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chapter8-4 香川奴隷解放戦その③

 カサンドラの中心部にある巨大な城のような牢獄、通称カサンドラの牙。ここには囚われてしまった18歳未満の若者たちが毎日のようにムチで打たれながらひたすらに、うどんをこねているのである。そのほかにも洗脳教育や拷問、さらには肉体改造されるなどもあるそうだ。

 そんな地獄のような光景を双眼鏡で観察していたユリの背中にはどこか悲しみや怒りのオーラをまとっているかのようだった。

 「ユリ?ちょっとみせて!・・・・想像以上にヤバいんだけど?確かに日本の土地でこんなの作れないよね・・・。主に法律やら倫理的な方面で。だからわざわざFCOの世界に建てたのかー・・・」

 冬花はカサンドラの牙を眺めながらつぶやいていた。

「これぞアビ・インフェルノ・ジゴクっていう感じか!ならば!」

 

 蒼は唐突に近くにある超大型のダンプカーに乗り込んだ。キーに関してはそこらへんの看守から奪い取ったそうだ。そしてアクセル全開でカサンドラの牙に突っ込んだ。まさにダイナミックエントリーだ!

 このまま看守だろうがなんだろうがお構いなしにダンプカーを爆走させカサンドラはパニック状態に!ついでにユリたちは火炎瓶やら火属性の魔法とかそんなのををそこらへんにバラまいた。

その隙に蒼たちはうどん製造ラインや牢獄、怪しげな雰囲気満載な教室に分担して向かった。


 

冬花は牢獄の檻を解錠(物理)しては次々と子供たちを開放していく中、血みどろの分厚い鋼鉄の扉を見つけた。 冬花はすこし扉を観察した後、覚悟を決めて扉に向かって歩き出した。もはや当然かのように分厚い鋼鉄の扉をすり抜けた。そこに見た光景は・・・見るに堪えないぐらいボコボコにされた青年が電気椅子らしきものに縛られていた。


 「うわ・・・なんかやべぇ!・・・その、大丈夫ですか!?てかそもそも生きてんの?!」

 「ははは・・・・ついに俺もここまでか・・・・」

 青年はいかにも死にそうな声でなにかを呟いた。そしてその目は何か大きな目的を果たそうとしたが達成できなかった感のある虚ろな目をしていた。

 「もしかして助けにきたのか?頼む・・・早く開放してくれ!」

 「う、うんちょっとまって!」

 冬花は大急ぎで鎖を切断し、必要最低限の応急処置を行った。

 「ロ・・・ロッカー室に連れてってもらえるか・・・。あそこには俺にとって大事なものがあるんだ・・・。没収されてなければいいのだが・・・。」

 「大事なものって?」

 「簡単に言えば共に戦った友の形見さ。」

 「・・・マジか。んじゃあ行こう!てかみんなはどうするの?っていうか少しここで待ってて。後、何かあったら大声で叫んで知らせて!」

 子供たちは元気よく返事をした。中には早く帰りたくて泣きだした子もチラホラいたそうだが。


 ロッカー室に向かう途中冬花は青年の名前を聞こうとした。

 「えっと名前は?あたしは月宮冬花。冬花って呼んでね。

 「俺は丸山霞之介。」

 「え?まさか・・・あの!?」

 「そう。クソゲー専門のEスポーツの大会で数々の伝説を残した男、それが俺だ。」

 「マジか~!あっロッカー室についたよ!」

 「ありがとう。奴らに処分されてなければいいのだが・・・。」


 捜索すること10分後冬花は非常に繊細かつ美しい貝殻でできたお守りをみつけた。

 「えっとこれっすか?」

 「YES!高須クリニック!それだ!・・・よし、急いでこんなところから出よう!」


 二人は急いで牢屋で待機していた子供たちと合流し、カサンドラの牙の入口付近の超大型ダンプカーへ向かった。

 「お、作戦成功みたいね!んでこっから先はどうすんのりゅーちゃん?」

 メイアはダンプカーを見上げながら蒼に聞いた。

 「とりあえず、人質を皿?アレなんて言うんだっけ忘れた・・・。とにかく土とかを載せる部分にできるだけ人を載せてこっからオサラバするしかないな・・・。そして目的地は近くにある古城ということで。」

 

 その後、人質たちを荷台に乗せて(ちゃんと安全に配慮しています。)古城に向けて出発した。

そしてその夜・・・。

 人質たちはしばしひと時の休息の時が来た。死ぬかのように眠りにつく者、蒼、ユリとともに食糧調達に精を出す者、メイアと一緒に愚痴を言いあいながら古城の掃除をするものと様々だ。冬花と霞之介は3階のバルコニーで月を見上げながらロマンチックな感じで打ち明けた。


 「君は香川県民でないにも関わらず、ここまでしてくれるとは・・・正直申し訳ない気分だよ。」

 「まぁ、あの条例下手すれば全国に広がりかねないっぽいし。しかし、この世界、悪い権力者どもが好き放題やりまくるにはあまりにも都合がよすぎる・・・。ここじゃあ非人道的行為し放題だもんなぁ~・・・そしてあたし達はそのモルモットだっていうことが身をもって実感しちゃったよ~!はぁ・・・。」

