役所
翌日、デニスについて、役所にきていた。
役所は城壁の中にあり、入るときの検査に時間はとられたものの、何事もなくすぎた。
大通りの二つ目の角をすぎ三つ目の角を左に曲がったところに、それはあった。
無骨な3階建ての建物で、国旗らしきものが掲げられている。
その中にそそくさとデニスは、入っていった。
私は立派な建物に感動しながらも目でこちらを促しているデニスを追っていった。
中に入ると
受付にいた猫耳をはやした獣人とデニスが会話している。
こちらに気づいた獣人は愛想笑いを浮かべ
「では、こちらに記入お願いします」
と用紙を渡された。
字はたしかに読めるが日本語を書いて理解されるか不安だったものの、日本語を書いて渡した用紙をみて2、3度うなずいた受付嬢にほっと安心したのもつかのま、
「ではこちらの水晶に手をかざしてください」
これはもしや、ステータスを見るものかとか魔力を測るものなのかと水晶をみつめていると、なにやら落ち着きがないデニスに催促され、手をかざすと
「あ、鍛冶師が適任の方ですね。鍛冶師ギルドに渡す書類をつくるので少々お待ちください」
受付嬢は奥にひっこんでいった。
私は鍛冶師が適任という言葉が、体の中の隅々までいきわたるように何度も繰り返して言った。
「私は鍛冶師なんだ」
逡巡していた私を現実に戻してくれたのはデニスだった。
肘で私を小突くと
「それでなにをしていたんだ」
「鍛冶師みたいです」
「そうか」
少しほっとしたような顔をみせ
「鍛冶師ならユーバのところで弟子いりするなりなんなりがいいだろうな」
受付嬢が戻ってきて
「鍛冶師ギルドさんのところへ書類を書きましたので、お使いください。
多分、ユーバさんのところへ紹介されると思いますが」
書類を渡したら用は済んだとばかりに自分の仕事に受付嬢はもどって言った。
そこにデニスが一言二言声をかけて、役所を足早に去っていった。
慌てて私はあとを追いかけた。




