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唯一俺だけ男の魔女  作者: ののん
入学編
20/21

20話

 テロリスト『新たなる世界』の誘いを即答で断った少年に対して口角を上げるオールバックの男は楽し気に口を開く。


 「即答かよ。どうしてだ?俺達でも使える魔装も大量にあるし、何より好きにやれて楽しいぜ?」

 「別に信じなくてもいいが、俺は魔女だし、お前たちみたいなテロリスト集団に入る気はない。お前たちが今までどれだけ非道なことをしてきたか分かってんのか?そんな奴らの所に入るわけないだろ」


 最後にちらりと視線を空色髪少女に向け、はっきりとした口調で言い切る陸。

 この少年が本当に魔女だとかそうでないとかそんなことはどうでもいい。例え魔女でなかったとしても今までの行いから『新たなる世界』に入る気なんてかけらもない。

 だからこその即答だった。


 「今の世界は魔族からの侵略を受けている。なら優秀な奴が生き残るためには仕方ない犠牲だろ?」

 

 言ったオールバックの男の表情は嘲笑。

 男が犠牲と呼ぶものを嘲笑うかのように、っただ自分のための使い捨ての道具を見るかのように、あっさrとした口調でなんて事の内容に言いきった。

 そこには前半部分、魔族の侵略を受けているから仕方なく、という意思は全く感じられない。男のいう犠牲とは人間社会を思ってではなく、自分本位の言葉だった。


 「お前のはそういうのじゃないだろ。それに例え人類のためだとしても非人道的すぎる」


 社会のためだとかは関係ない。例えそうだったとしても『新たなる世界』はやりすぎなのだ。犠牲が必要だとしてもそれは文字通りの犠牲であってはいけない。こんごの社会のために貢献してくれた者に最大の経緯を払って人権も尊重しなくてはならない。そういう最低限は保証された犠牲にしなくてはならないのだ。


 「あぁ、俺はまあそうだな。俺が良ければそれでい。だが組織全体で言えば人類のためってのは本当だぜ?それでも入らないっていうのか?」


 と、言われても変わらない。

 早乙女(さおとめ)(りく)にとって『新たなる世界』とは決して認められる存在ではないのだ。


 「人類のためだとか社会のためだとかはどうでもいい。お前らのやr方が気に食わない。だから入る気はない」


 灰色髪の少年は再びはっきり言い切る。

 『新たなる世界』を名乗る男を明確な敵、叩き伏せる悪としてする鋭い視線を向ける。


 「まぁそれならそれでもいいんだけどよ」


 断られたのにも関わらず、オールバックの男は表情は変えずに口角を吊り上げたまま。敵意丸出しにしたままの視線を向けて来る少年に対して楽し気にするだけだった。

 

 「何楽しそうにくっちゃべってんだ」


 そこで新たな声が入ってくる。

 声のした方へ視線を向けるとその子には本田と名乗った男と同じような黒いローブを纏ったくすんだ金髪の少女がいた。

 陸はこの少女の顔には見覚えがあった。

 ハプティ=ハロウィン。

 恐らく、魔族の大量襲来というこの非常事態を作り出している魔女。


 「…ハプティ=ハロウィン」


 新たに現れた声の主を認識した少年はそちらへも鋭い視線を向ける。


 「ハプティって、こいつが魔族を呼び出してる魔女…」

 「…」


 隣にいた赤髪の少女といつの間にか近くまで来ていた空色髪の少女も金髪の少女に鋭い視線を向ける。

 金髪の少女の名前を聞いた二人は強い警戒心を共に元凶である少女を何とかしようと頭によぎっていた。

 終わりの見えない魔族の群れ。それを何とかするには新たに現れたこの少女を何とかするしかない。そうでなければハプティ=ハロウィンの魔法により無限の魔族でこちらの体力が尽きてしまう。


 「それで、そこの男はオレ’たちに付いてくるのか?」

 「残念ながら組織に入る気はないってよ」

 「なら、無理矢理連れていくしかないみたいだな。ケケ」


 テロリストの二人はお互い楽しそうに話す。最初から少年の意思など関係なく連れていくつもりだったらしい。二人は少年へと視線を送りながら楽しそうに表情を歪ませていた。


 「まさか、こんなことをしでかしtのは、俺を連れてくためなのか?」


 少年は少し震えながら疑問を口にした。

 今現在出雲学園に起こっている非常事態。この場ではいったん落ち着いているように見えるが様々な方向から大きな音が聞こえて売るので他の場所ではまだまだ戦闘は続いているのだろう。

