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Chapter12-5 罠と予想外の救い手

 蒼たちは突然消えた冬花をひたすらに探し続けた。しかし手掛かりはまるでない。気が付けば日も暮れてしまい捜索は断念し、あのボロ臭い寮に戻ることにした。


 「ねぇりゅーちゃん?なんかその、気持ちはわかるけどさ・・・」

 「うん。どうしても不安で不安で・・・冬花ってさホント大変だよねなんか。サヨリにまんまと騙されて自分の身体に未知の力を注入されるし、突然お父さんが行方不明になったり。サヨリに関しては薄々違和感みたいなのを感じていたんだ。やけに存在感薄くね?みたいな・・・・うまく言えないけど。けどあの子はサヨリと力をあわせて現実世界に帰るーみたいな事言ってたようだけど、まさか顔面にウンコぶっかけられるとは。」

 「気の毒すぎてなんも言えないよ。でも冬花は強いし信じてみようよ。これまで色々あったけど何とかなったんだし。」

 「そう・・・ね。ユリは何してんの?」

 「今静かにしてください。微かな魔力やらそういう感じのあれを探知しているので。」

 「お、おう・・・頼んだわ。」

 ユリは髪の毛を鉄塔のように逆立て、それをレーダー代わりに探知しているようだ。おそらく彼女の特殊能力の一つだろう。


 一方、冬花は地下牢獄のようなところに幽閉され、十字架に括り付けられていた。しかし格好はなぜか五輪マークが刻まれたピチピチテカテカとした黒光り全身タイツのようなものに着替えられている。

 「ん・・・ここは?ってなんだよこの格好?妙に蒸れるし・・・」

 「ほうほう、お目覚めかなお嬢さん。」

 「で、出やがったなぼったくり男爵!一体何をするつもりなの?あたしに乱暴する気でしょう? エロ同人みたいに! エロ同人みたいに! 」

 「そんなもの決まっている。お前の父のせいで東京オリンピックは中止され、ワタシもI〇Cの会長の立場を追われてしまった。その報復を今受けるがいい!」

 「ぎゃあああああ!?なんだよこれ・・・・着ている変なのから電気が・・・・」

 バッファはリモコンの黄色いスイッチを押し、冬花に高圧電流を流した。現在、冬花が着せられてるスーツはいわゆる拷問用の特殊スーツだ。これには対魔忍のように様々な感覚を約3000倍に増幅しさらにスーツ自体から電流を流すといった拷問もできてしまう恐るべきスーツである。つまり冬花には抵抗できる術はないのだ・・・。

 「だが、サヨリとかいう少女がワタシを救ってくれた。I〇Cの会長の座を奪い返し、そしてこの世界、フェアリーコマンドオンラインの存在を知った。ここでなら何もかもワタシの思い通り、即ち!東京オリンピックに代わる新たなオリンピックが開催できるのだ!!だがそれも冬花、貴様のせいで計画がメチャクチャになってしまった。この責任はその身体で償え。すべては”平和の祭典”のためにな。」

 「た、たとえ・・・あたしがいなくてもお前の悪ふざけに反旗を翻す人は大勢いるだろうし、それに平和の祭典の会長がこんな非人道的行為をするなんて許されるわけないでしょ!」

 「黙れこのビジネスのビの字も知らねぇ我儘小娘め!」

 逆上したバッファはなんと電マを取り出し、そのまま冬花の股間に押し当てた!

 「えぇ!?にゃ、にゃんてことしてぇぇぇぇ゛んのぉおお!?R18案件に゛ゃにゃいぃれしゅかやらー!!」

 「はっはっは、ゆかいだぜ。」

 「こ、このぉおお・・・し、心頭滅却すれば電マもまた涼し・・・・ふんにゅーーーー!!」

 冬花は必死にバッファの電マ攻撃に耐えようと股間に気合を込めた。しかし・・・

 「大した自信だな。ならば出力アップだ!」

 「な、これは!?うぅ・・・だめだ、耐えられにゃいぃのぉおお・・・・!!!らめぇ・・・っ!!イキスギィ!イクイクイクイク・・・・ン・・・アッー !!」

 そしてこれでもかと冬花の肛門に大根やワサビ、ショウガ・・・しまいには男の聖剣(※お察しください)を挿入されたり謎の白い液体が部屋中に飛びかうといった、まさにR18案件なアレコレが冬花に襲い掛かる!3時間半ぐらい過ぎると冬花は真っ白に燃え尽きてしまった。しかし彼女にはどうしても知らなけらばならないことがある。それは行方不明の父の事だ。バッファと途中から入ってきたバッファの部下が拷問部屋から出ようとした時、最後の最後の力を振り絞って問いただす。

