会長は多く集めていたのだった。


 そのことを知らない少年は講堂に響く音に小さな疑問を抱いていた。




 「なかなかカッコよかったよ」

 「自己紹介しただけなんだけど」


 全校集会を終えた後、陸と時安は裏で話をしていた。

 時安の態度は先程までの壇上での凛とした様子とは真逆で非常に明るい様子だった。


 「それにしても…」

 「どうかした?」


 首を傾げる時安。転入生の少年が何か不思議そうにこちらを見てきているのに気づいた生徒会長の少女は、少年に疑問の支援を置くていた。


 「さっきまでの印象と違うと思ってな。何んというかもっとあんたはシャキッとした感じというか、そういう明るい感じには見えなかったから」

 「それって私が暗く見えるってこと?」

 「暗いってわけじゃないけど、そこまで明るくも見えないってだけ」

 「まぁ、よくカッコいいって言われるんだけでね。男の子の前だからつい可愛く見せちゃうのかな」


 てへ、という効果音が聞こえてきそうな言い方の少女を見て、あざといと思う陸。だけどその態度に不快感を感じることもなく、和やかな印象を感じていた。

 

 時安も自分で思っている以上に転入生の少年に明るく接していることに気付き、少し照れくさくなったが、それゆえにわざとあざとく振舞って見せて照れ隠しをしていた。

 それは成功して少年に照れていることを気付かれることはんかった。


 「そうそう。学園長が話があるから学園長室に来いだって」

 「…あぁ」

 「そこまで案内するよ」

 「よろしく」


 (やっぱり会いに行かないとダメだよな。面倒だな)


 面倒くさく思いつつも、特異な存在の転入生という特殊な立場な以上、合わなければならないなと溜息を吐く陸だった。

時安(ときやす)世界(せかい)

魔法名:伝達

能力:魔力により任意の相手に情報を送る。




レヴィ

「世界の魔法は所謂テレパシーの一種だな」

「具体的に?」

レヴィ

「相手にテレパシーみたいに直接頭の中に話しかけられるけど、一方通行で送るだけなのだ」

「それじゃあいての考えてることを読んだりは出来ないってことか」

レヴィ

「うむ」

「それと、また次回市キャラが出てきそうだな」

レヴィ

「うむ、次回は出雲学園の学園長の登場だ」

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