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シンデレラが唄う時  作者: 山本トマト
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ちょ、ジャンプしてみろよ?

 城門を潜り、城に入るとすぐに目に入っきたのは黄金色の支柱に床、置かれている美術品が、余すとこなく施されている。

 もともと、瞳の色素が薄いミウクレイシーにはキラキラしたものは人が感じる以上に眩しいと思わせるのであった。

 そろそろ目が慣れた頃かと、そっと辺りを見渡すと既に何名かの招待客がおり、見いるように装飾品を眺めていた。


(…ああ、ダメだ。まだ目がチカチカする…)


 明かりに反射しあまりの輝かしさにまた目が眩む気がしてそっと上を見上げる。


 天井には白をベースに絵が描かれており、丁度見上げた先には大きな一つの大陸の地図があった。黄金で輝く地上とは打って変わり、あまりにも質素に感じられた。


(…なぜに地図?まぁでも、天井までピカピカしてなくて良かった。)


 玄関口から大広間に向かう道には深紅色の絨毯が敷かれており、靴越しにもフカフカであることを感じさせる。金の塊(装飾品)の奥の壁には至るところに由緒ある風景画や、金貨何枚積んでも買えない貴重な絵画が等間隔に並んでいた。そして見上げた天井の絵は広間に向かう間まで続いており、どの美術品よりも美しいと素直に思った。そして、そのまま少し見上げながら奥へと足を進める。



(一つの大陸から…王様が誕生して…悪魔の侵略…あぁ、なるほど。この国の生誕からを描いたものなのね。それにしても細部に至るまでとても緻密に描かれてる…すごい、綺麗!!)



 まるで物語を読むかの様に一つ一つを丁寧に鑑賞して一歩一歩ゆっくりと歩く。


(悪魔…といっても他国だろうけど。確か侵略の後、もともと一つの国だったのが初代の王様の御触れで3国になったのよね。今では神話とされているけれど、王城の天井に描かれているということは限りなく真実に近い…ということね)



 すっかり天井の絵に夢中になっていた為、見上げがちだった首が限界にきていた。


「…!!」


(首、痛っ!辛っ!!あぁ、そうか…いつもの体重50%増しを忘れてた。なんとなく重く感じたのも頭にも肉が付いたから…?)


重かった頭を下に向け、ふぅと息をつく。そうすると今いる場所が丁度大広間の入口に来ていた事を理解した。


ふと目線だけを上げると入口を入ってすぐに踊り場の様な小さいスペースがあり、10名程青年貴族が目に入る。彼らは一様にワナワナと震え、怯えた様に目を点にさせている。何人かの青年とバッチリ目が合ったと思いきや、次の瞬間、蜘蛛の子を散らすが如く広間の中には駆けていったった。


 彼らがいなくなるそこには大きな鏡があり、それら今の真実(姿)を写し出していた。


 内ももに肉がついているため、まっすぐ立てず仁王立ちとなり、首が痛いからと下を向いている為できた立派な二重顎、そのまま目線だけをあげたメンチスタイル。


『ちょ、おまえ金持ってんだろ?いいからジャンプしてみろよ!』という台詞がピッタリであった。


「っ!!!」


(なんと!!カツアゲの術を使ってしまったわ…!いや、そんな魔術ないけど!!…でも、お兄ちゃんから聞いていた通りね…入口付近には必ず【媚売り取り入りたい隊】が常駐してるっていうのは…まぁでも、何もせずとも退散させたっていうのなら…ラッキーかな!)

 

「…!!」

「し、失礼ぃたし…ましったっで!!」



 噛み噛み執事が現れた!!



(カツアゲの術の余波で入口に待機していた王宮執事にまで攻撃しちゃダメだ!ってか無意識だったんだけど…)


 すぐさま、今できる最上の淑女の立ち居振舞いに戻し、ニッコリと微笑んで見せるも、執事は先程のダメージから回復しそうになく、瀕死の重症である。突然両膝を付き、これまた噛みまくりながらこれまでの人生の懺悔をしていた。


(お、おう。なんか…ご、ごめんよ。それに5歳の時のクッキー食べ過ぎて晩御飯が食べれなくなったって…そんな可愛いらしい事を懺悔しなくてもいいと思うよ…)


 懺悔をする執事に前を向いて生きましょう!と声を掛け、彼が立ち直るのを見届けてから奥へと進んでいった。



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