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唯一俺だけ男の魔女  作者: ののん
入学編
14/20

14話

 驚いていた赤髪少女は、今度は問い詰めるように強い口調で少年い怒鳴りつけた。

 

 「何であんたがそこに居るのよ!」


 怒鳴りつけられた少年はどうしたものかと少し悩んでいると、、後ろから出てきた空色髪少女が先に口を開いた。


 「陸もこの部屋に住むことになった」

 「…は?」


 淡々と告げられた真白の言葉に更に意向を止められる芹佳。

 陸は真白の全く配慮のない言葉にため息を漏らしていた。どうして素直に答えるのかと。この後のことを考えると憂鬱になる陸だった。


 「ど、どういうことよ!」

 「落ち着け。俺もどういうことなのか知りたいくらいなんだ」


 とは言ったが、どういうことかは大体分かっている。どうせあの年齢不詳魔女の悪ふざけだと、嫌なニヤケ面を思い浮かべながら陸は赤髪の少女の対処を考えていた。

 今日の放課後にでも出雲(いずも)如月(きさらぎ)の部屋に行って抗議する自摸rだ。誰かに気付かれる前に部屋を変えてもらうつもりだったが、その前に姫神芹佳に見られてしまった。


 「男女で同室なんて認められるわけないでしょ!」

 「だから俺に言わないでくれ。明日には違う部屋に移るから」

 「別の部屋に行くの?」

 「あぁ、当り前だろ」


 陸の言葉に空色髪層所は首を傾げる。ずっと一緒の部屋と思っていた真白は少し残念そうに声が少し暗かった気がする。


 「他の子の部屋に行くの?」

 「は?」


 そして次いで告げられた真白の言葉に陸はポカンとする。

 違うへえやに行くといった陸の言葉を別の少女の部屋に行くと解釈した真白は寂しそうな(無表情)顔を少年に向けていた。当然わざと曲解している。


 「はぁ!?まさかいろんな子に手を出すつもり!」


 怒っていた。

 この男はまさか昨日真白に手を出して、それで秋田から次の子へと、それからもどれを繰り返すのかと。

 赤髪少女はガチギレだった。

 これだから男なんて信用できない。


 「手を出すって、何もしてないから。それと俺一人の部屋にしてもらうつもりだからな」


 赤を赤くして起こる赤髪少女に落ち着かせるように言う陸だったが、少年の言葉を素直に信じるわけもなく芹佳の顔は怒りに満ちていた。


 (一人部屋じゃなくて我も一緒なのだ。そう伝えた方がいいのではないのか)

 (話をややこしくしようとするな)


 陸の脳内に少女のケガ響く。契約している魔王少女、レヴィのものだ。

 レヴィは普段他人に姿を見せることはめったになく、他人が居る時はこうして陸にだけ聞こえるように脳内で話しかけてくる。

 今回も少年とやり取りを楽しむため声を掛けて揶揄ってきた。


 「大丈夫。変なことはされてない。裸を見ても陸は何もして来なかったから、これからも大丈夫」


 少し脳内の少女に気を取られている間に空色髪少女は少年を庇うようにそんなことを言った。


 「は、裸!?」


 真白の発言の一部分に強く反応する赤髪少女。

 更に赤い瞳を細めて少年を’にらむ芹佳に陸は内心で溜息を吐いていた。


 (これ、どう収集付けるんだよ)


 弁明のつもりだったのか余計なことを言った真白に少しの恨みと大きな呆れを混じった感情を抱きながら芹佳への対処を再び考える。

 状況は先程よりも更にややこしくなってしまって、どう収集を付ければいいのかはっきりとは思い浮かばないが、ここで黙っていても余計に誤解を深くしてしまうだけなのでとりあえず口を開く。


 「あれはたまたま着替えを見てしまっただけでほとんど何も見えてなかったから」


 嘘である。

 真白が人工魔女のことをどこまで言っているかは分からないが、それはあまり言いふらすようなことではないだろう。なので不可抗力で真白の下着姿を見てしまった本当の理由は言えない。そこで適当な嘘をついたわけだが。


