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chapter12-2 脱オリンピックボランティア(略称:脱オボ)せよ

オリンピック会場から脱走するべく監視の目をかいくぐって北へ北へ進んでいく。北方向のルートでは比較的人が少ないため、他の方角のルートよりいくらか脱走しやすいのである。しかし脱走を試みてから数時間後、気温は急激に上がる。

 「はぁ・・・はぁ・・・急に熱くなってきた!!今冬だよね?(冬花)」

 「日本じゃそうだけと・・・とにかく日陰の方に行かなくては・・・・・・・あそこの森でいったん休憩しよう。(蒼)」


 4人は一旦森に入り、しばらく涼みながら水のある所を求めて探索した。数十分後、とても美しい泉があることをメイアが発見し、味見した。その泉の水は透明度が高く、見るからに飲んでも大丈夫だそうだ。

 4人は泉の水を飲んで水分補給している中、泉に異変が起きた。なんと水がぶくぶくと泡立ち、謎の光の柱が現れた。さらに光の柱からは何か人影が見える。冬花たちは警戒しながらその光景を見つめた。


 「久しぶりだね。冬花ちゃん。」

 「へ?」

 

 光の柱から現れたのはなんとかつて冬花と共に行動し、彼女にバグを操る力、即ちバグパワーを与えたサヨリだった!

 「ちょっと待って・・・あの時自殺してしまったはずじゃ・・・!?(※chapter7-3参照)え?これ夢?」

 「あーあれねー・・・実はあれ単なる演出だよ演出?」

 「といいますと?」

 「いわゆる・・・残念だったな、トリックだよ的な事。まぁ騙して悪いなぁとは思うけどその方が目的果たせやすいし。ついでにどんなトリック使ったかは秘密ってことで。」

 「何?目的って?」

 「冬花の細胞をこうしてゲッツすることだよ!結構前にあなたの細胞を使って身体作るーみたいな事言ってたよね?(※Chapter3-2 参照)それがこの結果だよ!!というわけで・・・冬花の細胞を活用して生み出されたこのボディの力試させてもらうよー!」


 「待ちなさい!!サヨリちゃん・・・どういう事なんですか!そんなに冬花の細胞がなんだっていうんですか!そしてあなたも私と同じ救世主プログラムの一つなのにどうしてこんなことを!!」

 ユリがこれまでにない怒りをあらわにしサヨリに訴えかける!


 「うん。冬花ちゃんはね、特異体質みたいなんだ、それも特上レベルの。彼女の身体及び細胞は”大いなる混沌”の力を最大限以上に引き出すことができるみたいなんだ。」

 「え?それって一体・・・?」

 「とりあえずウチはちょっと依頼であなた達を捕まえてオリンピック会場に連れ戻さなきゃ。あ、ちなみにここはいわゆる孤島で出ようとしても無駄だよ。大人しくオリンピック観戦しながらコロナウイルスΣ株に感染してねー♪」

 「冗談抜きでクッソ寒いギャグ言わないでください!!悪いけどくらいなさい・・・グランドニードルッ!!」


 ユリはグランドニードルをとなえた!地面から尖った岩が複数本突き出たが、サヨリはそれをパッと回避し落雷フリーズを繰り出した。天からデッデレデレデレ~♪という8ビットのBGMが流れながら赤い雷がユリ達に降り注ぐ!!

 「グワーう、動かん!!(蒼)」

 「6月2日じゃないのに体が動かない!?(メイア)」

 「サヨリちゃんは一体・・・!?(ユリ)」

 動かなくなった3人は五輪マークの刻まれた防護服を身にまとった兵士たちによってオリンピック会場の地下にある収容所に連れ戻された。


 しかし冬花は身体が少ししびれた程度で済んだ。

 「あ、あたしの技パクリやがった!?てか・・・・・よくもあたしを騙しおったなぁ~~~~!!ゆるさんッ!!!」

 冬花は怒りのままにサヨリに殴りかかるが全く当たらない!

 

 「たかが通信教育で覚えた北斗神拳などただのお飾りなんだよね・・・というかそもそもさぁ、不自然に思わないの?突然自殺して、そっから幻聴や幻覚が起きたり、そして肉体がジュワッと消える、そして都合よく遺書とか遺産として残しておいたバグの力があるとか・・・・・・どう思うの?」

 「い、言われてみれば確かにそうかもしんない・・・・それってYO!まんまとあんたの手のひらで転がされたってこと!?うわぁ・・・・ぴえんヶ丘どすこいの助過ぎるッ!!」

 「ついでにこの頃設定とか方向性がまだ定まってねーだろ!!的なことは禁句だよっ♪」

 「それ触れちゃうのか・・・まぁいいでしょう。・・・・よくないけど。」

 「さてとそろそろ本気モード行くよ!!転鎧ッ!」


 サヨリは突然変身ポーズをとった。しかもそれはどこぞの宇宙刑事っぽい雰囲気であった。すると黒い粒子が纏わり付き死神将軍へと姿に変わった。その時間はわずか0.05秒だ!

