3人でのバザール
「準備はできましたか」
「それを聞きたいのはこっちのほうだ」
「体がかちかちだろうが」
「わ、わかりますか」
「剣を売ることだけで何をそんなに警戒しているのか知らないけど、もっと気楽にいこうぜ」
師匠の男はできた剣をさげ(結局、弟子が推していた真ん中の剣にしたようだ)、貴族の三男坊は大きい外套をかぶり身がばれないようにした。
「よし、行くか」
私達はそれぞれ7本の剣や必要物を背負い、バザールに向かうのであった。
いつもの要領で商会に行き、改められた指定の場所に向かった。
台に数打ちとして作った剣の一つを置くと、あとは奥にひっこめた。
「商売はあんまりしたことないから力になれねぇけど、見張りとメモを書くことぐらいはできるから、気楽にやりな」
師匠が声をかけて、少し落ち着いた様相をみせると一人の客が来た。
「ここで売っているのはこの剣だけか」
「いえ、もう1種類ありますが」
「それをみせてほしい」
そういったお客は外套を深くかぶっておりどこかのお忍びの貴族を思わせた。長身で声からすると女性らしかった。
「はい、どうぞ」
長身の女性は剣を受け取ると、見分を始めた。
数分、見分をすると満足したのか剣を返し、その場を去っていった。
「冷やかしもんかい」
「あれはもしかして…」
「なんだい坊主知り合いかい」
「いえ、気のせいだと思います。気にしないでください」
師匠と弟子がそんなやり取りをしていると、また新しいお客がやってきた。
「ここか、その剣を売っている店は」
「はい、そうでございます」
二人の男が剣を見分しているようであった。一人の男は、執事のような恰好をしておりもう一人はその主人のようであった。
「ここで掘り出し物のいい剣が手に入ると、鍛冶師ギルドに聞いたのだが」
「ええ、いい剣を売っていますぜ」
私が身分の高い人を相手にするのがはじめてで、緊張して声が出ないでいると、横から師匠が相槌をいれ
「では1本見せてもらいたい」
「はい。少々お待ちを」
師匠が剣を1本、裏からとりだしお客に渡した。
執事がうけとり、主人がそれを見分し始めた。
見分を終えると主人の男が言った。
「見たところ、貴方が持っている剣の姉妹剣だと見えたが」
「はい、その通りですぜ」
「なるほど、他の商品はないのかい」
「あと、あるのは数打ちの剣になりますが」
「その剣も見せてもらいたい」
師匠の男は丁寧に頷くと、台の上にある剣を渡した。
その剣を執事がうけとり、また見分をはじめた。
「なるほど。まあ、これでいいだろう。この剣はいくらになる」
主人の男が尋ねると、師匠の男がメモをあさり
「銀貨5枚になります」
「ほう、それなら安いな。何本在庫はあるのですか」
「5本になります」
「ちょうどいい。全部買おう」
お金を執事の男が台に置き、一緒にいつの間に書いたのやら何やら書かれている紙も一緒においた。
「では、こちらまで運んでおいてもらないか」
「了解しましたぜ」
主人と執事の男が去っても私は言葉を発するのに時間を要した。