 「着替えを覗くとか最低」


 まるで汚物を見るような目でクラスメイトを見る芹佳。更に両腕で自分の身体を抱くようにして隠すような体制に。確実に変質者扱いである。


 「覗いたんじゃなくてたまたまだから」

 「うん。私が陸が居るの忘れていつも通り着替えた」


 流石に陸の旗色がかなり悪くなってきたので真白も助け船を出す。


 「…」


 それで赤髪商の誤解は解けることなく、鋭い視線を少年へと向けていた。


 そんなやり取りを騒がしくやっていたため、周りからもかなりの注目を集めていたが時間いあまり余裕もなかったので逃げるように食堂へ向かった。






 放課後、早乙女(さおとめ)(りく)出雲(いずも)如月(きさらぎ)の部屋学園長室に白銀(しろがね)真白(ましろ)と共にやってきていた。

 要件は寮の部屋の戸についてである。


 「そろってどうしただ」


 両肘を机に付けて手に顎乗せた状態でいかにも司令官な感じの格好で椅子に座る美女は目の前の二人に声を掛けた。

 そう訊いたてはいるがニヤッとした顔つきから恐らく要件は察しているのだろう。

 

 「訊くまでもないだろ。どうして俺たちの部屋が一緒なんだ」


 とはいえ、そこをツッコんでも時間を無駄にするだけなので要件を伝える。

 言われた如月の方は表情を変えることなく訊き返してきた。


 「なんだ、変を変えたかったのか」

 「当り前だろ」

 「真白はもう飽きたのか。もう他の者に手を出したとはなかなかの色欲まだな」

 「それは今朝やったから」


 当然如月も分かって言っている。ただ少年を揶揄っているだけである。

 …なんか、揶揄われすぎな気がする。


 「私はこのままでいい」


 そこで隣にいた空色髪少女が話に入ってくる。

 真白は陸と同じ部屋でもよかった。それどころか同じ部屋の方がいいと思っていた。


 「真白はこう言っているが」


 変わらぬニヤケ面のまま少年に問いかける。

 木皿芋これには少し驚いていたが、面白そうなので真白の方につくことにした。


 「そういう訳にはいかないだろ」

 「別に構わないのではないか」


 本当はすでに別の部屋を用意してある。ここに陸たちが来ることも分かっていたので、少し揶揄ってからそこを教えるお艇だった。

 だけど思っていた以上に真白が陸に懐いているのを見てそれはやめた。

 真白が嫌がっていなく、むしろ望むならそっちの方が色々と安心できる。

 それに、そっちの方が面白そうだ。


 「何が構わないだ。何かあったらまずいだろ」

 「何だ、何かするつもりなのか?」

 「するわけないだろ」

 「なら問題ないではないか」

 「く」


 何もしないからと言って同室でいいわけがない。男女なのだからそのあたりの分別は付けておく必要がある。


 「世間的に問題あるだろ」

 「今更お前に世間体を気にする必要などないだろ」


 なかなかの良いようだがそうかもしれない。

 そもそも隔離されたこの学園内のことが世間に知られることは殆どないだろう。それも学生寮の部屋割りなんて気にすることでもない。もっと気にすることが他にもある。


 「お前には監視役もついてるのだし、実際に二人きりということはないではないか」

 「あいつは監視役にはならない」


 二人が言っているのは陸と契約している魔王の少女、レヴィのことである。

 そう、契約しているためレヴィは常に陸のそばに居る。なので部屋も同じだ。だから二人ではなく三人になる。

 そしてレヴィは監視する側ではなく、むしろ悪乗りしてくる側だ。


 「私は、陸なら、何wされてもい」

 「真白はこう言ってるんだしいいだろ」

 「いいわけないどろ」


 何故か真白は陸に心を許しすぎている気があする。

 真白にとって陸はのろいから解放してくれた救世主なのかもしれないが、それでも過剰だ。


 「ある程度話を聞いていると思うが真白は孤児だ」

 「う、うん。それが?」


 如月が唐突に言った言葉について首を傾げる陸。楽し気。

 話し出した内容はシリアスな感じがするのに、しかし如月の表情は依然として楽し気。なぜ急にそんなことを言いだしたかは分からないけど、ろくでもないことを言いだすのは明らかだった。