 『サヨリが死神将軍に変身する時間はわずか0.05秒に過ぎない!では、もう一度特別に変身プロセスを見てみよう!(以下中略)』

 「うわぁしかもご丁寧にナレーションも完備かい!?ん?まてよサヨリは死神将軍の罠かなんかで死んだはずだったような?・・・・まさか”きゃあじぶんごろし。”案件!?」


 「あーあれかぁ・・・・死神将軍さんがサヨリさんになんか矢をぶっ刺して負の感情を増幅させて最終的に自殺行為に走らせた奴かな?(※chapter7-1参照)そうそう、最初に冬花に干渉してきたサヨリはいわゆる分身。初めに出会ったときなんか半透明だったでしょ?死神将軍こそホントのサヨリだよ。」

 「じゃあなんで・・・分身に自殺させるように仕向けたんだよ・・・・!?どういう意図なの?あの時・・・・・あまりにもショックすぎて今でもたまに夢で出てくるんだけどあの光景・・・・・」


 冬花はナセヤ町での戦いで起きた悲劇を思い出し、泣き崩れた。


 「さっきも言った通り単なる演出だよ演出。冬花の細胞を採取した分身はそれを基に肉体を作り、そして今、本体と融合してめちゃつよになりました!!・・・・まぁぶっちゃけ結構回りくどいことしてしまったなぁ~って反省してるけど。」

 「あんたみたいな奴と仲良くなったのが間違いだった。あたしの特異体質を狙ってこんな回りくどい事をして!!せめて真正面からかかって来いよ・・・!!!」

 「分かったよ。じゃあ、くその槍を受けてみよ!!」

 「ん?」


 サヨリは先端にウンコのついた槍を構え、ブンブン振り回した!

 「ちょちょちょちょ!!なっ、なんてもん振り回してんのコイツ!?・・・・何が何でも食らうわけには・・・」

 冬花は必死に避けながらできるだけ距離をとろうとした。・・・しかし、槍を振り回した勢いで槍の先っぽに付いたウンコがビュッと飛び出し、冬花の顔面にくっついてしまった・・・。なんと哀れな!

 「いやああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」


 鼓膜が破れるほどの悲鳴を上げ、のたうち回る冬花。そしてサヨリはその様子を録画している。冬花は急いで水分補給しに来た泉に顔を突っ込み、付着したウンコを洗い落とした。顔は綺麗になったがやはりウンコの臭いが取れない・・・。その後冬花は完全に戦意喪失し、デパートで迷子になった子供のように泣き出してしまった。

 「あァァァァァァんまりだァァァァァァ!!!うぇ~~~~ん!!」

 「あらあら♡じゃあ連れ戻しておいてねー♪」

 

 こうして冬花もオリンピック会場に連れ戻された。こうして脱出計画はあっけなく終わったのである。しかも顔面にウンコをつけられるというあまりにも不運なアクシデント付きで。


 目を覚ますとそこは牢獄だ。不幸中の幸いか4人とも同じ檻に収監されている。

 「よおしこういう時はケツワープだ!みんなつかまって!」

 冬花はケツワープで脱獄しようと試みた。しかし何も起こらない。その後何度もやってもケツワープを発生させることはできず当方に暮れていた。


 「オラッ!!ボランティア活動の時間じゃゴルァ!!!」

 突然覆面の男たち3名がが現れた。そいつらは牢屋の鍵を開け、冬花たちを無理やり連れ出そうとした。

 蒼はすぐさま反撃に出ようとしたが疲労のせいで力が出せず、あっけなく覆面の男の一人に取り押さえられた。その後無理やりボランティア活動する羽目になってしまった。

 その環境はとにかく劣悪で、40℃に迫る暑さの中、施設の設営や応援練習などをやらされている。たまに地下に行くことになるが、そこでは奴隷がよく回す謎の棒・・・すなわち回転する台に棒が生えたものを回す”お約束”があるのだ。もちろんこの苦役には特に意味はないらしい。

 

 ちなみに、オリンピック設営・開催地に選ばれた孤島はリズミアというそうだ。孤島ではあるが音楽や漁業、観光業が盛んであったそうが今ではそれも見る影もない。コンサート会場やアイドルのライブステージも打ち壊されオリンピック関連の施設にリフォームされるというという惨状であった。無造作に壊されたピアノやリズミアを囲むバリア、閉鎖された港がそれを物語っている。


