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ある鍛冶師の一解  作者: 蛙の殿
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初めてのお客

「お久しぶりです。デニスさん」


 「こんなところでなにをしている」


 「作った剣を売るところです」


 剣の一つを台に置きながら言った。


 「これがその剣か」


 「はい」


 「少しみてもいいか」


 「はい」


 緊張して思わず震えた手で剣をデニスに渡した。


 「なるほど。よい剣だ」

 「これはいくらだ」


 「銀貨5枚の予定です」


 デニスはパーティーに目をやるが、剣をたずさえた女性は剣に目をやり、首を横にふった。


 「すまないが、今は入用ではない」

 「解体用のナイフは頼めるか」


 「解体用のナイフですね」


 ルナから商売が成り立ったときに、きちんとメモをしてくるようにきつくいわれて渡された紙とペンを鞄から急いでだすと


 「予備をいれて3本ほしい。大きさはこれと同じぐらいで頼む」


 デニスは鞄からナイフをだすと、ぬいて見せた。

 「これと同じの3本ですね」

 「少し写しをとらせてもらってもよろしいですか」


 「いいぞ」


 メモにナイフを合わせ、形をとっていく。


 「値段はそちらの出来具合で決めてもいいか」

 「最低銅貨5枚は払うつもりだが」


 「よろしいですよ。ナイフ、ありがとうございました」


 「ではな」


デニスはナイフを受け取るときびすを返し、通りの喧噪へと消えていった。


 今日はそれ以降、お客はこなかった。



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