団結⭐︎いざ決戦の地へ!だよ! ②
ノロイの影響で、空は厚い雲に覆われています。
そんな中、気象予報士に変身したメオちゃんは笑顔で口を開きました。
「みなさん、こんにちは。メオちゃんのお天気コーナーですわ。明日の天気は雪。お出かけにはご注意くださいですわ」
いわゆるお天気お姉さんですね! それにしても、なんて美しいおねーさんなんでしょう。これはハオちゃんの主役の座も危うく感じてしまいますね!
『ちょっ、ま。 俺は豪雨って言ったんだ。秋に雪なんて、ありえないだろう?!』
おっと?ノロイは専門家気取りですね。 でも、自称専門家は信用してはいけません。
メオちゃんはノロイの言葉を華麗にスルーすると、満遍の笑みで画面に語りかけます。
「お天気の次は、『激突!隣の晩御飯』のコーナーですわ!」
場面は切り替わり、美食家ハオちゃんが険しい顔で料理人ラビくんを見つめています。
「料理人、アッシの舌は神の舌だよ。果たして満足させる事が出来るかな?だよ」
「フッ、料理とは高価な材料や調理器具では決まらないのさ! 僕の料理は記憶。思い出補正という奇跡の料理なのさ! いざ勝負だ!美食家!!」
ハンムラビくんはレンジのスイッチを押します。
しばらくして『チーン』という音と共にスパイシーな香りが場を包みました。
「こ、これは、まさか! レトルトカレーなんだよ! な、舐めんじゃないんだよーーー!!」
なんと!ハンムラビくんの料理はなんの変哲もないレトルトカレーです!! これには美食家ハオちゃんも大激怒です。 せめてホテルカレーくらい出さないといけません!!
『いや、ちょっと冷静に。俺は何を見せられてるんだ?』
ギャラリーのノロイも勝負の行方に目を見張るなか、勝負は佳境に。
「取り敢えず食べてやるんだよ。でも、こんなものでアッシは満足しないんだよ」
ハオちゃんはスプーンを使ってカレーライスを口に運びます。
すると。
「…… なんなんだよ、これは。 スパイスの深みもなく、味も大雑把。具に至っては欠片のような小ささで肉なんて見当たらないんだよ」
これは、料理人の負けでしょうか。ハオちゃんはフルフルと小刻みに震えています。
「だけど、これは、日曜日の昼にパパンが作ってくれたカレーと同じなんだよ! テレビにはルパン3世が流れていたんだよ! パパンでルパンなんだよぉぉお!!」
なんて事! ハオちゃんは感情が爆発!涙を流して口からレーザービームを天に放ちました!!
これは!美食漫画であるある演出です!
その光線は厚い雲を蹴散らして光眩しい青空が広がったのです。
『そんなのありかよぉぉ!! 天気が快晴になって飛行機が飛んじまうぅぅ!!』
ノロイはこうして敗北し浄化されました。
思い出補正、それは美しき魔砲。 プライスレス。
「不味いカレーは存在しないんだよ。呪・詛・封・印!!」
「ここで番組の訂正ですわ。明日は快晴になるでしょう。邪・心・消・滅!!」
「やっぱり料理は愛情だね?」
「ウチの出番が今回も雑ですよね」
次回は空港から北の大地を目指します!
迫る最後の四天王『よりどりミドリのビュッフェ』とのバトル! お楽しみに!!
── つづく。
【自 壊 予 告】
少女の両親も戦争の犠牲となり、彼女もまた、人を、世界を呪う事となる。
『こんな、世界……。 欲にまみれた人間ども……。 私は全てを呪ってやる!!』
彼女はその日からノロワ=レイルと名乗ることとなった ──。
生まれ持った膨大な魔力。禁忌魔法ですら簡単に使いこなす事が出来た彼女は、次々と隣国を滅ぼしてゆく。
しかし、その心の片隅には幸せだった頃の思い出が残っていた。
それは、悲惨な現実を受け入れない彼女の最後の良心。【優しい世界】を渇望する欠片。
時は流れ──。
ある日、彼女はふと故郷に立ち寄った。
生まれ育った家は既に朽ち果てていた。
彼女はしばらく歩くと、花畑が目の前に広がっていた。
「ここは変わらないな」
ふと、足元に目を落とす。
そこには頭だけを覗かせた埴輪が、悲しそうに彼女を見上げていた。
「ふふ。確かお前は……、ハオちゃんだったっけ? まだ朽ちずにいたんだな」
彼女は埴輪の傍らに腰を下ろした。
「変わってしまったよ。何もかも。人の世は醜く変貌してしまった。そんな世界に失望し、私は数多の命を……。今や私の手は血で汚れてしまったんだ。 だけど、心の奥底にある良心が胸を苦しめる。 ねえ、ハオちゃん。この最後の人の心を貰ってくれないだろうか。 そうすれば私はもっと非情になれる。より早く世界を統一して争いを無くす事ができる」
レイルは目を細めて埴輪の頭を撫でた。
── それは彼女の悲痛な【独白】。
── 後の世界で『大虐殺の魔女』と呼ばれた者の……最後に見せた人の心。




