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家族会議

中々書く時間がなくかなり遅くなりました。

 

「それで?」

「はい?」

「結婚を申し込まれたのでしょう? 返事はどうしたの?」

「断るに決まっているだろう!?」

「あなた?」

「……はい」


 お母様に怒られたお父様は大きな体がしゅんと小さくなった。


「その……一度はお断りをしたんですけど」

「あら」

「フィン様自身を知ってから決めて欲しいとの事で保留になりました」

「まぁ! そうね、中身を知ってから答えるのもいいわね」

「でもフィン様は公爵家です、待たせるのはどうなのかと……」

「あら、相手側がそう仰るんですから大丈夫よ」

「えぇ……」

「それより貴女、フィン様って呼んでいるのね!」

「え、そう呼んで欲しいと言われたので」

「公爵家の嫡男は色々と完璧と言われているが好みだけは変なんだな」

「どういう事かしらお兄様?」

「別にー」


 一言余計なお兄様をギロリと睨む。


「どうするかは貴女が決めていいからゆっくり考えなさい」

「……ルーナはお父様と結婚するって言っていたのに」

「そんな小さい頃の話をいつまでも出さないで下さいな」


 お母様はピシャリと言い切る。







 ※






 今日はフィン様に誘われて街に出掛ける事に。久しぶりの街に少しわくわくしていた。


 そんなルーナの服装は、水色のワンピースに襟や袖にレースがついていて、清楚にしつつ可愛らしい服にし髪型はふんわりと緩く巻いてハーフアップにしている。


「おかしくないかしら?」


 何度も鏡で確認するルーナにメイドが微笑ましそうに見つめる。


「お嬢様とてもお似合いです。 デート楽しんできてください」

「え、デート!? そんなつもりじゃ……」


 手紙には「街でデートしよう」と書かれていてその言葉に恥ずかしくなる。


 ――コンコン


「お嬢様、ウッド家のフィン様が来られました」

「ありがとう、今行くわ」


 よし、と気合いを入れ玄関に急ぐ。

 そこでは兄とフィン様が話をしていた。


「お待たせ致しました」

「全然、俺の為に準備してくれていたと思うと何時間でも待てるよ」

「っ……」


 さらりと言われる言葉に顔が赤くなる。


「フィン殿、妹は恋愛初心者なのでお手柔らかにお願いしますよ」

「ちょ、お兄様!」

「ははは!」

「……いってきます」

「いってらっしゃい」


 兄に見送られ馬車に乗り込む。


「ルーナは今日行きたい所とかあるかい?」

「私は久しぶりの街なので見て回るだけでも楽しいです」

「そうか、それならぶらぶらと歩きながら、気になった所に入る方がいいかな」

「いいですね」


 街はたくさんの人で賑わっていた。


「どころから回ろうか」

「そうですね、なんだか気になるお店等もあります」


 キョロキョロしていると前の人にぶつかる。


「す、すみません!」

「大丈夫?」

「はい、余所見し過ぎました」

「今日はなんだか人が多いしね。 はい」

「え?」


 すっとさし出される手に戸惑う。


「さっきみたいに、またぶつかるかもしれないだろ?」

「で、でも」

「俺が心配なんだよ」

「はい……」


 恐る恐る乗せた手はしっかりと握られる。


「さぁ、行こうか」


 顔が赤くなるのを隠す様に少し俯きながら返事をする。


「あそこの雑貨屋可愛らしい物が売っているよ」

「本当ですね」

「見に行こう」

「はい」


 最初に入ったお店はシンプルなお店であったが売っている物は女の子が好きそうな可愛らしい文具から手軽に買えるアクセサリー等が売っていた。


「安くて可愛いから女の子に人気そう」

「高すぎないから平民も手が出しやすいしね」

「あ、これ可愛い」


 そう手に取ったのは髪の毛を纏めるのに使う髪止めだった。

 銀の装飾に、所々キラキラした硝子が埋め込まれていて、シンプルながら普段使い出来そうな物だった。


「それが欲しいのか?」

「え、いえ、可愛いなと思っただけですので」

「すまんが、これをくれ」

「え!? ちょ、フィン様自分で払います!」

「いいよ、これは今日来てくれた礼だ」

「ですが……」

「その代わり、今度会う時はこれを付けてきてくれると嬉しい」

「う……分かりました」


 お金まで払ってくれて更に次の約束まで取り付ける。なんて出来た男なのだ。


「ありがとうございます」

「どういたしまして」


 次は、休憩も兼ねてカフェに入る事に。


「わぁ! すっごく美味しいです」

「よかった喜んでくれて」


 ルーナはいちごのタルトをキラキラした目で見つめながら食べる。

 甘酸っぱく美味しいタルトについ頬が緩む。

 フィンは甘すぎないチーズケーキとコーヒーを頼んでいた。


「フィン様は甘い物が苦手ですか?」

「んー、凄く苦手というものではないが控え目の方が好みかな」

「そうなんですね、私の父や兄は結構甘い物が好きなので男性は好きな方が多いのかと思いました」

「将軍が甘い物好き!?」

「そうなんです、あの怖い顔で甘い物が好きなんですよ」

「へぇ」

「最初は頭使うのに疲れたから糖分だ!って言ってましたけど」

「そこは軍人って感じがするね」


 フィン様は私のくだらない話しにも笑顔で聞いてくれた。

 好きな物の話しでは、もう私が武術が出来る事は知られているから素直に伝えると、やっぱり嫌がられることはなく凄いと言って下さった。あと、意外にもフィン様と剣が扱えるらしい。


 今度手合わせして欲しいな。


 最初はデートと言われて意識してたけど、お互いの事を話して穏やかに過ごす事が出来た。



 お風呂に入って部屋でまったりしながら、今日フィン様が買って下さった髪飾りを見る。

 高価な物ではなく誰もが手に取れる品だが、今日の思い出と共に素敵なプレゼントをもらって嬉しくなる。




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