暗黒⭐︎駐輪場の探検だよ!
皆さんご機嫌いかが? 女庭メオですわ。
遂に2段階変身を手に入れたハオちゃん。
英雄的なオーラは金色に輝いていましたわ。 私も負けていられませんわね。
と、いうわけで今日は、下敷きを考察しますわ。
【下敷き①】
キャラクター物や図鑑みたく情報が記載された下敷き。それは皆んなの興味を惹きますわ。ですが、耐久に難ありですわ。
ほら、端っこが捲れて来ていますわ。
魅力100
戦闘力0
頭脳派下敷きですわ。
【下敷き②】
緑の透明なプラスチック製下敷き。
教科書の重要部分に赤のマーカーを引いて、下敷きを上に乗せると……
あら不思議!! 文字が塗りつぶされて虫喰い問題集に変身ですわ!
知能派下敷きですわ。
【下敷き③】
夏の暑い教室。
皆が下敷きをうちわ代わりにして扇ぎますわ。 下敷きが『みょん、みょん』という心地良い音を奏でますわ。下敷きオーケストラの開演ですわ。
『下敷きは、うちわじゃないぞぅ』という先生の声が打ち消されますわ。
ゲリラライヴ下敷きですわ。
それでは皆様、本編スタートですわ。
「やあ、アッシだよ。ハオちゃんは意味もなく駐輪場を彷徨うよ」
物語において無意味と思える行動は、のちに重要な鍵になったりします。これは間違いありません! ハオちゃんは何かを探しているはずです!
「お、鈴虫を見つけたよ。捕まえるよ」
探していたのは、鈴虫だったのね!!
ハオちゃんは、小さい秋を見つけたようです! さあ、皆さんも『小さい秋みつけた』を歌ってみましょう!
〜♪♪♪
小さい秋〜♪
小さい秋〜♪
小さい秋〜 みぃつけたぁ〜♪
ふふふ…… 引っ掛かりましたね!
歌い出しは『誰かさんが〜♪』なのです。
まあいいでしょう、人は過ちを犯すもの。今回はお咎め無しにしておきます。
その時でした。
駐輪場の奥から『ケケケケケケ……』と、イカした笑い声が聞こえてきます。
この先に待ち受ける展開は世紀末救世主伝説か、ホラー展開の2択に絞られました!
「穏やかじゃないんだよ?」
ハオちゃんは捕まえた鈴虫をリリースすると、声の元へ急ぎます。そこで目にした光景とは?!
「ヤンキーがいるよ」
不良達が屯しています!
そういえば、自転車置き場って不良の溜まり場になってませんでした?
え? 作者の学校だけですか? まあ、いいでしょう。話を進めますね。
『おうおうおう!魔砲少女ぉ。ナニガントバシテンダ? オウ?!』
巻いています! かなり管を巻いています! このままでは、ハオちゃんも舌を巻いてしまいます!
『おおおお…… ハオよ。ヨクボウが来るぞぅ』
勾玉の髪留めが世知辛い声を絞り出す中、ハオちゃんは髪留めに触れました。
「ハオちゃん、変身だよッ!」
さあさあ、皆さんお待ちかね! 変身タイムです。 ハオちゃんに光が集まり、シルエットを浮かび上がらせます。
……えっ? その姿は?!
「ハオちゃんはパン屋さんだよ」
ぱぁぁあん? 何故でしょう? てっきりスケバン的な変身かと思っていました。これには期待を裏切られた読者も多いことでしょう! ……それとも、スケパン刑事って言いたいのでしょうか? おほん、言い過ぎました。申し訳ございません。
『ナンダぁ? パン屋さんだと? ナメナメてんのかワレェ?!』
ナメナメしてはいけません。 ナメクジ愛好家の皆様に失礼な暴言は控えるべきです!
「人生は辛い事もあるんだよ。そんな時は、アンパンをお食べ。だよ」
そっとアンパンを差し出すハオちゃん。その甘い香りが駐輪場に満ちていきます。
『てッ、テメェ! 俺達がスゥイートなパンを食べると思ってんのか?! 甘ぇぜ。菓子パンのように甘ぇ』
そういうヤンキーなヨクボウは『待て!』を、されたチワワみたいにフルフルしています。 多分、あと一押しでおちそうです。
「牛乳もあるんだよ」
『あ…アンパンと牛乳……だと?!』
はい、おちました。この組み合わせに贖える人類は存在しないと黙示録に記されています。
『う…うまぁぁあああ!!』
ヤンキーのヨクボウはハオちゃんの慈愛に、涙を流してアンパンを食べました。アンパンが紡いだ心温まるヒューマンドラマ…… 感動の渦の中、ヨクボウは消え去ったのです。
アンパンの値段はプライスレス。読者の皆様もアンパンが食べたくなった事でしょう。
これでアンパンの株価は暴騰、インサイダー取引における売買禁止を確固たるものになりました!
これがアンパン値からの『売買禁』という迷言の発祥である事は言うまでも無いでしょう。
「悪•霊•退•散!」
駐車場に響く咀嚼音は、感動のエンディングテーマのように、いつまでも、いつまでも続きました。
「華麗なパン、カレーパンを食べたくなったよ」
ハオちゃんはカレーパンが好きなので、カレーを作る事を心に決めました。
きっと彼女の歩む道は、スパイシーでハイカロリーな戦いが待っているでしょう。
なので、パンを揚げてもカロリーの心配はありません!
── つづく