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シンデレラが唄う時  作者: 山本トマト
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向かうは戦場…いや戦城 ~生い立ち小話②~

道中思い出続きます。

下町ぶらり旅を始めて数日…ふと、この領土にどういう種類のお店が何軒あるか数えてみたくなった。


凝りだしたらとことんの私は飲食店が何軒、屋台が何軒、雑貨屋、衣装屋…と、下町マップを作るが如く全体を網羅する為の調査に乗り出す。

ウィンドーショッピングに始まり、屋台での買い食いを始め、気付けば生意気に評論家気分だ。


下町で得た情報は家に帰ればすぐに細かにノートに記録し、この店の揚げ魚はうまいが味が毎日変わるだの、この雑貨屋は可愛いのに場所が辺鄙な為客が少ないだの、思ったことを子供なりに纏めていく…。


その作業がたまらなく幸福を感じさせた。

文脈が気に入らないと、有名な文学家の本を片っ端から読み上げ参考にして書いたりと、気分はまさに書き物屋だ。

全く、誰に見せるわけでもないのに凝りだしたら止まらないこの性格は遺憾なく発揮された。


1日をぶらり旅とマップ作成、時々趣味ピアノ…という生活も罷り通る訳にいかず…こんなでも一応公爵家令嬢。


別棟に恐らく父が送り込んできた家庭教師による英才教育もこなしていた。


本家にいた頃は毎日だったスパルタ教育生活も、別棟に移ってからは週に1、2度家庭教師のマナー講座、政治・経済、社交ダンスに外国語レッスン等…スパルタ教育のフルコースだ。


だが、毎日がスパルタを経験してきた者としては週2のフルコースは屁でもない。近年ではほとんどが総復習くらいの感覚でやってのけれたのだ。


そして、そんな生活が2年程経ち、ふと思う。てか、父親嫌いな癖にお金だけ頼ってる…


え、なにそのご都合主義…

だめじゃね?ってか、自分でお金稼いで出てけば良くね…?

てか、このままだと絶対に政略結婚とかで嫁がされるよね…。


うん、目指せ実業家!!

政治利用されない程度の金銭力を身につければ良くね!?


と、そこに気付けたのが今か2年前の16歳の時。


ひとまず、お金を稼ぐということが本当に大変な事だったんだとつくづく感じた。


生きていくって大変なんだな。

皆笑って暮らしてるけど、先立つものがあるからこそ成り立っているんだな、と。


そして思い立ったが吉日。

まずは、空き地で子供たちへの教育実習だ。


スパルタ教育のお陰で勉強はやたらと出来たので、読み書きをはじめ、遊ぼう!と誘いつつも算数や外国語を教えるという荒業にでた。


が、これが本人だけでなく保護者受けもよく、学舎で分からなかった事を聞きに来るというスタイルが定着し、謝礼金として一人200ベルタの報酬を得た。


100ベルタで揚げ鳥が1つ買える、そんな低賃金でも始めての報酬は嬉しかった。今でもその200ベルタはわたしの宝箱の中だ。


そこから来るもの拒まず去るもの追わずスタイルで、やってきたものの教え方が上手いという高評価の口コミのおかげで多いときは30人とまとまった人数を見ることもあり、いっぱしの先生気分になったものだ。


また、人が人を呼び、趣味であるピアノが出来ると知られると時にはピアノの先生になってみたり、外国語の個人レッスンを、と少し高めの謝礼金を頂戴しながらありとあらゆる先生業に勤しんでいた。


そしてそれらで貯めたお金で、ちょっと良いところでお一人様ランチをしたり、雑貨屋で商品の取り寄せや、屋台の買い食い等、ありとあらゆる領内マップ作りに自己投資していた。



この下町は決して貧富の差が激しい訳でもなく、どちらかというと豊かで、また多くの領民が笑って暮らしていた。

毎日殺伐として生活していたのが嘘の様に、私は心から笑える日々を送る様になっていた。

ありがとうございました(..)

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