chapter0-4 知人の記憶を取り戻せ!(物理)
自分と同じ状況にあっている人間を探すべく、たくさんの人がいるところ即ち王都ロゲエーオに向かおうとしたが、 裏餅のルカとかいう変な奴に狙われた冬花。その後何とか撃退しバスに乗ろうとしたその時であった。カーボン素材だと思われる黒い軽量装甲を着た青髪の少女が現れた。
「そこで何をしている?」
「げんた誰ごす?」
訛ったような口調で冬花は尋ねた。しかし何かしらの既視感を感じた。
「ん?もしかして蒼?よかったぁ~!蒼もこの世界に飛ばされてたんだ!」
しかし、返ってきたのは予想外のものだった。
「蒼?知らんな。私の名はクロロ。それよりもこの辺で裏餅のルカがぶっ倒れていたんでな・・・。だれがやったのか調べている…。」
「あいつ裏餅のルカって名前だったのか。はぁ・・・。そうですか。すいません人違いでした。じゃぁこれで・・・。」
冬花は小走りでその場を去ろうとした。
「ちょっと待てえぃ!目撃者の証言によるとあんたを見かけたって人結構いたぞ!それにここの治安維持のためにあんたを取り調べしなきゃあいけないからな。」
「こマ?」
「私は人が嘘ついているかどうかを汗で見分けることができる。まぁレロレロすればより確実だがな。」
「あっそう、すごいね。でもレロレロはやめてね。」
冬花はテキトーな返事を返し、今度こそその場を去ろうとしたが既に警備用だと思われるドローン型ロボットに囲まれていた。
「問題ィ!お前はあそこに倒れている裏餅のルカって奴に出会った。〇か・・・✖か。」
「はい✖でぇーーーす!」
勢いよく冬花は答えた。はやくこの状況が終わってほしいと心の中で祈った。
「汗かかないね・・・。わかった。信じよう。ところでコレはなんだい?」
ぷぉ~~~ん!という変な音とともに大きく「ぷ」と書かれた白い風船のような物が膨れ上がり、冬花の手のひらに現れた。そしてどこからともなく少年のような声で「ビキニなんだ!」という声が響いた。
「ぬ!ぬんだ・・・・これは!?」
「ルカの右ぼだぜ・・・汗をかいたね…どうせあんたが犯人だと思ってこっそりポケットに仕込んたよ・・・。」
「ホ!いつの間に!つーかズルくね!?急にこんなわけわかんないの手のひらに現れたら動揺するわ!しかもこれポルポ☆ポルポとかビキニなんだ!とかうるせーし!!あとルカの右ぼって何なん?」
クロロは素早く冬花の後ろに回り込み、汗だく状態の冬花の顔をなめた。
「この味は嘘をついている味ね…。ゴリノ・ゴリァ―ラ!!」
「いや・・・・ 月宮冬花なんだけど!しかし・・・・・どうしたらいいのサヨリ助けて」
「ここはやるしかGO!だよ冬花ちゃん!それにもしかしたらこの世界に蔓延している特殊な電波とかで記憶が別人みたいになってるかも!というわけでやるしかGO!」
いきなりサヨリが応援しだす。困惑しつつもとりあえず倒れている戦わなければ生き残れない気がし、構えをとった。しかしその足はめっちゃ震えていた。
そしてすぐさま戦闘開始した!クロロの戦法は拳銃刃という拳銃とナイフが合わさったような武器と暗黒カラテや忍術的なやつを駆使してくるそうだ。無論色んなスペックが冬花より上だ!
冬花はとりあえずマンホールを拾いに、クロロの攻撃を必死でかわしながらマンホールがあるところに向かっていった。
クロロは炎をまとったスリケンを投げつけた。爆風の衝撃でポーンとマンホールが宙に飛んだ。
「どうしたの?よけてばっかじゃないか!」
「いや、武器拾わせろって!」
クロロは首をかしげる。冬花はマンホールを拾い、それを盾のように構えてクロロの方に猛ダッシュした。
ひたすらクロロは発砲するが、マンホールはびくともしない。やっぱりすごいぞ!マンホール!