 「なんかスケールがでかい気がしてきた・・・。俺らどうなるんだろうな。まぁ、大人しくやられ放題は絶対に避けねばならないのは確定しているが。」

 「そういえばあのお守りは?」

 「亡き友の形見・・・名前は志島渡だ。俺はかつて渡と共に署名を集め、ゲーム規制条例の撤廃を訴えてきた!だが・・・奴らの非人道っぷりは遥かに想像を上回っていた・・・!」

 「まさか?殺されたとか?」

 「・・・正解だ。最初は何かの冗談だと思っていた。しかし、月日が経つにつれて本当に渡が殺されたことが事実だとわかってきた。そしてある日渡のお母さんが震えた腕で遺書を渡してきたのだ!」


―ここから回想シーン―


 「渡のお母さんですか?その手紙はいったい・・・!?」

 「お願いです・・・。息子の思いを・・・・・受け取ってください!!うぅ・・・・」

 渡の母は泣き崩れながら手紙と貝殻のお守りを渡した。きっとこれらの遺品を渡すことが相当つらかったのだろう。渡すことが息子の死を認めたことになるのだから。


<霞之介!どうやら僕は毒を盛られてしまったようだ・・・。それも見たこともない成分でできている毒だ。頼む。せめて君だけでも香川から出て平和に暮らしてくれ!!けど霞之介の性格を考えるとやっぱり・・・・・復讐しちゃうよね?それならそれでかまわないよ。ただ一つ頼みがあるとすれば・・・香川の自由と未来を頼んだよ!!!!>

 

 「・・・仇は必ず取ってやる!この身が滅びようとも!!」

 こうして霞之介は両親や周囲の人々の反対を押し切り、無謀にも一人で香川県議会に戦いを挑んだ。しかし・・・!!


 「ほ~う・・・。また貴様か!このゲーム中毒者の愚か者め!まぁいい。貴様に相応しい末路を迎えてやろう。」

 「なんだと!?大体自分勝手な理由で県民の自由を侵しておいて・・・お前は何なんだ!!」

  太山二郎は謎の禍々しいデザインの杖を掲げた。すると霞之介の背後に空間の穴が発生した。

そして霞之介はその空間の穴に吸い込まれてしまったのだ!


 「ガーハハハハハ!!霞之介よ、一生ゲームの中の世界にでも引きこもってそのまま死にな!

・・・さてと、お前たちも向こうの世界に行ってヤツを思いきり痛めつけてやれ・・・!こいつのせいでギリギリまで追い込まれたからなぁ・・・!」

 「いえ、しかし・・・」

 「いいから行けと言っている!なぁに、お前らには現実世界とゲームの中の世界を自由に行き来できるパスポートぐらいは用意しといてやる。」

 「は、はぁ・・・」

 太山二郎の周りにいた黒服たちは彼の無茶な命令に困惑しながらも、ゲームの中の世界・・・即ちフェアリーコマンドオンラインの世界に出発した。

 


  こうして霞之介は毎日のように拷問を受け、二郎はそれを眺めながら高級ワインやら青カビチーズをのせたうどんをすするという生活がしばらく続いたそうだ・・・。


―回想シーン終了―


 「なんかすごいすね・・・。」

 「ああ、全くだよ。というわけで力を貸してくれるね力を貸してくれるね力を貸してくれるね力を貸してくれるね力を貸してくれるね力を貸してくれるね力を貸してくれるね力を貸してくれるね力を貸してくれるね力を貸してくれるね力を貸してくれるね力を貸してくれるね力を貸してくれるね力を貸してくれるね・・・・・・・・」

 「わかった!わかったからもうえぇわ!!!怖ぇぇぇぇよ!!!!」


 霞之介は冬花に悲願した・・・というかこれは脅迫ではありませんか。冬花はすこし恐怖心を感じながらも共闘に承諾した。


 そして翌日、冬花たちアへへァ―ズと囚われていた香川県民の若者の中から勇敢な方々、そして霞之介は戦闘訓練や戦いに必須になるであろう物資調達に励んていた。また、戦えないものは戦闘、物資調達チームの生活のサポートなどで彼らを陰ながら支えていき、日々絆とか戦闘スキルとかそんなのを高めていった。来たるべき決戦のために。

 

 そして霞之介はこう考えていた。 3か月後に香川県議会で定期会議が行われるらしいのでそこでカサンドラの牙を制圧し香川県議会に向けて宣戦布告をし、一気に決着をつけるというアイディアだ。見方によってはとても悪役っぽいが・・・ゲームの中の世界から香川県即ち現実世界に行き来できない以上、奴らを挑発させて自分たちの土俵にて戦わせるように誘導させる。コレが唯一の攻略法だ。

 また冬花は、もしかしたら現実世界に帰れる可能性も十分にあるのではと期待しているそうだがはたしてどうなるか・・・?


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