 もちろん抗議活動も絶えなかったが・・・『子どもたちの運動会とか発表会が無観客で行われていたり最悪な場合中止や自粛されているのに、なんで五輪はOKなのか不公平感が出る』 等の声に対しI〇Cの対応はあまりにも残酷である。『ピアノの発表会なんてどうでもいいでしょ。オリンピックに比べれば 。始まったら熱狂ですよ。そして誰かが金メダル取ったら雰囲気ぶちあがりですよ。 まあそんなもんですよ、スポーツイベントは 。』とバッサリ切り捨てた。


 この発言によって大勢の人々の怒りを買い抗議活動も激しさを増す・・・かと思われたが早くも鎮圧された。中には処刑や粛清されるといった事態もあったらしい。


 SNSや他のオリンピックボランティア参加者(ぶっちゃけ奴隷)との情報共有を通じ、オリンピックの闇を知った冬花は改めて父親がいかに命を削るほどの覚悟を背負い東京五輪の中止を訴えて来たか思い知らされた。しかしその”オリンピックの闇”は氷山の一角に過ぎなかった。

 専門家や善良なI〇C役員の協力なしでは中止に持ち込むことはできなかった。もし中止しなければコロナウイルス感染拡大、悪徳企業や極悪無能政府どもの財布が潤うなどの危機が迫ることは間違いない。しかしここ、リズミアではそんな危機が迫りつつあるのだ。


 リズミアにはコロナウイルスΣ株というこれまでのコロナウイルスとは比べ物にならない感染力を持っており、その症状は現段階でははっきりしていないものの、その脅威は計り知れない。もしこのままオリンピックが開催されたら間違いなくオリンピック参加者(奴隷)や選手、そしてI〇Cの連中も感染し、最悪の場合死人が続出することは確実だろう。そして行方不明となった父親は一体どこにいるのか。冬花は木陰でボランティア活動をサボりながらますます悩み続けた。


 「少なくともオリンピック中止・・・いや、凍結しないと確実に人類が滅びる。もしΣ株が現実世界にやってきたらマジに人類オワタってなるよね・・・・・それに父さんも・・・・」

 「あ、こんなところにいたんですか!?・・・・相当悩んでいるんですね。大丈夫、わたしたちがいます。その・・・まずはコロナウイルスΣ株の危険性を訴えてみてはどうでしょうか?既にそういった活動をしている人達がいるはずです!!」


 ユリは冬花に寄り添った。それは冬花にとって非常にありがたい事だ。

 「今まで・・・・今だからこそ聞いた方がいいのかな。救世主プログラムとかサヨリが言っていた大いなる混沌とか。正直なんのこっちゃだし。」

 「そうですね・・・・結論からいいますとわたし達は大いなる混沌から生まれた存在です。そしてこの世界に送り込まれました。人々の希望となるために・・・。」

 「それって・・・・?」

 「クリスタル・ペッパーさんはフェアリーコマンドオンラインのサービス開始から6年前・・・2012年ぐらい、フェアリーコマンドオンラインの開発に勤しんでいる中、伝説の呪われたゲームである”ロストフォーチュン”を解析していたんです。その解析にはドリームビルダー社の社長、天照士 凱も参加していたんです。・・・解析の最中に突然パソコンが火を噴き、ディスプレイから禍々しいエネルギーがあふれ出しそれがギドギド美術部のキャラクターを模倣して実体化したと聞いています。」

 「というと・・・・?」

 「つまり、”ロストフォーチュン”の中に潜む正体不明の存在が大いなる混沌で、そしてソイツは解析用に使われたパソコンのファイルの中にたまたまギドギド美術部の開発用データに目に着けたんです。そのデータの中にあるキャラクターデータ4つをパクッて生まれたんです。・・・・・要するにわたし達は所詮、謎の存在がゲームのキャラクターを模倣しただけの存在なんです・・・・!!」

 「・・・・でもそうだったとしてもユリはあたしの大事な友達だよ。それにあたし、どうやら普通のホモサピエンスじゃないみたいだし・・・・まぁとにかくよろしく!!」

 「はい・・・・ありがとう・・・本当に、ありがとう。」


 ユリは涙を流しながら冬花に感謝を述べた。ただやはり何か隠しているような気配を冬花は薄々感じていた。

 (今の自分は・・・ペッパーさんの浄化によって何とか正気を保っているだけに過ぎない。もし大いなる混沌として覚醒し、危険極まりない存在になってしまったら・・・・・その時は冬花さんに・・・。)


 その後、冬花は決意を決め、オリンピック開催中止を訴えるべく、抗議活動に参加する決意をした。しかしそれは冬花にとって残酷な現実が待ち受けていることは、彼女はまだ知らない・・・。

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