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シンデレラが唄う時  作者: 山本トマト
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向かうは戦場…いや、戦城 ~生い立ち小話①~

完全な趣味で初めました。誤字脱字、語呂力のなさが目立つかと思いますが…な、何卒お手柔らかにお願いします。


ゴーン…ゴーン…




夕刻6時を告げる鐘が鳴り響く。


ここはネオタリス王国、王都ネオ


今宵7年に一度開かれる夜会に出席するべく私は馬車に揺られていた。


『はぁぁぁ……』


窓から見える城を横目に盛大なタメ息…いや、、ダメ息を吐いていた。


(やっぱり帰りたい…いやまだ着いてもないけど。)


王都中に鳴り響く鐘と馬車の揺れが、臨戦体制の私の身体の贅肉を揺らす。


(今日で公爵家令嬢として、最後の仕事だ…今日の夜会さえ乗りきれば…私は生涯を心穏やかに生きていけるハズ…!!なんとしても乗り切らなければ…!)


私は丸々と肉の付いた手にぐっと力を入れ、膝にかかるサテンのドレスをぎゅっと握る。


(やれるだけの準備はした!この日を乗り切る為に…!)


ぎゅっと目を綴じこれまでの短い人生を振り返りつつ、これから始まる最終決戦に備えた。



────────────


ミウクレイシー・エマ・ノワール


ネオタリス王国公爵家次女18歳


と言っても7年前までは長女だった。


父、母、兄と4人家族で仲睦まじく過ごしていたが、10年前に母が他界し、その3年後に父が再婚。


私の1つ年上の連れ子がノワール家の長女に君臨した。

それとほぼ同時に優秀な6歳上の兄は早くも宰相である父の跡取りとして王城へと生活の基盤を移す。



母が亡くなってから、いや消えてから…私は父を毛嫌いしだし、継母(ママはは)と義姉が増える事にはっきりといって興味がなかったが、ゆくゆくは殺伐とした家庭環境にしかならないであろう事は火を見るより明らかだった。



そんな4人暮らしも初めは当たり障りもなかったが、嫌いな父はほぼ王城で仕事浸け、帰る時間はよゐ子は眠る真夜中で、次の日は早朝から仕事に出るため、ほぼ会うことはない。


継母と義姉はやはり基は他人。初めは大人しい義姉であったが、公爵家の英才教育を共に受けるうち、自分だけ出来ない分からないと、こなす私への嫉妬と妬みから嫌がらせや虐めが年々と酷くなり、今ではこれ犯罪じゃね?レベルにグレードアップ。


最初こそは私を庇っていた継母もまさか自分の可愛い娘がそんな事を!というこれまたテンプレの毒親という性質タチで今では立派に見て見ぬ振りだ。



ある時、継母と義姉と3人で夕食を取っていた時、突然義姉がどうしてアンタはいつも何でも出来るのよ!ムッキーッ!!と、いつもの癇癪を起こし、私に向かって食べかけのステーキが乗るお皿をフリスビーの様に投げつけて来た。


瞬間スローモーションになる世界。いや、一瞬の事だったのだが私にはその時そう見えたのだ。


宙に舞う厚切り肉、備え付けの野菜とマッシュポテトは何故か半回転し、義姉の顔面へ。私に向かってきたお皿は侍女のビビが素早くキャッチし、飛び交うソースが私にかからないよう筆頭執事ボルタがスプーンでキャッチ。それを見ていただろう継母は義姉がお皿を投げつけたと同時に勢いよく立ち上がり、壁に飾ってあった絵画に全力ダッシュ『なんて美しいのかしら…!ホホホホ!』と、華麗にスルー…


全てをスローで見ていた私は野菜とマッシュポテトまみれになった義姉のご尊顔と、背に書いてあるが如く『ナニも見ていない』という継母の背中は今も忘れる事が出来ないカオスな記憶だ。


だが、ただただやられて黙っている私ではない。

やられたらやり返す…いや、売られたケンカは買わなきゃ女が廃るという、負けん気の強い性格が災いし、見事に義姉との仲は最悪期を迎えた今ではまともに会話をした記憶がない。


というか、ここ2、3年は顔を見てもいない。

同じ敷地内で生活をしているが、私がいい加減義姉の癇癪とケンカにほとほと疲れたと、敷地内にある別棟で悠々自適のおひとり様生活をしている。


まぁ、()()()()()()()と言っても私に昔から仕えてくれている数名の使用人が生活の補助をしてくれている事と、シスコン気味の仲の良い兄がたまに顔を出してくれるので、それがまた寂しさを感じさせない要因だった。


どうしても本家に行かないといけない時は、義姉と顔を合わせれば取っ組み合いに発展しかねない状況なので使用人たちが絶対に顔を合わせない様に気を遣ってくれている。


こういう状況も大人気ないとは思うのだが…。


だが、合わないものは何をしても合わないのだ。


そういったことから、ここ数年は心穏やかな日々を過ごせていた。


別棟暮らしを初めてすぐ、趣味であるピアノに時々刺繍というこれぞ『THE☆淑女暮らし』を基盤としていたが2ヶ月もすると引きこもり生活には飽きてしまった。


そして、裏口から屋敷に入る商人を窓から見かけた際、一本道で下町の大通りに行ける事に気付いた私は、すぐにぶらり日帰り旅をする様になる。


なるだけ町娘風の服を着て一人で窓から抜け出し、これぞ下町という未知なる(みち)を歩くだけで、領民の生活や屋台の食べ物、可愛い服飾店や花屋など、色とりどりの世界が視界に飛び込んでくる。


はじめてのぶらり旅がアドレナリンがぶっとび続けた1日になった事を私は今でも忘れない。


(あの日見た事が今の私の礎になってるだなんて…)



結局、翌日から朝起きてほぼ毎日ぶらり下町巡りをし、夕方4時には帰宅する。


そんな生活が続けば色んな人と顔見知りになり、今では歩けば『ミウちゃん!』と皆が気軽に声をかけてもらえる存在になった

ありがとうございました(..)

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