chapter0-2 イルカがせめてきたぞっ! ただし草原で。
冬花の疑問はまだ尽きない。この力が何なのかわからないが、異世界転生モノによくあるチート能力に該当するものだと勘づいていた。 そしていずれ力に過信し、イキりまくり、周囲の人々からヨイショされまくるのだろうと思うと急に怖く感じており、中でも一番彼女が恐れているのはスマホ太郎とかデスマ次郎みたいな蔑称をつけられる可能性があるという事実なのである!
そんな力に対する不安が彼女の心にカビの如くびっしりとついてしまっているので、とりあえず自分の中にいるサヨリに聞いてみた。
「ひとつ聞きたいけど、この力を使い続ければ、やっぱり周囲の人々からヨイショされまくったりされるのかな?」
「うーん、頑張り次第じゃない?」
「んな適当な!力を手に入れてのは別にいいけど、一番怖いのはこの力に過信したり、見ず知らずの連中から変なレッテル貼りされないかだよ・・・。どうしたらいいの!」
「ま・・まぁ・・・チート能力で無双してウッハウハって感じじゃないと思うよ多分・・。それに、こんなすごいパワーもっても必ず100%勝てるとは限らないよ!」
サヨリがこう明るく答えてくれたので、冬花の心のモヤモヤが少し取れた。
(そーいえばギドギド美術部ってたしか・・・トラウマ植え付けた奴じゃん・・・。)
説明しよう!このゲームは冬花の心をバキバキに破壊したPCゲームであるッ!(配信日は2017年の10月)
美術部を舞台にしたギャルゲーだが、ルート次第で精神的大ダメージを与えるような超コワイ演出やゲーム内部のデータ解析でわかる裏設定や隠しメッセージなど、油たっぷりラーメンの如く濃厚なボリュームが定評のPCゲームだ。 なぜそんな色々ヤバいゲームのキャラがなぜ目の前にいるのかと思ったがこれ以上考えると脳みそがパンクしそうなので、考えるのをやめた。
しばらく平原を歩き、何か大きな物音がした。それは武装したイルカの軍団が人々に襲い掛かっている光景だ。
「なんか変なのでたああああああ!?」
「あれは!いわゆるイルカが攻めてきたぞ的なイベントだね!」
「そもそも何で草原にイルカいんの?せめて海岸とか砂浜でしょ?」
「ウチに言われてもなー・・・でもまぁテスト運転しちゃう?」
「まさしくやるしかGO!・・・てどうすんのよ。」
「まずは精神を集中させて!」
冬花は言われた通りに精神を集中させた。すると身体中にバグったような見た目のオーラが発生した!
「って次はどうすんの?」
「後は適当にパパっとやっちゃって!」
「え?それだけ?」
色々と引っかかる点があるが、とりあえずイルカにパンチした!殴られたイルカは前に吹き飛ばされたかと思えば冬花のいる方向に戻ったり真上にフワーッ!と吹っ飛んだりと・・・・・・不規則な飛び方をした。
「なんだアイツは!?(イルカ語)」
「おのれっ!全軍突撃ぃ!!(イルカ語)」
「うひゃぁ!!めっちゃ来るんだけど!?」
冬花は慌てて逃げ出した!しかしサヨリは”ジャンボ尾崎のワンポイントレッスン”のようなノリで逃げ惑う彼女にアドバイスした。
『かくミサイルばりを つかうと いいぞ。』
「え?何それ?核ミサイルってヤバくね?てか使ったら他の人もあたしも灰になるし世紀末伝説みたいなのが始まるし!」
「じゃあ他の人を逃がすために囮になろう!」
サヨリのアドバイスを受け、冬花は思いつく限りイルカ軍団を引き付けた。主に服をちょびっと脱いでセクシーポーズとかで。
なんとか襲われてる人々とイルカ軍団を引き離すことに成功! さらにもっと遠くにある岩山にまで引き付けることにした。核ミサイル針を使うにはこうしてなるべく被害が及ばないところでないと使えないからだ。そして約20分後岩山の近くにおびき寄せた。
「ここならいける!くらえー!核ミサイル針ぃぃ!!」
冬花の指先から針状のエネルギーの塊が発生し、それをミサイルの如くイルカ軍団にぶっぱなした! 耳が割れるほどの爆音と巨大な炎と光、そして周囲の岩山が崩れ、地面は大きくえぐれておりイルカ軍団は跡形もなく消し炭となった。残ったのは焼き尽くされたオンボロの武器の数々だけであった。
そして冬花も無事では済まなかった。しかし、不思議なことにギャグマンガの世界の住民のように黒焦げになる程度で済んだ。
「え・・・?マジすか?これがあたしの力・・・?」
冬花は震えている両腕を見つめ、己が成り行きで手にした力にドン引きしていた。そしてこの技はよほどの危機が訪れない限り、使わないと密かに決心した。一方、サヨリの方は何か確信を得たような顔を浮かべていた。無論、冬花にバレないように。
「これこそがバグパワーよ!とにかく何でもアリなのが最大の特性なの!多分!!」
「はぁ、そうすか。んでこっからどうするの腹減ってきたし?」
「こっから10分ぐらいに村があるよー」
そして10分後ようやく最初の村【マリハージ村】にたどり着いた冬花。ふと時計台を見た。その頃はもう午後5時半だった。
とりあえずいろいろな目に遭遇したが、しばらく安静できるだろう。