 そんな状況を作り出してしまったのがまさか自分を狙ってのことだったと考えると身体が震えてくる。

 自分がここいたから、他のみんなまで巻き込まれてしまった。


 「何だ?まさか周りの奴らのことを気にしてんのか?だったら素直に俺たちについてこいよ」

 「…」


 オールバックの男がそんなことを言ってきた。

 テロリストに付いて行けばこれ以上状況を悪化させることはないかもしれない。元凶たるハプティ=ハロウィンの魔法によって魔族が大量に呼ばれるならその少女がいなくなればいい。なので付いて行くことが最も早く解決する方法の可能性が高い。

 そう考えた陸は付いて行くことを少し頭によぎらせる。

 だけど素直に頷かなかった。


 「…お前たちに付いて行くことはない」

 「どうしてだ?お前さえ俺たちについてくれば素直に帰るって言ってんだぞ?それが分からなかったのか?」

 「いや分かってる。それでもお前たちに付いて行く気はない」

 「ケケ、なら強引に連れていくしかないようだな」


 金髪の少女は楽しそうに笑っていた。最初からそうなるように望んでいたようにも見える。

 オールバックの男も笑っているように見えるが少しめんどくさそうにも見える


 「はぁ、めんどくせえが仕事だから仕方ねえな」

 「ケケ。楽しめるんだからいいじゃねえか」

 「俺も面倒だがお前たちには色々と訊きたいこともある。こっちも強引にいかせてもらうぞ」


 敵意に対して敵意で倒す灰色髪の少年。

 確かに付いて行った方がよかったのかもしれないが、それよりもここでテロリストどもをと会えた方がいいと判断してのことだった。


 「ちょっと待ちなさいよ。何でこいつを勧誘するだけでこんな事態を引き起こすのよ」


 今にも戦闘が始まりそうなところに赤髪処女が割って入った。

 芹佳としてもこの事態を早く解決したいのは当然だが、嫌っているからと言って流石にクラスメイトを売ることは出来ない。それが自分を魔女だと偽る詐欺師だとしても。

 それからまだわかっていないことも多いので情報鵜を引き出すためにも話を逸らす。


 「楽しいからだよ。ケケケ」


 金髪の少女は楽しそうに言った。口角を持ち上げた表情で赤髪の少女に視線を向ける。少女おからはこの状況を楽しんでいる雰囲気しかかんじれない。


 「楽しむのはいいが仕事はしろよ」

 「分かってる。今までいくつも門を開いてきたんだからな」

 「門を…。お前は楽しむといったが魔族を呼び出すのが楽しいってのか」

 「ケケケ。あぁ、魔族を人間が戦ってるのを見るのは楽しいぜ?カブトムシを戦わせたりするのと同じどよ」


 人間と魔族の死闘を小学生がカブトムシ同氏を戦わせてどちらが強いかを楽しむのと同じ感覚のようにいう金髪少女に対して、問いかけた少年も眉を顰める。

 全く人の命というところに配慮どころが興味を抱いていない様子に思うところはあったが、そういう人物の集まりが『新たなる世界』だと納得してしまう。


 「それだけのために、こんなに魔族を呼んだっていうの?」

 「だとしたら何だって言うんだよ」


 怒りのを含んだ芹佳の問いにもケラケラと笑いながらあっさりと答える金髪少女。そんな態度にますます赤髪の少女は怒りの感情を強くしていく。


 「まぁ、今回はそれだけじゃないけどな。オレは楽しければそれでいいんだがこっちも仕事だからな。最低限は働かないといけない」

 「仕事って、魔族を呼び出すだけじゃないのか?」


 そもそも魔族を大量に呼び出したのは陸の勧誘に失敗したとき無理矢理に連れていくためだと言っていた。付いてこなければ魔族を呼び出し続ける。そんな脅しのためだ。

 だけどそれは失敗した。そう言われても早乙女陸は頷かずに敵意を見せた。

 それでもテロリストたちは態度を変えることはない。むしろ楽しんでいる。

 なら、門を作り出し魔族を呼び出すという魔法を持つハプティ=ハロウィンの役目は他にもあるのかも入れない。

 それは、


 「戦力の分散か」


 自分で疑問を口にして自分で答える少年。

 それにオールックの男は頷いて肯定した。


 「あぁ、そうだ。ここには面倒なのが多いからな。テメェを連れて行くのに邪魔されないように魔族に露払いをしてもらってんだよ。それにここの戦力調査も必要だったからな」

 「つい最近も(・・・・・)痛い目にあったもんな。ケケ」

 「…あれは俺のせいじゃなええよ」


 オールバックの男の表寿賀少し不満げに歪む。そんな様子を見て仲間のはずの金髪少女はケラケラと笑っている。

 それは置いておいて、少年の言った通りやはり戦力の分散が目的だったらしい。他方で魔族が暴れていれば対処できるものはそれに合わせてバラバラになる。そうなれば少年を拉致するのが簡単になる。

