稽古
「相変わらず、坊主はどこかへっぴり腰だな」
あれから毎日、鍛冶場の近くにある空き地で稽古を二人がするようになった。
「鍛冶の旦那、俺の剣は今どんなかんじだ」
「工程の大部分は終わっていますよ」
「息抜きに見学ということですかい」
「そうですね、剣術にも興味もありまして」
「それなら一度手合わせでもするか」
「いえいえ。どういう剣術の人だと、どういう剣が合うのかが気になるだけですから」
「おいそりゃ、本当に鍛冶バカなんだな」
長身の男もとい貴族の三男坊は、会話をしながら試合形式の稽古されていることに腹を立てて、むきに剣をふるうが、全て軽くいなされて師匠の男が一歩踏み出し、木剣を振り下ろすとあっけなく倒されてしまった。
「坊主は、あれだろ。一回戦を勝てればいいのだろう。貴族の風習ってやつだったか」
「私は三男坊ですから、居場所を確保するためにも全力で何事にも挑戦してやれることを増やしていかないといけません」
立ち上がると、猛然と師匠の男に木剣をふりおろした。
隙をつかれた形になったが、師匠は簡単に木剣で打ち合わせると
「おうおう。まあ、いい気がいなこった」
「それに兄上も見にきますからね」
「あの堅物で有名な坊主の兄か。そりゃぁ、生半可な訓練で身に着けたものだけでは納得されないかもな。次期当主が堅物なのも難儀なものだな」
「あなたは父上の護衛ですから引き継いで、兄上の護衛もするのではないのですか」
「そりゃあ、それにこしたことはないが堅物の周りは堅物ばかりじゃねぇか。俺にはむいてないとおもうぜ」
「兄上もあなたの腕は買われていますよ」
「そりゃぁ、嬉しいことで」
「今日はここまでにするか。剣の出来具合もみたいからな」
「坊主も全うな剣をみてみたいだろう」
「ここにくるまで剣すらふらせてもらえませんでしたからね」
「一度、みてみたいものです」
「そりゃあ、剣術の練習する前に坊主は、体力をつけなきゃならなかったからな」
「きちんと見ておかないとまた、剣を買ってこいと言われたときに間違えて買ったり、だまされて買ったりするかもしれないからな」
師匠の男が、大きく笑うと貴族の三男坊の男は恥ずかしそうにうつむいた。
「ということで、鍛冶の旦那。剣をみせてほしいのだが」
傍らで見学していた私に師匠の男が声をかけた。
「よろしいですよ。ついてきてください」
そう私が声をかけると3人は鍛冶場に向かうのであった。




