3本の剣
ある晴れた日のことであった。
悪逆非道の限りを尽くした暴君は言った。
物事はつき進めていくとけして満足することはないと。
私は思った。剣を作る道をつきすすめていくと満足することはないと。
「ねえ、私の話聞いているの」
「はい、聞いていますとも」
「それにしては明後日の方向みていたけど」
「今日もいい天気だなって。はは…」
ルナはじとめでこちらをにらんだ。ルナは怒っているようだった。
「それで聞きたいことがあるのだけれど、いいかしら」
「はい、良いと思います」
ルナが真剣な表情でこちらを見るのでこちらも姿勢をただし
「この剣たち、どれも素晴らしいできだとおもうわ」
「ありがとうございます」
「それはいいのよ。剣の注文何本だっけ」
「1本です」
「あなたが作ったのは」
「3本です」
「お金があるのならともかく余裕がないのに3本もつくっていちゃ仕方ないでしょ!」
「私がいないことに味をしめたわね。…本当に鍛冶バカなのだから」
私はあまりの緊張感に思わず息をはいた。
「ため息をはきたいのはこっちよ、鍛冶バカ!」
ルナが処置なしというのに手を頭にあて顔を横にふると、隣で正座している師匠とその弟子をジト目でにらみ
「あなたたちがとめることもできたのではないかしら」
「とばっちりでさぁ。気づいたときには3本作っていたのだよ。鍛冶バカに対して甘くないか」
「そう。それで先日、師匠をほっといて遅くまで鍛冶バカ話をしていたお坊ちゃんはなにか申し開きはあるかしら」
「と、とばっちりですよ。私も気づいたときには3本あったのです」
「私も気づいたときには3本できていたのです」
「鍛冶バカには聞いてないわ!」
そういうと三人の前をいったりきたりしたルナは、何かを思いついたかのように手を叩くと
「そうね。あなたたちも剣を売ることに手伝ってもらえるかしら」
「私たちは剣の稽古があるので…」
「剣の稽古が終わってからでいいのよ。お昼過ぎぐらいから鍛冶バカと一緒にバザールで売ってもらえたら。私はしばらく鍛冶師ギルドのほうにかかりっきりだから。」
「一人で大丈夫です。ルナさん」
「剣を売るときに必要なことはなんでしたか」
「えっと…」
「こういうことだから二人でみてもらえないかしら」
師匠と弟子の二人は見つめ合って頷くと
「剣を依頼したせいで火の車とあっちゃあしかたねぇ。」
「剣術大会もまだまだ日にちはありますからね」
「助かるわ」
「二人ともお願いするわね。」
「了解でさぁ」
「了解です」
その後も、私が話に入る間もなくとんとん拍子に決まっていき、明日から3人でバザールに行くことになったのであった。




