忘却⭐︎消えた栞だよ!
「やあ、アッシだよ。はにわハオちゃんは読書を満喫するよ」
時代は読書の秋! 教室の片隅で、例に漏れず本作ヒロインも小説に目を落とします。 本のタイトルは……『転生したら一般相対性理論だった件』ですって?!
そんな光景を見せつけられると男子生徒はキュン死確定ですね!
「ハオちゃん、読み始めてすぐに寝ちゃったのですわ」
なんて事!! ハオちゃんは小説の上によだれを垂らしています! このままではページがくっついて二度と開けない、とある魔術の禁書と化してしまう!
メオちゃんは「ハオちゃん、早く起きるのですわ」と、優しく肩を揺らします。
「んあ?!」と、目覚めた我らが超絶美少女はよだれを吸い込み、黒歴史は無かったことにしました。
しかし──。
「あれ?どこまで読んだか忘れちまったよ」
なんという悲劇! ハオちゃんは栞を挟んでいなかったのです!
そして、その声は突然背後から響いたのです。
『へっへっへっ、オラは栞をなくしてしまうノロイ。魔砲少女よ、『ここら辺まで読んだっけ? いや、ここはもう読んだところだ!』的な感じで精神崩壊するがいい!』
なんと!ノロイが現れました!
なんて危険なノロイなの? 先に進みすぎてネタバレしてしまう可能性もあります!
『おおおお、ハオよ、変身じゃぁ!』
久しぶりの出番に張り切る勾玉の髪留めが発光し、ハオちゃんは手を伸ばします。
メオちゃんも ──以下略──
(あのう、僕の出番は……? 赤い首飾り 談)
さあて、今日のマジカル変身はなんでしょう!
「ハオちゃんは掃除機だよ」
「メオは専業主婦ですわ」
ああん!! なんて魅力的な変身なのでしょう!
これにはノロイも彼女たちの吸引力の虜になっています。
『いや、え? 掃除機?』
「サイクロン式だよ」
ただ唯一の吸引力が変わらない掃除機!!
これは勝利確定です!!
「ハオちゃん、お部屋を掃除機掛けるから片付けるのですわ」
おっと、メオママが掃除機を起動させました。流石はサイクロン式、天使の咆哮のような騒音が教室を包みます。
『何をするつもりだ、魔砲少女! まさか?!』
「そう、そのまさかですわ。 ロッカーの隙間に落ちた栞を掃除機で回収するのですわ!」
ここでメオちゃんの頭脳プレーが炸裂しました。
しかし、魔砲少女ものには悲劇がつきものです。
なんと、掃除機の強力な吸引力で栞は引きちぎられ、タンク内でサイクロンの藻屑となってしまったのです!
『へっへっへっ、策に溺れちまったなぁ、魔砲少女。これで貴様の小説は続きを読むのが困難になったぜぇ?』
訪れる魔砲少女の危機!
しかし、ハオちゃんは自信満々に言葉を発したのです!
「アッシが読んでた小説によると、相対性理論は時間を戻す事ができるんだよ! 魔砲!掃除機逆噴射だよ!」
なんという伏線回収劇!! まさにハオちゃんは王道ヒロインのど真ん中にいます!
ハオちゃん掃除機から勢いよく吐き出された埃や消しカスなど、数多のゴミがノロイを襲います。
『き、汚ねッッ!! なんてえぐい事するんだよ! クラスメートも巻き添えになってるじゃねーか!』
── 大いなる目的の為には犠牲も必要です。
「あれ?おかしいんだよ。 栞が元に戻らないよ?」
『あたりめーだ!! アインシュタインに謝れ!』
なんて事! ハオちゃんの魔砲が不発だなんて!
このままではノロイを倒せません!
この惨事にメオちゃんは、ため息をつき「掃除機が壊れてしまいましたわ。カスタマーサービスに連絡するのですわ」と、電話を掛けました。
【RRR…… ガチャ。 はい、こちらはタイソンコールセンターです。製品に対しての質問は1番を………】
自動音声対応!! 便利なのか、不便なのか。
人類永遠の課題が突きつけられます。
会話が長くなりそうなので ── 中略。
「と、いうわけで栞は弁償してくれることになったのですわ! 残念でしたわね。ノロイさん」
『クレーマーじゃねーか! くそ、こうなったらクラス全員の栞を……』
しかし、教室はもぬけの空になっています。
『まさ…か。 ゴミを撒き散らしたのはクラスメートを避難させる為だったのか?!』
「不可抗力だよ」
「とどめですわ。栞がなくなるノロイ! 最近は電子書籍化して栞すらないのですわ! 魔砲!『皮肉な♡目に』ですわぁ!」
『みんな、目を大切にぃぃぃ!!』
こうして栞がなくなるノロイは魔砲少女と時代の流れにより浄化されました。
「電子書籍は便利ですわ。邪・心・消・滅!!」
「紙の本はいい匂いだよ。呪・詛・封・印!!」
激闘を制した魔砲少女。 彼女たちが歩む先には更なる強敵が待ち受けている事でしょう。
── つづく。
【次 回 予 告 外部干渉……~-_\* error code 自 壊
【自 壊 予 告】
広大な花畑の中、その少女は嬉しそうに花の冠を作っていた。
「綺麗に出来た! でもパパにあげるには少し小さかったかしら?」
パッっと開く笑顔。
少女は軽やかな足取りで家路に着く。
その途中、土から上半身を覗かせた小柄な『埴輪』を見つけた。
「可愛いッ! そうだ! これをあなたにあげる!」
少女は花の冠を埴輪に被せてあげた。
「凄く似合うわ! じゃあ、パパの分をもう一つ作ろうっと!」
花の冠をした埴輪の傍に腰を落として、少女は花を摘みはじめた。
「ねえ、埴輪さん。私があなたに名前をつけてあげる。 そうね…… ハニハハオ。なんだか聞いた事がある言葉だけど、意味は忘れちゃった! だから、あなたはハオちゃん!」
少女は朗らかに笑う。




