剣の出来具合
「ほほう」
「さすがに鍛冶バカってかんじだな」
師匠は鍛冶部屋に入ると、剣に目が行き驚嘆のため息をはくが、部屋の乱雑さに呆れた声をあげ
「これじゃあ、相方のほうも苦労なさっていることで」
私は苦笑いを浮かべるしかなかった。
「これがあなたの剣になります」
「おいおい3本も注文してないぞ」
「このうちから1本気に入ったのをもらっていただければよいかと」
「剣に関しちゃあ、妥協しないってことか。さすが鍛冶バカだねぇ」
「3本作っていることは相方に話をしているのかい」
私は視線をそらして
「余ったのはバザールで売るつもりです」
「おいおい。あの嬢ちゃんの許可なしで作っちまったのかい。こりゃあ、あとで雷がおちるな」
にやにやとした笑みを師匠が浮かべていると、貴族の三男坊は3本の剣をみて言った。
「私も見てもいいですか」
「はい、いいですよ」
貴族の三男坊が三本のうち1本の剣にふれようとすると
「おいおい、買う俺より先に触ろうとするのはどうかと思うぜ」
師匠がその手をさえぎり、貴族の三男坊を目で威嚇した。
「お金をだすのは我が家の財布からでしょう」
そういうと貴族の三男坊は一瞬たじろいだがその手を超えて一本の剣をとって見分をはじめた。
師匠の男はぐうの音もでず、手を引っ込め明後日の方向をみた。
「そういうやぁ、今日は、嬢ちゃんはきていないのかい」
「ええ、剣術大会に伴って人が多く集まるので、ギルドの仕事も増えて人手が足りないみたいで」
「そのすきをついて、3本も剣を作っちまったのか」
「はい」
「まあ、俺のために作ってくれたのだからいいように味方をしといてやるが、無理だったらすまんな」
「ありがとうございます」
師匠と私が話している間に、貴族の三男坊は3本ともの見分を終えたようだった。
貴族の三男坊は何かを言いかけたが、口を開け閉じることを何回か繰り返し
「し、正直な感想をいってもいいですか」
「坊主、お前さん剣のけも知らないのにいっぱしに剣について述べようというのかい」
「祖父の影響で剣は見慣れていますから」
「剣術大会用の剣を買ってこいといったら真剣買ってきた坊主がよくいうぜ」
「そ、そのことは忘れてください」
顔を赤くした貴族の三男坊は、一つ咳払いをして場を改めると
「かなり素晴らしい出来だと思います。とくに真ん中の剣ですね。剣としてのバランスが」とてもいい。それから…」
私はその声をさえぎり、テーブルに置いてあるペンとメモを用意して
「では続きをお願いします」
「それから…」
「これは長くなりそうだな。その間に剣のほうをみさせてもらうぞ」
その言葉に私は頷くと師匠は見分をはじめた。私と貴族の三男坊が剣についてのあれこれで盛り上がり、ルナが様子を見に来て解散させられるまで続いたことはいうまでもなかった。




