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ある鍛冶師の一解  作者: 蛙の殿
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帰り道

それは契約が完了した帰り道のことであった。


「よかったわね。評価してもらえたみたいで」


くすくす、と笑っていたが真剣な表情をすると


「デニス達、特にデニスがあなたのことを心配していたみたいよ」

 「デニスはあなたの作品をみてとても安心したみたいってお仲間の方が教えてくれたわ」

 「あなたと違うところでとても不器用みたいね、彼も」


 私は、そそくさとでていったデニスの後ろ姿を思い出した。


ルナはなにか思い出したかのように、一つ手を叩くと言った。


「これから剣は売れるかもしれないわね。次の月に剣術大会がこの街で行われるの」


「真剣が大会で使われるのですか?」


少し驚いた様子で私が尋ねると


「そうじゃないわよ、木剣で行うわ。」

「それを見に来るお客さんがいるでしょ。それとどうやってくるにせよ、襲われないように護衛の人がいるじゃない。その護衛さんや観客が試合に発奮されて剣を求めることが多いのよ。」


私が納得した様子をみせ


「ではその日までに剣を作ればいいのでしょうか」


「それもいいけど…。在庫の剣を売ってからにしましょう」

「港町から評議国や王都への中継地点であるこの街でも、宿が足りなくなって近隣の村にとまる人もでてくるぐらいなの」

「だから、大会にでる有力者はもうこの街にいるはずよ。その人が目にかけてくれるかもしれないじゃない。」


「数打ちを目指した剣よりも私の全てをだした剣を売りたいな…と思いました」


ルナは手をお金の形に変えて、こちらをジト目でにらむと私は続きを言えなかった。なぜなら、ルナへの俸給(ルナは嫌がったが私の立場がないと受け取ってもらっていた)、それに食費、鍛冶の材料は最初にユーバに融通してもらったにせよ、いずれは自分で賄わないといけないこと等、目先のお金が重要なこともたしかであった。


私は、がくりとうなだれながら夕日に映える我が家に向かうのであった。



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