死闘⭐︎よりどりミドリのビュッフェだよ!③
「やっぱりか……。それは、ノロワ=レイルの呪いなん…」
『違うわ。これは、自ら課した呪いよ。ノロワ=レイル様の理想を実現させるためにね』
どういう事でしょう? ビュッフェは洗脳されているのでしょうか? きっと高価な壺とか買わされているのね?!
「ノロワ=レイルの理想とは何なんだよ? 世界征服?」
ハオちゃんのマジカル質問にビュッフェは優しく微笑みました。
『ええ、世界を征服……とは少し違う。 あの方は世界を一つにするの。 争いが無い世界に』
「おかしいですわ。ノロワ=レイル登場時に『この世界を呪いで満たす』って言ってましたわ。どう考えても陰謀罪か共謀罪の類いですわ?」
メオちゃんは六法全書で該当する項を提示しますが、ビュッフェは力強く口を開きました。
『呪いってね……、自分を縛り付ける固定観念を指すものよ。 あの方は縛られ続けている。平和な世界に!』
その強い言葉に、黒レ騎士はビュッフェの肩に手を添えて言いました。
「ビュッフェ。ノロワ=レイルのやり方は間違ってると思わないか? 目的のために手段を選ばない事に」
ビュッフェは黒レ騎士の手を払いのけると、『人の性善説は幻想よ。結果、現代でも争いは続いているわ』と、寂しい目を向けた。
「ビュッフェ、信じてみないか? この魔砲少女達を。俺は見てきた。彼女達の平和的解決を。実現出来る可能性を」
ビュッフェは『ふふっ』と自虐的に笑うと、ハオちゃんに視線を送ります。
『アタイも信じられなかったわ。登場人物が誰も傷つけられない、決して死なない世界があるなんて、ね』
ビュッフェは瞼を閉じ『でも、もう遅い。アタイの死で、この世界に『死』の概念が生まれる。ノロワ=レイル様の理想を信じるしか無いの』
そこにハンムラビくんは静かに口を開きました。
「ビュッフェ。そうはさせないよ。僕も魔砲少女と出会うまではこの世界に絶望していた。だけど、今は強く感じる。くだらないことの大切さを、ふざけることで起こる笑いを」
ビュッフェは『そんな戯言が…』と、呟く中、ハッと気付きました。
『何故、アタイの呪いが発動しないの? 何故、死ねないの?!』
ハンムラビくんは紙切れを一枚取り出して言いました。
「埴輪は勝手に飲み食いしただけ……。つまり、お前の用意した『大食いバトル』は成立しない」
『それは、まさかっ! 領収書!?』
なんと!ハンムラビくんは先に会計を済ませていたのです!!
「ああ、僕もこの世界を気に入ってるんだ。勝手に壊させはしない」
カッコいい!! ハオちゃんどこ行ったの?
このままでは主役の座が危ぶまれます!!
『そう……、やっぱり強いわね。あなた達は』
ビュッフェはハオちゃんに歩み寄ると『ひとつお願い聞いてもらえるかしら』と、手を握ります。
『ノロワ=レイル様の呪いを解いてあげて。あなたの『魔砲』で』
「任せるんだよ! アッシはハオちゃん。埴輪なヒロインに不可能はないんだよ! でも、これ以上食べるのは不可能だよぅ」
ハオちゃんの力強い言葉にビュッフェは微笑むと、『笑いの力か…… 素敵な魔法ね』と言い、闇の勾玉の欠片を渡して小さく息を吐くと、ゆっくりと立ち去って行きました。
「ハンムラビさん、すごい活躍でしたわ!」
メオちゃんが目を輝かせてハンムラビくんに駆け寄ります。いけない!ハンムラビくんにはハオちゃんという恋人が!
「違います」
「驚いた。何故、ビュッフェの呪いに気づいていたんだ? よくやったぞ」
黒レ騎士の言葉に、ハンムラビくんは「この世界が終わるのを、誰も望んでないって聞こえただけさ」と、はにかんで答えました。
「ウチの扱いが雑ですよね。今回はちょっと活躍できたけど、不満よね」
「これで、あとはノロワ=レイルだけだよ! 白巫女さんもノロワ=レイルもまとめて……」
ハオちゃんは笑顔でハンムラビくんの持つ領収書を受け取ると、但し書きに『ハッピーエンドにするよ』と書き入れ、みんなに見せました。
皆は頷き、決意します。
この世界は笑いの力で救ってみせると ──。
「ハオちゃん?その領収書で経費申請すると、私文書偽造罪になりますわ」
── 最終局面へ つづく。