 「真白を引き取ったのは私だ。つまり今は私が真白の保護者になる」

 「だから?」

 「だかた、保護者である私が許しているのっだから真白は結婚することが出来る」

 「…は?」

 

 突然訳の分からないことを言われてぽかんとする陸。

 一帯この美魔女はなにを言っているのか。

 確かに保護者が認めれば十六差である真白は結婚できる。でも話の流れから相手は陸になるだろう。そうなると結婚出来ないのだが、今はそういうことを言っているのではないだろう。


 「結婚出来るということは、行為に及んでも問題ないということだ」

 「それは滅茶苦茶すぎる。あと俺はまだ結婚出来ないぞ」


 それからするつもりもない。

 真白が陸に抱く感情は恐らく恋慕のものだろう。本人もそれを小さく感じているだけで、まだ気になる相手、程度だろうがそれでも大きくジャンル分けすればそこに入るだろう。

 それは陸も何んとなk気付いていることで、そういう感情を向けられることは悪い気はしない。だけど陸にその気はない。

 だからこそ真白に対する申し訳なさもあり、困っている。


 それは置いておくにしても如月の言っていることは滅茶苦茶だ。結婚出来るからと言って未成年のうちから子供が出来るような行為に及ぶのはあまりよろしくない。


 「私と同じ部屋は嫌?」


 そこで空色髪少女があざとく(無表情)言ってくる。

 それに少し心を揺さぶられながらも表には出さず返した。


 「嫌ではないが、ダメだろ」

 「お互いにいいなら、いい」


 真白も引く気はないらしい。どうしてここまで心を許されているのかと陸は再び内心で溜息を吐く。


 (いいではないか。我も居るのだし二人きりと言うことはないから万代ないのだ)

 (お前もそっちにつくのか)

 (真白は陸を慕っているからな。我も友好を深めておくのだ)

 (…分かったよ)


 脳内の魔王少女とのやりとりで陸は遂に折れた。この勝負は真白陣営の勝利となった。

 レヴィはその存在からあまり人前に出rことはない。それは人との触れ合いがないということで、友人なども少ない。

 だから陸は青髪の少女が空色髪の少女と楽しく話しているのを見て嬉しく思っていた。

 レヴィ自身は気にしていることではないが陸にとってはずっと自分が縛り付けているようにも感じていたのだ。

 それもあって真白との同じ部屋あることに妥協することにした。


 「分かったよ」


 色々と面倒なことが待っているのは目に見えているが青髪少女のことを思えば些細な事、ということにした。

 陸が頷いたのを見て真白も嬉しそう(無表情)に頷いた。


 「決まりだな。まぁ他に困ったことがあったなら言ういい。あと、さっき行為自体はいいと言ったが子供は出来ないように注意しろよ。学生出産は色々と大変だからな」

 「だからそういうことをするつもりはない」


 楽しそうにククク、と笑いながらメガネを人差し指で上げる。

 陸はそれに呆れながらも溜息を付いていた。

 そんな隣で空色髪少女が少し頬を赤くしていたが、少年はそれに気づいていなかった。

 少女が何を想像して頬を赤くしてしたのかは謎である。




 五月八日夜。

 出雲学園の塀の上に二つの影があった。


 「人さらいなんて面戸だな、ケケ」

 「任務だあから文句は言うな」

 「ケケ、分かってるって」


 二つの影は目的地に向かい闇に紛れて消えた。


 

レヴィ

「結局、真白と同じ部屋になったのだ」

「あぁ、これからのことを考えると憂鬱だよ」

レヴィ

「それも我のことを思ってくれてとは嬉しいのだ」

「まぁなにゃかたで助けてもらってるしな」

レヴィ

「ツンデレなのだ」

「誰がツンデレだ」

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