 「バッファ、これだけは教えてよ。あたしの父さんは?ねぇ・・・・何があったっていうのよ!!答えて!今すぐに!!ねぇ!」

 「そんなに知りたいか。なら一つだけ教えよう。月宮五郎議員はご存命だ。ついでにこんな奴の戯言に賛同した愚か者どもも同じく今生きている。開会式まで楽しみに取っておくがよい。」

 「そう・・・良かった・・・・。」

 

 バッファの発言で冬花は安心しきった表情で気を失い、床にうつぶせに倒れこんだ。その夜はとても虚しく、虫の鳴き声があたりに響き渡る。彼女の夢の中では今となっては懐かしい、両親との生活の日々、そして現実世界に帰ることができた記念に家族旅行をするといった夢を見ていた。

途中、なぜか唐突に何があっても思い出したくもない嫌な記憶がよみがえってきた。それは小学3年生の頃のことだ。


 月宮家はこの頃までは東京で暮らしており、ある日まではとてもごく普通の生活を送っていた。しかし、6月某日に悲劇の日々は訪れた。冬花が通っている小学校のクラス担任(3年β組)がいかにも強面で冷酷そうな女教師”矢久津マキ”に変わったのだ。過剰な量の宿題、成績の悪い生徒にはいじめるように仕向ける、強制的に学校へ連れ出す、実質的に夏、冬の長期休暇をなくすなど、極めて非人道的な教育方針であった。 そんな教育方針には何故か『生徒一人一人をしっかり見ている』とか『生徒にとって一番必要なものを与えている』など、教育関係者や評論家には好評だという・・・。

 そして冬花はそんな教育の被害者であった。勿論ほかにも心身ともに深い傷を負った生徒もいたが、冬花の場合は特に深刻だった。食欲がなかったり、言葉を一切話さない、更には自殺願望や禁断の呪術に手を出しなにかを開戦しようと企んだりなど、と日が経つにつれて、どんどん思想が過激なことになっていた。つまり冬花は、人類という種そのものを激しく嫌悪し地球から滅ぼすべき存在だと考えるようになったのだ。両親は何とか説得し止めようとたが、やがて止めるのにも限界がきた。

  これを機に冬花の父親である五郎は政治家になる決意を強めた。彼はもともと証券関連の会社員であったが、いずれ政治に携わって腐敗した世の中を変えたいと胸に秘めているような人だった。しかし人類に対する怒りが止まらない冬花を見てその決意がさらに強まった。その第一歩として 矢久津マキの過激な教育方針やそれを称賛する教育関係者についての抗議や演説、ネット上ではそれらの内容をラップにアレンジし人々に訴えかけた。その涙ぐましい努力が実り、 矢久津マキ及び彼女の教育方針に賛同した教育関係者や評論家たちは辞任を迫られ、3年β組に平和が戻った・・・と思いきや生徒同士の人間関係の悪化は後戻りできないレベルに達しており、よほど優秀な先生がクラス担任になるか、3年生全体のクラスの編成を丸ごと変えるということをしない限り元の学校生活を送ることが困難な状況になってしまった。一応、なんだかんだで生徒同士の人間関係は少しは修復したそうだがまだまだ課題が多かったという。