 その予想通りの返答に陸は更に警戒を強くする。

 それとつい最近何かあったらしいことと、それに基づく戦力調査。これは予想外の返答だったが納得もいった。

 ここは日本で最も魔女が集まっている場所。その場所の戦力というのはテロリストにとって重要なことだろう。少年にはつい最近のことにも心当たりがあり、あの時は完全にテロリスト側が油断して敗北していたので、その反省もあるのだろう。


 「…まさか先月の魔王(・・)が出てきたのもあんたたちの仕業だったの!?」


 そして赤髪の少女にも心当たりがあったらしい。隣にいる空色髪少女も同じようで表情を険ししている。


 「あぁ、そうさ。あの時は予想外のことも多かったらしいからな。オレは詳しいことはしrないけど。ケケ」

 「な、何笑ってんのよ!?あんたたち、本当に最悪な奴らね」

 

 金髪少女の態度に芹佳はかなりのストレスを貯めていた。先月の事件では結果的には良い決mつとなったが経過の部分でかなり危うい場面も少なくなかった。もしかしたら死傷者も出ていたかもしれない状況だった。

 だというのに目の前の金髪の少女はケラケラと笑っている。

 それが芹佳にとっては信じられない音だった。


 「それはどうでもいいだろう。それよりほかはどうだったんだよ」

 

 少し不満そうな本田と名乗った男は仲間の少女に少し低い声を投げかける。

 それを相も変わらずケラケラと楽しそうな金髪少女は夏休みの子供のように声を弾ませながら答える。


 「面白そうなのがいたぜ。ケケケ」

 「お前が面白そうということは、面倒な奴ということか」

 「あぁ、青い髪の奴がもの凄い勢いで魔族を倒していたんだよ。大物も何体か呼んだけどそれもすぐにやられた。かなりの強さだったぜ」

 「それは、ぶかったらかなり面倒だな」

 

 ハプティ=ハロウィンが見たというのは恐らくレヴィのことだろう。あの魔王少女はその肩書に相応しい働きをしているようだ。

 けどその存在に見当がついているのは灰色髪の少年と空色髪の少女だけで赤髪の少女は誰のことか分からず少し疑問を浮かべていた。

 金髪少女からその情報を聞いたオールバックの男は一瞬面倒くさそうな表情を見せた後で少年い視線を向け言葉を続ける。


 「それなたさっさとこいつを連れて行かないとな」

 「そうだな。ケケ」

 「…」


 少年もそれに合わせて改めて気を引き締める。

 ここからが開戦となる。

 この戦いでのベストな結末としては目の前の『新たなる世界』である二人を捕縛すること。捕まえて組織に関する情報を聞き出すためだ。

 その次の目標としては…

 そこで少年はチラリと隣にいる少女達を一瞥する。

 少女達にはあまり見せたくないが、二人の殺害。危険分子である存在、『新たなる世界』のものは捉えることが出来ないなら殺してしまうのが無難だ。

 それも難しいようなら最悪はこの場から撤退させる。これだけでもできなければこの学園に平和は戻ってこないので敵勢力を追い出す必要がある。

 

 (捕まえられたらそれが一番だが…出来なかったら)

 

 覚悟を決める。

 事態の収拾のため、こんごのためには非常にならなくてはいけない。


 「陸は、私が守る」

 「…こいつには訊きたいこともあるし、クラスメイトだし、連れては生かせないわ。それにあんたたちにも訊きたいことがあるから絶対に倒す(・・)わ」


 隣に立つ二人の少女も新たなラウンドの先頭に再び気合を入れる。 

 二人はそれぞれの想いから武器をテロリストに向けているが、根っこで思っていることは変わらない。

 クラスメイトを守るということと、学園を守るということ。

 そんな純粋な想いに陸は少し胸に引っかかるものを自覚する。二つ目の目標、敵の殺害は絶対にこの二人には言えない。結果そうなってしまったとしても、出来る限り自分が最後を決める。少女たちの手を染めないように。純粋でいられるように。

 第二の目標で最も大事なのはそこだと、少年は真白と芹佳に後ろめたい気持ちを抱きながらテロ士ストに武器を構えて向けた。

レヴィ

「我のことが少しは出たけど、陸とのかかわりがなくて寂しいのだ」

「悪いけど、そちは頼んだ」

レヴィ

「うむ。いっぱい倒して、大量の魔族の亡骸を陸にプレゼントするのだ」

「それはいらん」

レヴィ

「tまり、我が欲しいと?」

「何がつまりだ。話が全くつながっていないぞ」

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