「今だよ!バグパワーを!」
「アッハイ」
右腕にバグのような禍々しい感じのエネルギーのオーラが発生した。そしてクロロの顔面にパンチした。
「い痛え!鋭い痛みがゆっくりやってくる!」
その時、不思議なことが起こった!!なんということでしょう。なんとクロロの下アゴがゴムのように伸び、ポウポウポウポウポウポウポウポウポウ~ンというマヌケな音とともに激しく左右に揺れ始めたではありませんか。
「え・・・・・・なにこれ?マジでなんなんだ・・・・・?」
冬花はいったい何が起きているのかさっぱり分からずただ啞然とするだけであった。しかし1分ぐらいでこの現象になれ、次第に楽しくなってきた。そしてこのまま様子を見た。正直録画したかったと思う冬花であった。
それから5分後、さすがに可哀想だと思ったのでクロロの下アゴを元に戻そうとした。激しく左右に揺れる下アゴを力いっぱい抑え元の位置に戻した。まるで生きのいい魚を捕まえるような感覚だった。
「これが・・・・奴の力か!?一体何なんだ・・・・・!まるで意味が分からんぞ!」
クロロはやや瀕死気味である。
「なにか異常なことが起こっている!大丈夫ですかクロロ!・・・・・脈がない!どういうことなの!死んでいるってわけですよね・・・・大丈夫ですかクロロ!大丈夫ですかクロロ!大丈夫ですかクロロ!」
その後、冬花はまるで煽るようにTの字のポーズをとり、何度も何度も大丈夫ですかクロロ!と言い続けていた。
「こ・・・こいつ・・・完全に私を始末しようとしている・・・!?こいつにはやると言ったらやる『スゴ味』ゴりらッ!」
クロロ本人はスゴ味があると言いたかったそうだが急にアゴが巨大化してうまく喋れなかったそうだ。
「私のそばに近寄るなーーーーーーーッ!!!」
その後、クロロはよろよろと立ち上がり、こう叫んだ。しかし、その頬は左右に大きくナンのように伸 びていた。多分先ほど受けたバグパワーの影響だと思われる。
「あ!逃げるんだ! そういえばあたしもピザが食べたいな・・・ネアポリス風のやつ・・」
「いや・・・・ちょっと集中してよ!ご飯はあと!!」
「あ・・・そうだなぁ・・・・」
急いで後を追いかけることにした。たどり着いだ先は階段とか住宅地が多いところだった。そこにはクロロが待ち構えていた。しかし、すぐ逃げ壁の中に溶けるように隠れてしまった。
「クロロ・・・あんたを逃がすことはできない!その点に関してはあたしは必至だよ!」
冬花はめっちゃ必死で探し回る。すると別の壁からニュルっとクロロが飛び出た。仕組みはともかく何かしらの小細工・・・恐らく彼女の忍法に類する何かででワープみたいな感じでパパっと移動していると思われる。
様子をしばらくうかがい、クロロの行動パターンを見極めようとした。
壁に発生した空間の亀裂のようなものからクロロが現れた。だが、なぜか頭がデカく変化しておりさらには頭頂部のみハゲている奇妙な状態だった。
冬花は茫然としていた。とりあえず連打攻撃をクロロ浴びせるが・・・・Tの字のポーズをとりながらどこかへ走っていった。だがすぐに止まりその場でTの字ポーズで待機していた。
しばらくたってから思い出したかのように追いかけっこを始める二人。もちろんクロロの頭はデカくてハゲている状態だ!
追いかけては連打攻撃をぶつけるの繰り返しがしばらく続いたがついにクロロはそこら辺の通行人に紛れ込んで消えたのである!
すぐに追いかけようとしたがまるで引きずられるように何かの力が働き、建築物の壁にガーーンとぶつかった。しばらくして起き上がったがクロロを見失うことになってしまった。
「いてー!何?なんだよ!誰のイタズラだよ?あっ・・・しまった!」
「あー・・・やっぱまだバグパワーの制御に慣れてないからこうなっちゃったかなー・・・?」
しばらく辺りを探し回る冬花。しかし見つからない・・・・・と思ったが?
「どこだ?どこに・・・・お る や ん!」
そう、通行人の中に異様に頭が巨大化したおっさんがいたのである!確実にクロロの変装だと確信した冬花は頭がデカいおっさんにゆっくりと近づきケツにタイキックをかました。
「グワーッ!変装がバレたーーーーッ!!お前の力、相当あなとってはいけないというか意味不明すぎる・・・・!!」
「ほんとそれな。 てかあからさまに変装がバレバレなんだけどなー・・・」
しばらくたった後、ようやく?クロロの頭のサイズが元に戻った。
「なぜとどめを刺さない・・・・?私は・・・貴様の敵なんだぞ!?」
「あの・・・・いい加減記憶戻してください。お願いします。」
深々と頭を下げる冬花。しかしクロロの様子がおかしい。まぁさっきからずっとだけどね。
なんとグワグワ言いながら謎の連続ダメージを受けているのである!
「ファッ!?どゆこと!?」
「あ・・・・冬花の腕の細胞をピラニアに変え、クロロの体に食い込ませたの忘れちゃった!てへぺろっ☆」
何気にとんでもないことをサヨリはこっそりとやりやがったのでだ。
「えええええええええええ!?何してくれてんのおおおおおおおお!!あかんここままじゃクロロ・・・いや蒼が死ぬぅ!」
悲鳴がどんどん大きくなったクロロ。しかも体が大きくなったり小さくなったりと色々ヤバくなっている。
とりあえず、お腹に思いっきりパンチして吐き出させようとした。口からゲロと同時にピラニアがはき出た!とりあえず、一命はとりとめた。
「あのさぁ・・・・勝手に人の細胞をピラニアに変化させないでくれる?いいね?」
「アッハイすいませんでした・・・。」
冬花がサヨリに説教していたところクロロが起き上がった。
「あっ!!私は今まで何をしていたんだろう・・・・・。うーーーーーん思い出せねぇ・・・」
「おおおおおお!記憶が!戻ったああああああ!」
感動の再開シーンみたいに冬花は抱きついた。あら^~
「ちょ・・・・苦しい!窒息死するわ・・・!ギブ!ギブ!冬花!マジでギブなんすけど!」
・・・こうしてなんやかんやで再会を果たした冬花とクロロ・・・・ではなく蒼。その後、冬花はこれまで何があったかを蒼に話した。
「結構大変な目にあったんだね・・・。で、結局のところサヨリは冬花のスタンドみたいな認識でいいの?」
「うーん、まぁ、自我を持っちゃったゲームキャラだけどまぁ・・・・そういう感じでいいのかも?」
「まぁ、冬花は少し変わった部分はあるけど冬花のことよろしく!私もサヨリが背負ってるなんかの使命を果たせるように色々頑張るからさ!・・・・・まぁ具体的になにすりゃいいのかわかれないけどね・・・・」
「うん!こちらこそよろしくね!蒼ちゃん!」
こうして3人の旅は始まろうとしていた。散々な目にあったがこの3人なら少しは乗り切れるかもしれない?