 冬花のメンタルケアについては五郎の父の光士郎(冬花の祖父にあたる)が校長を勤めている”岩手県立梅泉小学校”に転校することを提案した。

 そこには特別支援教室<オアシス教室>といういじめなどで精神的に傷を受けた生徒を心身ともに社会復帰出来るように支援する独自のシステムが備わっており、冬花のメンタルを回復させるにはまさにうってつけだ。冬花は快くこの案に賛同し、月宮家は岩手県へ転居した。そこでの生活は”犀ゼリヤ”がないこと以外は快適であったが冬花は小学校卒業後も、友達を一人も作ろうとしなかった。人間関係が彼女にとって邪魔でしかなかったのだ。とはいえ周りの生徒や先生がそんな冬花に気をかけてくれたおかげで彼女がこれまで抱いていた人類のイメージを一新させ、それなりに人生が充実したものになった経験を走馬灯のように脳裏に浮かび上がった。


 そして翌朝、ゆっくりと目を覚ます。

 「はぁ最悪・・・本当に何でこんな二度思い出したくない事を思い出してしまったんだろう。よりによってこんな最悪な状況の時に。・・・とにかく父さんを助けたいけどケツワープ対策されてるんじゃどうしようもない。」


 一方蒼たちはオリンピックボランティアの仕事量が急激に増えてしまい、少しでも怪しい動きを見せたら問答無用で粛清されるという地獄絵図のような環境になってしまってる。つまり、冬花を探したくても身動きが取れない状況である。いやいや作業を進め、冬花の無事を祈ることしか彼女たちにはできないのだ。そんな中、遂にメイアがコロナウイルスΣ株の陽性反応が出てしまった。

 それは午前9時頃、オリンピックボランティアの作業中にメイアが急に気を失った事が原因であり、リズミア五輪の会場敷地内の病院に搬送された。そしてそのまま専用の病室に隔離されることになった。

 「う、嘘でしょ・・・?あぁ大丈夫かな本当に・・・・・・・冬花もいないしメイアもコロナ感染しちまったし!ああああああ!!どうすりゃいいのよ!!!」

 「確かコロナウイルスΣ株は今判明してる症状だと突然狂ったように笑いだしたり細胞が石のように変質してしまったり他にもツリーマン症に似たような・・・・」

 「やめて!!もうそれ以上は・・・・・・!聞きたくない!!」

 「ご、ごめんなさい・・・。でもこれからどうするんですか?」

 「五輪の塔に向かうしかない。」

 蒼はそう呟くとほうきを手に取りI〇Cの本拠地である五輪の塔に向かおうと決意した。それは明らかに無謀であることは蒼本人が一番理解している。しかし今動かなければこの最悪な事態を変えることはできない。その覚悟を感じ取ったユリもほうきやスコップで武装し、蒼についていった。


 一方、冬花はまずい朝食をいやいや食べながら誰かて助けに来ないかと思い続けてきた。昨日の怒涛の性的嫌がらせ祭りがまた今日も続くのかと思うと”私も貝になりたい。”と、そう願うようになってしまった。虚ろな目でうす汚い天井を見上げていると足音が聞こえてくる。”あぁ、今日もまた・・・というか二日目だがエロ同人のように乱暴なことをされそうだ。”と身体が震え言葉が発せないほどの恐怖におびえている。そして足音が大きくなるにつれて恐怖心が増大し悲鳴を上げ、のたうち回りだした。

 「うぉ、急になんだ大きな声出して・・・・・バレたらどうしてくれるんだ。」

 「え・・・・・あなたは・・・・・?」

 冬花は小さくおびえた声で尋ねた。

 「ロゲエーオの王様といえば分かるかな?」

 「いや全然。そんなのいたっけ?」

 「まぁそうなるわな。会ったのほんの少しだけだし。てかさっきまでギャン泣きしてたのになんだ、もう落ち着いてしまってるではないか。」

 その男性はロゲエーオの王様らしいようだ。彼は気を取り直して冬花に話しかけた。


 「君は確かロゲエーオ城の秘密の部屋、まぁなんだかよくわからない研究室覗いだのは覚えているか。」

 「あー・・・・・あれか!確か偶然見つけて・・・・あとその時はサヨリも一緒だった!体内だけど。」

 「その後君は映画ド〇ゴンクエ〇トY〇UR ST〇RY視聴の刑に処され、なんだかんだで脱獄して今に至る・・・・と。」

 「なんでこんなことを?」

 「立場上仕方なかった。全てはあの忌まわしき奇病のせいでな。」

 「奇病?」

 「うむ。24年ぐらい前のことだ。我が最愛の息子が石化病に感染してしまった。その名の通り細胞そのものが石みたいに変質し、次第に呼吸器官や血液の流れが機能停止し、死に至る奇病だ。死力を尽くしその病気の解明を試みたが結局何一つ解明できず・・・・ついに亡くなってしまった。それも感染してからわずか一か月で。」

