降臨⭐︎体育館の天使だよ!
皆さんご機嫌いかが? 女庭メオですわ。
ハオちゃんのエプロン姿は萌えましたわね。
とってもキュートでしたわ。
そういう事で、今日は球道を考察していきますわ。
【道①】
『この一球に全てを賭けるッ!』
九回裏、ツーアウト、ランナー二塁三塁のピンチ。マウンドに立つエースが膨大な時間と熱量を込めた一球。しかし、無情にも甲子園球場に快音が響いた。
『俺達の夏が……終わっちまった……』
── それでも、アナタの青春は輝いていましたわ。とっても素敵な事ですわ。胸を張って人生を歩むのですわ。マーベラス球道ですわ。
【道②】
── 俺達はこの三年間、それほど部活に打ち込んで来た訳じゃない。でも、運良く県大会ベスト4まで駒を進めた。これに勝てば国立競技場への切符が近づく。
1点を追う中で、アディショナルタイムは後1分。俺はゴール前で絶好のパスを受けた。
『撃てぇ!!キャプテン!!』
チームメイトの声が俺の背中を押す。
脚を振り抜き、放ったボールは枠を捉えることなくゴールバーの上を越えていった。
『……もっと真剣に練習しておけば。もっと、走っていてば。もっと……』
試合終了のホイッスルが鳴り響く中、俺は涙を流していた。
── アナタは後悔を知ったのですわ。きっとこの先、アナタは努力が出来る人になるはずですわ。イグザクトリィ球道ですわ。
【道③】
私は、少年時代を思い出した。
細いパイプの上を歩きドキドキしたあの頃。
今では胸の高鳴りを忘れてしまった自分を、諦めに似た感情で過ごしていた。
しかしその時、私の目の前に現れたのが上を渡れそうな手頃なパイプだった。高さ1mほどなので、落ちても怪我はしない筈だ。
── まだ、私はときめく事が出来るかもしれない。
その一心で、私はそのパイプに足をかけた……が。
滑る靴底。股の間を抜けて迫るパイプ。
この日、私の球道は終わりを告げた。
── Deathわ。
……それでは皆様、本編スタートですわ。
「やあ、アッシだよ。はにわハオちゃんの回転レシーブが炸裂だよ」
まあ!素晴らしい反射神経!ハオちゃんの拳がバレーボールの芯を捉え、体育館に打撃音が轟きます。東洋の魔女再来を彷彿とさせる胸熱シーンが垣間見えました。
『はにわハオ!打ち上げ過ぎだ!』
体育教師の熱狂が体育館を揺るがせる中、
ハオちゃんの打ち上げたボールは天井と鉄筋の母屋に『ポキュ』と、音を立てて引っかかってしまいました。
「アッシのレシーブは永遠となったよ」
ああ、素晴らしい。勝負に終止符を打つ一撃が、この世界に平和をもたらしたのです。
『まったく、あのボールどうするんだ?』
平和な世界で、体育教師がハオちゃんの功績に首を傾げたのは、あれです。きっと照れ隠しですね!
先生をも魅了するハオちゃんは、超絶ヒロイン道まっしぐらです。
『おおお…… ハオよ。ヨクボウが集まってくるぞぅ』
それは突然の事でした! 勾玉の髪留めが慄く程のヨクボウがハオちゃんに襲い掛かります!
『俺だって出来るぜッ!』と、声を張り上げたのは、周りの男子生徒達でした。
いけません!どうやらヨクボウに支配されているようです。
そして、彼らは次々とバリボーを天井目掛けて投げ始めました。
決してハオちゃんのボールを救出するつもりは無いようです。これ以上ボールが天井に挟まると、無駄に飾り付けが多いパリピ体育館になってしまいます!
「ハオちゃん、降臨だよ!」
……えっ?! なんですって!
勾玉の髪留めに触れたハオちゃんの背中から、純白の翼が生えているではありませんか! その姿は、まるで天使っ!
…バサバサバサ、、、
は…羽ばたいていますが、なかなか浮きませんね?
…バサバサバサバサ、、
1ミリも浮きませんね?
「ふんぬぅ!!だよぉおおお!!」
ああっ! 駄目です! この絵面はトイレで気張っている姿そのものです。 ハオちゃんが放つ未来は神々しさか、異臭なのかは読者の想像に委ねられました!
ハオちゃんは相変わらず浮きませんが、しかし、彼女の羽ばたきが奇跡を巻き起こしました。
体育館の屋根を吹き飛ばし、慈愛の天使の誘いでクラスメイトと体育教師が空高く舞い上がります!
これが歌詞によく出て来る、♪翼を広げ空へ〜 の、語源だとか。じゃないとか。
その後、体育館跡地に降り注いだのは輝く天使の羽根か、体育館の残骸かは皆様の想像にお任せします。
「悪•霊•退•散!」
とりあえず、天に召されたクラスメイトは復活させておきます。ギャグ作品の登場人物は死なない理論が証明されましたね。
「やっぱり体育は、お日さまの下がいいんだよ」
こうして、今日もハオちゃんは古墳中学校の平和を守りました。今年、中学校の修繕費が跳ね上がった事は言うまでもないでしょう。
── つづく