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HANIWA⭐︎HAO  作者: なかと
第一章 ヨクボウ編
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衝撃⭐︎迫る臨海学校だよ!

 皆さんご機嫌いかが? 女庭メオですわ。

ああ、ハオちゃんが天使に変身だなんて素敵ですわ。

 流石はハオちゃんですわ。

天使の象徴と言えば、オモチャの缶詰が欲しいですわ。

 と、言うわけで今日は缶詰を考察しますわ。


【缶詰メラ】

 サバ缶。美味しいですわね。

作り方はサバを生の状態で缶に詰めて、調味料を入れるのですわ。そして、そのまま加熱調理するのですわ。だから、旨味が逃げないのですわ。人類の叡智が詰まった缶詰ですわ。


【缶詰メラミ】

現代の缶詰めはプルトップ式が主流ですわ。

更には簡単に開けられる缶詰も台頭して来ましたわ。そんな中、まだ頑なに原点を貫くスタイルの缶詰めもありますわね。

 缶切りを使うストロングスタイルですわ。

若い子は開け方がわからないとテレビで言ってましたわ。

 あのギコギコ感、結構、気持ちがいいのに知らないなんて可哀想ですわ。

 ああ、ギコギコしたいですわ。ギッコギコしたいですわぁ!


【缶詰メラゾーマ】

 忘れもしない中学生3年生の夏期講習。塾で地獄の缶詰め状態ですわ。されど、成果が出なかった者《作者》も居ますわ。

 缶詰めでも昇華しないなんて、缶詰めに失礼極りない行為ですわ。

 そんな作者はドラム缶がお似合いですわ。

調味料はコンクリート。完成したら大阪湾に出荷しておきますわ。

 

 それは皆様、本編スタートですわ。

「やあ、アッシだよ。バスの車窓から海が見えるよ。カモメが狩りをしているよ」

 窓に肘掛けて外を見つめるハオちゃんの麗しき姿。

 その儚いにも程があるのは、ヒロインのステータス上方修正によるものでしょう。


「ねえ、ハオちゃん? 臨海学校、楽しみですわね」

 そんなハオちゃんに声を掛けたのは、親友の女庭メオちゃんでした。大きな瞳と長い髪がとってもキュートなサブヒロインです。


 現在ではメインヒロインよりサブヒロインの方が人気になる事もあります。メオちゃんが虎視眈々(こしたんたん)と狙っているのは、窓際の座席か、主役の座なのかは皆様の想像にお任せします。


「メオちゃん、アッシはお泊まりが楽しみなんだよ」

 今日は臨海学校。皆さん大好きなイベントです。 大自然と海、夜にはキャンプファイア…… 楽しい思い出作りと、蚊の大群が生徒達を待っています。

 程なくして、青少年自然の家に到着したハオちゃん達は、早速オリエンテーションで海に繰り出しました。


「あはは、ハオちゃん。楽しいですわね」

水着姿のメオちゃんは、歓喜の声と共に海水をハオちゃんに浴びせます。

 キラキラと飛沫の中で微笑むメオちゃんは、本格的に主役の座を取りに来ています。


「メオちゃん、アッシは埴輪なんだよ。海水を含むと塩が吹くんだよ」

 これはいけない! 仲間の裏切りイベントが勃発しました! 物語には外せないテンプレのトリガーが引かれます。

 まあ、それは置いといて…


『おおお…… ハオよ。ヨクボウが襲ってくるぞぅ』

 勾玉の髪留めが湿気を含んだ声を響かせました。


 「アレは…… ヤバいんだよ!」

ハオちゃんの視線の先には、『キャッキャ、ウフフ』と楽しむ男女混合の生徒達。夏の魔物がアバンチュールをお膳立てしていたのです!


『ハオよ、そっちではないぞぅ』

ハオちゃんは『チッ!』と、舌打ちをして陽キャ達から視線を逸らしました。


「ハオちゃん? …あの男子生徒は何をしているのでしょう? 海の中で、身動きひとつしていませんわ」

 メオちゃんが指差す方向には、彼女の言葉通り下半身まで海に浸かっている男子生徒の姿が。


「まさか、そんな事が…… コレはヤバいことになったんだよ」

 ハオちゃんは見逃しませんでした。男子生徒がフルフルと小刻みに震えるのを。それは、海中で用を足した事を意味しています! 今回のヨクボウは海の中で排泄するという、規格外で常識はずれの強()な敵です。

 ……まさに、排泄したのが『大』ではない事を、神に願わざるを得ません!


 「ハオちゃん、変身だよ!」


 ……ああ、光と共に変身したハオちゃんは、立派なクレーン車になっていました。もはや重機でも構わないのは、ヒロインの重い覚悟ゆえなのでしょう。

 「悪•霊•退………」

ハオちゃん(クレーンのアーム)が男子生徒の頭を掴んで海から引き摺り出そうとした時でした。男子生徒は勝ち誇った表情で口を開いたのです。

 『…いいのかなぁ? 僕は今、海パンを履いてないんだよ? このままだとR指定のコンプライアンス違反になっちゃうなぁ?』


 なんて卑怯な!! 男子生徒は水着を脱いでいたのです! コレでは手出しが出来ません!!


「このままだと、PTAが黙っていないんだよ。どうすればいいんだよ…」

 本作始まって以来の大ピンチです。そんな戸惑うハオちゃんに、声を掛けたのはメオちゃんでした。

「私がチャンスを作りますわ。ハオちゃんはその隙に彼を助けるのですわ」

 メオちゃんはそう言うと、おもむろに海岸に居た酔っ払いに近づいていきます。

 その後ろ姿は、巨悪に立ち向かう勇者そのものでした。

「ちょっとオジサマ? もっと沢山飲んで欲しいですわ?」

 このサブヒロインは何を言ってるのでしょう? 何を考えているのでしょう?


「…お?おう?」

酔っ払いのおじさんはメオちゃんの『飲〜んで♪飲んで♪飲〜んで♪……』という魔砲コールで、ドンドンお酒を飲み始めました。

 そして……その時が訪れたのです。

『ヴォエエェェ!!!』


刹那、世界にモザイクが掛かりました!!

「今ですわ!ハオちゃん!!」

多分、メオちゃんの激熱カットインが入りましたが、モザイクでよくわかりません。


「メオちゃん!!有難うだよぉ!」

モザイクに乗じて、ハオちゃんは男子生徒を海から引っ張り出しました。


「悪•霊•退•散!」


 こうして、ハオちゃんとメオちゃんは海の平和を守りました。


 浜辺を覆い尽くすモザイクは、なんだかとってもアレな感じですが、そんなアレを払拭するかのように、優しい波音がハオちゃん達を包んでいました。



           ── つづく

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