 「息子さんいたんですね。」

 「その後は石化病の解明に人生のすべてを捧げたが・・・・どこで道を間違えてしまったのか金目当てにウイルス兵器を開発し、それを闇市場で売るという今となっては非常に愚かなことをしてしまったよ。ところがある日 ヅォックァーと名乗る変な奴からメールが来たのだ。」

 「その内容は?」

 「多額の研究資金と最新鋭の施設を提供する代わりにこの世界に訪れ、表の顔はロゲエーオの王様として過ごし、裏ではウイルス兵器の開発という契約だ。」

 「あの研究室はやっぱり・・・」

 「まさにウイルス兵器の研究室そのものだ。あそこには証拠隠滅のための自爆装置が搭載されているが、万が一作動してしまえばウイルスがロゲエーオ全体に広がってしまう恐れがある。それを防ぐために目撃者である冬花を処刑という形でヅォックァーと手を打った。それに後から分かったことだが、ヅォックァーの正体はドリームビルダーの社長の自作自演で作ったような、いわば形だけの空っぽな組織だ。」

 「そう・・・・なんだ。結局すべてあのシャッチョサンの手のひらの上で踊らされたってことかな?」

 「おっと、いけない。急いでここから出なくては。」

 その男はカードキーをかざし牢獄の鍵を解錠した。その後は彼だけが知っている隠し通路を使い脱獄を図った。

 「あ、そういえば名前聞いてなかった!君の名は?」

 「俺はエルディン・マーソン。かつて医療学会から追放された身さ。」

 「ってことは・・・・コロナウイルスΣ株治せる薬作れるのの?」

  「いや、正直言って難しいな。だが可能性の一つとして、こんな状況でオリンピックを行おうとしているバッファの中に免疫細胞があるのかもしれない。もしそれを採取したら治療薬開発は可能かもしれない。」

 「なるほど!んでなんか使うもんあるんですか?流石に丸腰でやるわけにもいかないし・・・。」

 「この槍を使ってくれ。こいつには刺した相手から細胞を抽出する機能がある。治療薬の素材として使えそうな細胞があればランプが青く光って知らせてくれる。採集したら俺の所へ持ってきてくれ。」

 「わかった。でも肝心なバッファがいないと・・・・アイツ絶対現実世界にちゃっかり帰って高みの見物しそうだしそもそもバッファにΣ株用治療薬の材料元となる免疫細胞あるかどうかわからないよ・・・。」

 「そこは運・・・・としか言いようがないな。済まないが頼む!」

 エルディンは深く頭をさげた。そして手にしたアタッシュケースから スポイトっぽいデザインの槍型武器であるスポイトランスを取り出し、冬花に手渡した。これには刺した相手から細胞とか血液などを吸い取れる機能があり、コロナ治療薬として使える可能性があるものにはグリップ部のランプが青く点灯して知らせてくれるという。他にも麻酔弾を撃ったり、コロナウイルスの陽性反応の探知、病院への緊急通報システムが搭載されている。 冬花は手にした槍、スポイトランスを抱え、ゆっくりとうなずいた。

 隠し通路を進んでいく中、突然警報が鳴り響き、こちらを追いかけてくる足音が近づいてくる。

エルディンはポケットの中からUSBメモリを取り出し冬花に渡した。それはまるで自分の死期を悟っているようだった。

 「え?これは?ってまさか・・・!?」

 「治療薬のレシピ的なもんがその中に入ってる。さぁ、早くいけ!人類の命がかかっているぞ!」

 エルディンはそう叫ぶと、足音のする方へ全力疾走した。冬花は必死に呼び止めようとしたが既にエルディンの姿が見当たらない。USBメモリと スポイトランスを見つめながら覚悟を決め、出口に向かって駆け抜けるのであった。

たぶん今年最後の投稿かもしれない・・・・モチベ続かないの誰かどうにかしてチョンマゲ

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